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やま猫作戦(1962東宝)中国人殺しを痛快に描く戦争娯楽映画

95分 製作・配給:東宝 公開:1962/10/20
監督:谷口千吉 製作:田中友幸 脚本:関沢新一 音楽:佐藤勝
出演:
佐藤允(一色中尉)主人公1、中国民間人の格好で戦場を駆け回り、たった3人で中国ゲリラ200人を殺す、占領の後ろめたさはかけらもない、民間人の格好をしている説明はない
伊吹徹(平良少尉)主人公2、勇ましい新任の士官、前線砦の守備を指揮中に全滅し生き残る、絶対絶命の中、一色中尉らに助けられ、3人で大活躍し中国人殺す、日本人芸者に愛され助けられる
夏木陽介(若葉少尉)主人公3,最初は臆病な新任士官だが、やがて一色中尉と同じになる、中国女性に親切にして愛し合うというご都合主義
星由里子(中国女性)悪い日本兵に強姦されそうな所を平良少尉に助けられ好きになる、兄が中国ゲリラで殺されたのに、平良少尉を身を挺して助ける
水野久美(日本人芸者・染丸)日本軍に追随する従軍芸者、若葉少尉を好きになり身を挺して助けて殺される、中国人商人にさらわれる
林冲(中国ゲリラ・黄)星由里子の兄、平良少尉らに捕われ中国ゲリラの正体をばらすのを恐れた仲間に殺される
田崎潤(商人・李洪白)悪役、最初は親日派の大商人、実は中国ゲリラの指揮官、圧倒的優位なのに自分の砦で主人公らに全滅させられる
堺左千夫(商人・張)悪役、最初は下劣な親日派の商人、実は中国ゲリラの副司令、水野久美を強姦しようとさらう
沢村いき雄(日本人芸者屋・いさみ亭親父)悪役、日本軍相手にあくどい商売をしている日本人商人、堺左千夫に殺される
中丸忠雄(大田原少佐)大隊長、主人公らの上官、中国ゲリラと敵対し罠におびき寄せられ地雷で全滅させられそうになる、一色中尉と戦友
平田昭彦(天堂中佐)突如査察にやってくる参謀、日本軍前線砦の風紀紊乱に怒る
中谷一郎(高石一等兵)風紀の乱れた日本兵、星由里子を強姦しようとする

感想

東宝の人気シリーズ独立愚連隊シリーズの4作目、200人の中国ゲリラをたった3人の日本軍将校が殺しまくる娯楽戦争映画、これほど極端な娯楽戦争映画は日本には他にない。アメリカでも少ないだろう。中国軍(馬賊、ゲリラと呼ばれるが指揮官は軍服=国民党軍を着ているし、指揮官と呼ばれている)は最初は日本軍に協力する地元の商人のフリをしており、日本軍トラックの襲撃など小競り合いだが、後半ではその拠点の砦での壮烈な戦闘になる、日本軍はたったの3人で非現実的だが、中国軍をほぼ全員殺す。
 岡本喜八監督以外が監督した最初の作であり、全体の雰囲気や設定は継承している。だが従来は巧妙に避けられていた日本軍と中国軍の殺し合いが「正面化」し、物語の後半全部を占めており、映画のテーマになっている。岡本喜八は本心では戦争が嫌いなので巧妙に避けたが、後継者は様々な制約から戦闘をテーマ(売り物)にせざるを得なくなったと推測される。
 映画はシリーズを継承、一人だけ中国人民間人の格好をしている主人公(佐藤允)更にそれを増幅したような2人の日本軍将校が主人公、従来は主人公らが日本軍を皮肉ったり中国人の間で小さな喧嘩をする程度だったのが戦闘になっている。
 2人の女性が色を加える賑やかしの為に加わっており、2人の将校それぞれに恋し身を挺して救うという非現実的なご都合主義的脚本になっている。
 日本軍は前線の砦(監視所)が主な舞台になっており、風紀が乱れ、賭博をしたり、上官をばかにしたり、女性を強姦しようとしたりするが、中国軍の急襲で全滅する。
 中国ゲリラはいかにも悪役であり、一人はコミカルに一人はあくどく演出されており、実際の意味づけより単に物語り的な悪役としての意味しかない。
 全体に、いかにも娯楽的でうわついた戦争映画、日本軍の勝利に終わるから観客は黙って見ているがこれが、アメリカ軍の日本軍への勝利なら怒り出すだろう。

あらすじ

 中国奥地の前線で日本軍と中国ゲリラが敵対している。そこへ新任の士官が加わる。中国軍は商人にばけ日本軍を騙してトラックを爆破などしているがいよいよ大作戦を開始、まず日本軍の前線の砦を攻撃し、指揮官以外を全員殺す、新任指揮官(平良)は捉えられる。更に日本軍本隊を地雷原におびき寄せ全滅を計画する。そこへ中国人にばけた日本軍将校(一色と若葉)が救出に来るが、中国軍にばれ3人とも捉えられる。3人はそれぞれ好いてくれる女などを利用し、牢を脱出、反撃を開始する。将校1(若葉)は砦を脱出日本軍本隊を罠から救い全滅をまぬがれる。砦では日本軍将校2人が中国軍と壮烈な戦闘を開始、ついに銃弾もなくなり捕われるかとの間際、日本軍将校が弾薬庫に引火させ中国軍を撃破する、そこへ日本軍本隊が加わり日本軍が中国軍を全滅させる。3人の中で古手将校(一色)は戦死、若手将校を愛した日本人芸者も死ぬが、2人の新任将校は生き残り、日本軍将校を愛する中国女と共に帰っていく。