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どぶ鼠作戦(1962)戦争の無理な娯楽化

映画 102分 製作・配給:東宝 公開:1962/06/01
製作:田中友幸、角田健一郎 脚本:岡本喜八 音楽:佐藤勝
出演:
佐藤允(特務兵部隊長、白虎)主人公、中国民間人の姿で行動する日本軍の特務兵、手下を5人もらい特務部隊長に。中国人を殺さず日本軍にも加わらない、最後はさすらい=自由人になる
加山雄三(林一等兵・実は中国特務兵)片足びっこ実は義足の日本兵、転属途中で一人→実は逃亡兵→実は中国のスパイ→仲間を裏切り、主人公の仲間になる
夏木陽介(関大尉)堅物の指揮官、真面目に戦闘を指揮するが中国軍の捕虜になる、危ない所を救われ白虎の仲間になる
1中谷一郎(三好軍曹)戦場での窃盗で裁判送りを、白虎の部下になる→中国兵と戦い死ぬと、「自ら犠牲になって闘うなど彼らしくない」と仲間に批判される
2田中邦衛(穴山上等兵)戦場での窃盗で裁判送りを、白虎の部下になる
3砂塚秀夫(佐々木二等兵)戦場での窃盗で裁判送りを、白虎の部下になる

中丸忠雄(中国馬賊の賞金稼ぎ、無双)中国軍の特務部隊指揮官、道に爆弾をしかけ日本軍トラックを爆破、白虎とは中国人馬賊同士で仲間と思い込んでいる、賞金欲しさに関大尉を捉えるが、賞金がなく殺そうとして林や白虎と対決し殺される、一応の悪役
江原達怡(中国軍・林軍医)最初は指揮官、捕虜に成り処刑されるが、白虎の手配で助かる、中国軍に戻り白虎を助ける、対立者だが悪役ではない

藤田進(正宗中尉)現地軍指揮官、やる気がない、
田崎潤(伊達新任師団長)後任の現地軍指揮官、日本軍の中国占領は「点と線にすぎないので撤退する」と命令、最後は脱走し白虎に加わる
ミッキー・カーティス(大森見習士官)士官学校でたての正宗中尉の副官、馬鹿正直に日本軍を指揮、ラストは指揮権を譲られる

上原謙(関師団長)日本軍全体の指揮者、関大尉の父
平田昭彦(杉山部隊長)その副官
水野久美(中国軍・女兵)関大尉を誘う謎の女、実は中国兵

感想

戦争を舞台に娯楽映画を無理につくったもの、日本軍と中国軍は正面から戦闘を行わず特務兵と称する双方のスパイが追いかけっこや小規模の戦闘を行うだけ、騙しあいの結果、中国側の主役も日本側の主人公に合流し、日本軍指揮官も指揮を放棄して、戦争などせず自由にさすらうというオチがつく。細かい出来事が連続し大きな物語はなく、戦闘のスペクタクルもない、場面毎のスピーディな演出で楽しませるもので、評価は分かれるだろう、中の下。
 主人公が誰がわからず物語の方向性も見えにくく映画を理解しにくい、ただ演出にのり楽しむべき作品だろう、中国に見立てた荒野(実は冨士山麓)で、中国服の主人公らが、中国語を喋りその字幕は見えずらく「表向きはマルマルでしたが実はこうでした」という出来事が連続して、わかりにくい。騙しあい、逃亡、追走、小競り合い、これらが何度も連続しておこり起伏に欠ける。
 多くの銃撃があり、多くの人間が死ぬが死ぬ場面の描写はなく、主要人物で死ぬのは中国側も含め、悪役の「中国特務兵無双」のみであり、制作者が戦争を描写したくないのは明らかだ。戦争とは死ぬことでやるだけ馬鹿馬鹿しい、日本軍へなんて侮蔑すべきもの笑い飛ばすべきもの、中国占領は点と線であり日本軍はまったく優勢とは言えない、などが監督の言いたい事であろう。