zames_makiのブログ

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ガザ攻撃で参考になるフランスの記事

イスラエルのガザ攻撃をどう認識すべきかについては、パレスチナ情報センターや外語大の提供するアラブ語やイスラエルのニュースは大変参考になる。以下はそれに入らないフランス・ルモンド誌のニュースなので、興味深い部分をクリップする。

フランスルモンド誌の厳しいフランス批判

「対ガザ戦の結果はイスラエルの想定内か?」by アラン・グレシュAlain Gresh
ル・モンド・ディプロマティーク日本語電子版2009年2月号)
http://www.diplo.jp/articles09/0902.html
(要点)
イスラエルのガザ攻撃の目的は「パレスチナ人に敗北したと認めさせる」「それによりロケット弾など抵抗を止めさせる」事にあると思われるが、イスラエルはそれは失敗した。
・ガザ攻撃の結果起きたのは、パレスチナ人のハマスへのより強い支持と、イスラエルを批判するアラブ諸国(シリア、レバノン、モロッコなど)の結束、トルコ、イランなどの存在感の増大だ。
・欧州とフランスの姿勢は、1967年以降で最もイスラエルに同調的だ。攻撃前にEUはイスラエルと関係強化を行い、攻撃後も武器禁輸に協力し、人道援助以外の支援を認めないイスラエルの封鎖を支持している。
・アラブのメディアはフランスをアメリカと同様、酷いイスラエル支持と受け取っている

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(以下は要点抜粋)

2002年に当時イスラエル参謀総長だったモーシェ・ヤアロンは、「パレスチナ人の意識の奥深くに、彼らが敗北した民族だということを刻み付けなければならない」とあからさまに述べた。

この考えに、大半のイスラエルの指導者と同じくオルメルト首相も同感に違いない。アラブ人に理解できるのは力だけであり、「ガツンと一発」食らわせれば平和が訪れるだろう、とイスラエルの指導者は戦争のたびに繰り返してきた。リヴニ外相も「引き金から指を離すわけにはいかない」と述べた。

オルメルト内閣は和平を支持するというが、彼らの言う和平とは、19世紀にアメリカ政府がインディアン諸部族に押し付けたのと同じ種類の和平(土地など様々な先住民の権利の剥奪と居住区への監禁)でしかない。

イスラエルの)目的は、軍事・政治両面でハマスを長期的に弱めることだった−(しかしイスラエルが敗北と考えている)2006年のレバノンヒズボラと同様、ハマスもまた最後までロケット弾の発射を続けた


この戦争は中東の状況を大きく変えた。しかし、イスラエル指導部の思惑通りの方向にではなかった。−カタールとシリアを中心として抵抗勢力が結束を固めた−諸国の結束は、1月16日にドーハで開かれた会議で具体化した。アルジェリア、モロッコレバノンイラクなどアラブ12カ国のほか、イスラム諸国会議機構(OIC)の現議長国セネガルや、トルコ、インドネシアベネズエラ、イランが加わった。モーリタニアベネズエラボリビアと同様にイスラエルと断交し、カタールは貿易関係を凍結した。

地域で存在感を増したもう1つの国は、イスラエルとかねて同盟関係にあったトルコである−イランもまた、アラブ・イスラム圏での同盟関係拡大を通じて、地域での重みを増している

アラブ諸国(には)1967年にイスラエルが占領した地域に独立パレスチナ国家を樹立することと引き換えに、イスラエルと包括和平を結ぶという2002年のアラブ和平案があるが、これについてサウジ国王は、そういつまでも有効というわけではないと述べた。

2009年1月18日、砲撃はひとまず止んだ。−それまで抑え気味だったフランスのメディアも、この惨禍を伏せておくわけにはいかなくなった。

1967年以降のどの紛争の際にも増して、今回の欧州の姿勢、特にフランスの姿勢は、イスラエル政府に同調的だった。今から思えば、2008年12月初めに決定されたEUイスラエルとの関係強化は、ガザ攻撃へのゴーサインだったのではないか。

イスラエル政府はガザを厳しい統制下に置くつもりでいる。「我々の同意なしには、どのプロジェクトも認められることはないし、1ドルもガザに入ることはない」−この点に関しては欧州連合EU)−もイスラエル支持を表明

欧米首脳はアラブ大衆の意見などまったく取り合わない。2006年1月の民主的なパレスチナ選挙でのハマスの勝利も認めていない。

イタリアのベルルスコーニ首相はエルサレム訪問中に、「ロケット弾がイスラエルに発射されたと聞くと、イタリアにとって、西洋全体にとっての危険のように感じる」と述べた

エクスプレス誌の編集長は、イスラエル軍が「我々の平穏」を守ってくれている、と書いた
サルコジ大統領は何度となく、戦争の重大な責任は停戦を破ったハマスにあるという嘘八百を述べている。

(それに対して)アラブのメディアでは、穏健な諸国のメディアでさえも、フランスがブッシュ政権下のアメリカと同類扱いされ、かつてないほど攻撃されている。

フランスがガザへの武器密輸対策への参加を決めたことも、占領者の側を守ろうとする以外の何ものでもないと(サウジアラビアには)受け止められた。


毅然とした態度でイスラエルのガザ攻撃を非難したのが、南アフリカである。−ネルソン・マンデラは−「闘争の形態を決めるのは、常に抑圧者の側であって、抑圧される側ではない。抑圧者が暴力を使えば、被抑圧者は暴力で対抗する以外に道はない。わたしたちの場合、暴力は自己防衛の正当な形にすぎない