zames_makiのブログ

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グッド・バッド・ウィアード(2008韓国)満州の娯楽化

原題:THE GOOD, THE BAD, THE WEIRD
129分 韓国 配給:CJ ENTERTAINMENT=ショウゲート 公開:2009/08/29
監督:キム・ジウン 脚本:キム・ジウンキム・ミンス
出演:
ソン・ガンホ(ユン・テグ=WIRED変なヤツ)主人公、泥棒、植民地朝鮮から満州にきている、清国の宝の地図を奪った為追われる、BADと昔の縁=指切り魔、金で故郷に土地を買うのが夢
イ・ビョンホン(パク・チャンイ=BAD)馬賊を率いる殺し屋、植民地朝鮮から満州へ来ている、地図を追う、やたらと人を殺す
チョン・ウソン(パク・ドウォン=GOOD)賞金稼ぎ、朝鮮人、地図を追う、金で何かしたい夢がある
キム・ジウン監督が19330年代の満州を舞台に西部劇を真似して作ったアクション・エンタテインメント。
 1930年代の満州。そこは満州事変以降、様々な民族・人種が入り乱れ、無国籍空間と化した混沌の大地。プライドが高く、何事も一番でないと気が済まない“ギャングのボス”パク・チャンイは、荒野を疾走する大陸横断列車を襲撃する。その目的は日本軍が残した“宝の地図”。ところがそれを“間抜けなコソ泥”のユン・テグが横取りしてしまう。するとそこに、並外れた狙撃の腕を持つ“賞金ハンター”パク・ドウォンがチャンイの首を狙って現われる。やがて3人は宝の地図を巡って虚々実々の駆け引きを繰り広げ、さらに日本軍も加わって大混乱の争奪戦はますます激化していくが…。

感想

占領下の満州を舞台に作った徹底した娯楽指向の映画、西部劇でタランティーノ的な意外性のあるアクションで見せる物、だが主人公はあくまで朝鮮人で、悪役としてやたら殺される日本軍が登場するなど、歴史を完全には排除せずそれなりに配慮されている、宝の地図を追う争奪戦ばかりで物語に工夫がない、アクションもスケールは大きいが一本調子で面白くない、中の下。
 3人の男が地図の宝を巡って争い殺し合い物語りだがあくまで娯楽的な架空感を前面に打ち出した物。背景には、地図を奪われる日本人銀行家、それを警護する満州軍、日本の豪華な特急列車、中国人(満州人?)の馬賊、朝鮮の独立運動家、日本軍などが登場する。
 舞台は満州だが主人公はいずれも朝鮮人であり、金目当ての行動を互いに売国奴と呼び、主人公が金で祖国に土地を買い平和な暮らしを夢見るなど、映画は植民地支配を忘れた訳ではない。最初の舞台になる鉄道は満州鉄道の間島線であり、朝鮮族が住み古くは渤海国だと言及される。主人公らは金目当てだが「国はなくても金は求める」と弁解される。「石原大佐」に率いられた日本軍も登場し、主人公らにやたらと殺されるのも、娯楽的な通常の戦争映画と同じ構図であり、歴史背景に配慮されている。
 こうしたあからさまな娯楽映画では日本で作れば歴史背景はほぼ無視される(言及がまったくない)が、植民地支配された側(韓国人)が作ると完全な娯楽映画でも、歴史を忘れる事ができない事を示す例である。