zames_makiのブログ

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イスラエルの戦争犯罪とパレスチナの内紛

2009年10月8日朝日ニュースターニュースの深層」で重信メイ氏はこれを以下のように解説した

ファタハアッバス議長はパレスチナとアラブ全体から非難されている。アッバス議長がイスラエル戦争犯罪を調査した国連人権委員会の報告書の国連での処理尾を阻止しているからだ。当初それはこれ以上イスラエルを刺激したくないという理由だと思われたが、実はイスラエルとの裏取引によるものだという。アッバス議長は2009年はじめのガザ虐殺の際にイスラエルと協議し、ハマスの支持者が多いガザのキャンプ(ジャバリア)への攻撃を容認したという。このスキャンダルをイスラエルに握られているからだという。この秘密協議の様子はイスラエルがこっそりビデオに撮影しており、一方その経緯自体はリークによりアルジャジーラなどのメディアを介してアラブの人々に知れ渡っているからだ。(同時にそれはパレスチナの分裂を図るイスラエルの意図的なリークであろうが)


以下は全てニュースクリップ

イスラエル追及自制したアッバス議長に批判集中(共同通信 2009年10月7日)

アッバス議長に批判集中 イスラエル追及自制で

エルサレム共同】パレスチナ自治政府アッバス議長が、イスラエルによる自治区ガザへの大規模攻撃を国連の場で追及する動きに自らブレーキをかけたとして激しい内部批判を浴びている。自治区では抗議行動が相次ぎ、議長側近は7日、地元ラジオに「(対応に)誤りがあった」と認めた。

 問題視されたのが、昨年末から約3週間続いたガザ攻撃について国連人権理事会の調査団が「戦争犯罪に当たる」と指摘した報告書への対応。同理事会は2日、報告書を支持して国連総会などに議論を移す決議案を採択する予定だったが、当事者のパレスチナ自治政府が土壇場で支持を撤回し、採択は来年3月に先送りされた。

 パレスチナ当局者によると、中東和平の仲介役の米国が、決議案が採択されれば和平交渉の早期再開が困難になると「強い圧力」をかけ、アッバス氏は撤回を迫られたという。イスラエルは、採択されれば「和平プロセスに致命的な打撃となる」と警告していた。

 一方、パレスチナの一部メディアは、アッバス氏がガザ攻撃のさなかにイスラエル指導部と秘密会談しガザを支配するイスラム原理主義組織ハマスを弱体化させるため作戦継続を要請したことを、今回イスラエルから暴露すると脅されたのが撤回の理由だと報じた

 パレスチナの人権団体は連名で、自治政府の対応は「司法による救済というパレスチナ人の権利を否定し、犠牲者を侮辱した」との声明を発表。ハマス幹部は「アッバスイスラエルと手を組み、パレスチナ人を裏切った」と激しく非難した。

ガザ戦争に関する国連報告書の行方(クドゥス・アラビー紙 2009年09月18日)

コラム:ガザ戦争に関する国連報告書の行方〜ガザ虐殺報告書は葬られるだろう

【アブドゥルバーリー・アトワーン(本紙編集長)】イスラエル政府は、ガザでの戦争犯罪に関する国連のゴールドシュタイン報告書が安保理やハーグ国際法廷へ到達するのを妨げるため、欧州ならびに合衆国に狂ったような外交攻勢をかけ始めた。イスラエルの政治家、軍人の上層部が法的に糾弾されては困るのだ。我々の考えを裏切らないアラブ政府は、政治的にも外交的にも完全な死に体であり、外交努力をしている節もなく、法律委員会を組織しようともしない。報告書を安保理国際法廷に到達させようという意思がない。

ラーマッラーのPAでさえ、アッバース大統領は完全な沈黙を守り、この重要な報告書について、組織としても個人としても何らの立場を示そうとしない。報告書は、この種のものとしては珍しく、過去60年間我々が待望していた貴重な成果を上げてくれる可能性があるというのに。「言葉の断食」は、ネタニヤフとリーバーマンを怒らせたくないというPAの意思表示なのか?それとも、ガザ市民の犠牲を出したイスラエルの攻撃に、自分たちも直接間接にかかわり、未だその関係が続いているせいか?
あらゆるニュース、外電をチェックすれば、国連パレスチナ代表が、この報告書についてコメントしているかと思い探したが、期待は裏切られた。安保理に、ガザの抵抗勢力は法の埒外にあるとの決議案を提出するような人物であってみれば、それも不思議はないが。

(中略)イスラエル政府は、調査委員長のゴールドシュタイン判事に対し、偏向している、あるいは主題から外れているといった言いがかりをつけることはできない。また、テロリズムに対しては、彼らがイスラエルの人種主義、流血を好むナチズムを批判する度に、伝家の宝刀「反セム主義(ユダヤ人差別)」を抜く事ができるのだが、同判事に対してそれは不可能である。この人物は、シオニストユダヤ人、イスラエルの親しい友人である。その娘はテルアビブ在住と言われる。そのため彼は、報告書を最大限婉曲にまとめたはずだ。

(中略)この報告書に対する米国の冷淡さを遺憾に思う。より残念なのは、仏報道官が報告書の有効性に疑問を呈していること、そして恥ずべき英国の沈黙である。

ガザの国連事務局が砲撃された時、事務総長は調査委員会を組織し報告書を作成した。2年前、イスラエル軍がベイト・ハーヌーンでひと家族全員を殺害した事件について、デズモンド・ツツ大司教の委員会が報告書を提出した。我々は、今回の報告書も、それらと同様の運命に陥るのではないかと懸念している。

アラブ政府は沈黙し、PAは、入植凍結ばかりを訴え、ガザで未だ封鎖されている150万については何らの動きも見せない。となれば、過去イスラエルが、あらゆる報告書、全ての国際報告書に対してしてきたように、今回の報告書も葬り去ろうとする、それが成功しないはずはないだろう。

(中略)ゴールドシュタイン報告書を葬り去ろうとするイスラエルの攻勢は、ほぼ成功するだろう。報告書に対する反証が強力だからというわけではない。アラブ諸国政府が、その攻勢に同調し、ガザとそこでの殉教者たちには何らの注意を払わないから、成功するのだ。ガザを訪れたカーター元米大統領は、そこの住民が封鎖下で動物同様に扱われていると発言した。それと同じことを言うアラブ首脳が一人でもいるだろうか。ためらいなく、口ごもることもなく、この言葉を述べるアラブ元首が現れれば、その時はイスラエル攻勢が敗れると確信できるのだが。

アッバス議長、国連報告書の採択延期に同意して批判の的に(毎日新聞 2009年10月7日)

ガザ攻撃糾弾国連報告、採択延期に同意 アッバス議長、批判の的に

エルサレム前田英司】イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区攻撃を「戦争犯罪」と糾弾した国連報告書への対応を巡り、パレスチナ自治政府アッバス議長が厳しい内部批判にさらされている。国連人権理事会で予定された報告書支持の決議案の採択が、議長の「同意」により来年3月の次回会期まで延期されたためだ。ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスは議長を「反逆者」と非難し、これを理由に、議長側との和解に難色を示している。

 報告書は先月15日に公表。イスラエル軍とガザのパレスチナ武装勢力の双方を「戦争犯罪」と非難し、国連安全保障理事会に対して、当事者の公正な調査を求めるよう提言した。応じなければ国際刑事裁判所に付託すべきだと勧告している。

 人権理は2日、報告書を支持する決議案を採択し、議論の場を安保理に移す予定だった。しかし、AP通信によると、今期から理事国になった米国が強く抵抗。「中東和平交渉に悪影響を与えかねない」とアッバス議長を説得し、採択延期に持ち込んだという。

 ガザ攻撃を「正当防衛」と主張するイスラエルも「報告書を安保理に送付すれば和平交渉再開の希望はついえる」と警告していた。

 人権理が議題を先送りするのは異例。アッバス議長側は「報告書へのさらなる支持獲得のための延期」と釈明したが、パレスチナ内部では議長が圧力に屈し、イスラエルの「戦争犯罪」を追及する矛を収めたと映った。

 ハマスの強硬派幹部ザッハール氏は5日、アッバス議長を「もはやパレスチナの代表と見なさない」と批判。ハニヤ最高幹部は「こんな状況で同じテーブルに着けるだろうか」と述べ、議長の母体ファタハとの対立解消に疑問を示した。

 ハマスファタハの仲介を続けるエジプトのアブルゲイト外相は5日、訪問先のヨルダンでの記者会見で、両者が25日にカイロで協議し、そこで和解が成立する可能性を示唆していた。

 アッバス議長への不満はファタハ内部でもくすぶっている。議長の基盤のヨルダン川西岸ラマラでは5日、数百人が集まり、「報告書を無視することは(ガザ攻撃で死亡したパレスチナ人の)犠牲を無視することだ」と抗議した。

 一方、シリアも議長を非難、6日からの議長の同国訪問中止を発表した。

米国がゴールドストン報告書を妨害(HRW 2009年10月2日)

国連:米国がゴールドストン報告書を妨害 それでも、遅延なき法の正義の実現を 〜イスラエルハマス戦争犯罪の捜査を求めよ

国連人権理事会は、米国その他の政府の妨害により、ゴールドストン報告(Goldstone’s report)書についての投票を2010年3月まで延期。この決定により、米国やその他ゴールドストン報告を妨害した各国政府は、イスラエル政府とハマスに信頼性のある捜査を開始するよう求める義務を負ったことになる、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。国連事実調査団(ゴールドストン団長)は、昨年12月から3週間にわたり続いたガザ地区攻撃の際に、戦争法(国際人道法)違反行為が行われた証拠を多数入手。この国連事実調査団の調査結果をきっかけに、イスラエル及びハマス双方に対する信頼性の高い調査が行なわれるべきである。

米国は、投票延期を強要し、リチャード・ゴールドストン判事が率いた同調査団への批判を展開した。これまでの米国の主張に基づけば、信頼性が高く、公平で、かつ国際基準を満たした捜査をイスラエルが行なうよう、米国は特別の責任を負っているというべきである。(詳細は、ヒューマン・ライツ・ウオッチ作成のファクトシート「ガザではなぜ法の正義がないか?」参照http://www.hrw.org/en/node/85900

(中略)イスラエル軍の行なった行為に対する政府の調査は、これまで惨憺たるものだった。イスラエルの人権団体B'Tselemは、昨年12月から今年1月まで3週間にわたったガザ地区攻撃の間に、戦闘に関与していない民間人をイスラエル軍が殺害した773件の事件を調査して取りまとめた。それにもかかわらず、イスラエル政府は、今日までに、クレジットカードを盗んだという容疑で一人の兵士に有罪判決を言い渡しただけ、と明らかにしている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ハマスなどのパレスチナ武装勢力が戦争法違反容疑についてしっかりした調査を行なっていないことについても繰り返し批判をしてきている。

(中略)ウィットソンは、「ネタニヤフ首相は、和平交渉がだめになるといってゴールドストン報告書を拒否した。しかし、平和を実現するために法の正義の実現は欠かせない。ネタニヤフ首相の拒絶は、法の正義に対する情けない攻撃に過ぎない。」と指摘し、「あまりにも長く続く不処罰のほうこそが、平和への脅威である」とした。

国連調査団が報告、イスラエルがガザで戦争犯罪(CNN 2009年9月29日)

イスラエルがガザで「戦争犯罪」、国連調査団が会合で報告

国連人権理事会の調査団が、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザの侵攻について「戦争犯罪に相当する行為」と厳しく批判する内容の報告書をまとめ、29日にジュネーブで開かれる国連人権理事会の会合で報告する。

調査団は昨年12月27日から今年1月18日まで続いたイスラエルのガザ侵攻について調査し、イスラエルの行為について「戦争犯罪、そして恐らくは人道に対する罪に相当する」と認定した。

報告書では、イスラエル軍が「民間人の犠牲を避けるために国際法で定められた安全措置を取らなかった」と認定。住民や国連職員に対して事前の警告を行わないまま民間区域で病院などを意図的に狙って化学兵器白リン弾を撃ったほか、パレスチナの民間人を「人間の盾」として使い、ガザの食糧供給源を意図的に攻撃したとしている。

パレスチナ側についても、民兵による戦争犯罪があったと指摘したが、報告書の大部分はイスラエル批判に割いている。なお、イスラエル政府は調査に協力しなかった。

報告書は国連安全保障理事会からイスラエル政府に対し、3カ月以内に報告書の内容について適切な調査を要求するよう勧告。さらに、イスラエル戦争犯罪について国際刑事裁判所(ICC)で検討することも求めた。

また、パレスチナ側に対しても、民兵による戦争犯罪についての調査、人道法の遵守、イスラエル兵の釈放を求めている。

29日の国連人権理事会会合では調査団を率いる南アフリカのリチャード・ゴールドストーン判事が報告書を発表し、続いて国連人権高等弁務官が演説する。

米報道官、国連報告書は不公平と批判(日経新聞 2009年9月19日)

ガザへの攻撃、報告書「不公平」と批判 米報道官

【ワシントン=共同】ケリー米国務省報道官は18日、昨年末から今年1月のイスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃を「戦争犯罪に当たる行為」とした国連人権理事会調査団の報告書を「不公平」と批判し、イスラエルに配慮する姿勢を示した。
 報道官は記者団に、報告書が「圧倒的にイスラエル軍の行動に焦点を合わせている」とし、もう一方の当事者でガザを支配するイスラム原理主義組織ハマスへの言及はためらいがちだと述べた。

イスラエル戦争犯罪を指摘した国連報告書(HRW 2009年9月16日)

ゴールドストン調査報告書の提言を実施すべき〜国連安保理は被害者たちのため、戦争責任の追及による法の正義の実現を

(中略)2009年9月5日に公表された事実調査団の報告書(575ページ)は、意図的な殺人、民用物に対する意図的攻撃、民間財産に対する過剰破壊、無差別攻撃、人間の盾の使用、ガザ地区封鎖の継続というガザ地区民間人住民への集団処罰など、イスラエル軍が犯した国際人道法の重大な違反行為を明らかにした。そのなかには、戦争犯罪に該当する行為があるとともに、人道に対する罪に該当する可能性のある行為もあると認定。

一方で、報告書は、パレスチナ武装勢力によるガザ地区からのロケット弾攻撃についても、民間人の生命を奪い、イスラエルの民間人を恐怖に陥れるために、意図的に計算された行為と認定。よって、こうしたロケット弾攻撃も、戦争犯罪に該当するとともに、人道に対する罪にも該当する可能性がある、と事実調査団は結論付けた。


(中略)ガザ地区攻撃についての事実調査団は、今年1月に国連人権理事会によって設立された。事実調査団の権限は、当初、イスラエルによる違反行為の調査のみを行なうという不当な制限がついていた。しかし、その後、人権理事会議長が、ハマスなどのパレスチナ武装グループの行為に対する調査も対象に含めるよう権限を拡大。議長がこうした変更を明らかにし、国連人権理事会はこれを事後的に追認する形となった。著名な国際法律家であり、旧ユーゴスラビア戦争犯罪法廷及びルワンダ戦争犯罪法廷の元主任検察官であるゴールドストン判事が、イスラエルパレスチナ武装グループ双方を調査することを明らかにしたうえで、事実調査団を率いることとなった。

事実調査団は、188名の個人に聞き取り調査を行い、30を超えるビデオと1200を超える写真に加えて、300を超える報告書などの文書記録を検討。

イスラエルは、事実調査団への協力を拒否し、質問への回答も拒否。表向きの理由としては、人権理事会も、事実調査団を設立した当初の決議も、イスラエルへの偏見にまみれているから、という。しかしながら、イスラエルは、今回のガザ地区攻撃についてのその他の調査に対しても協力を拒否してきており、調査は避けたいというのがイスラエルの協力拒否の真の理由であろう。イスラエルは、ゴールドストン調査団チームに対して、イスラエルへのビザ発給を拒否。そこで、調査団は、イスラエルからジュネーブに証人たちを招聘し、公開審理で証言の聞き取りを行なった。

ハマス及び西岸地区のパレスチナ自治政府当局者はチームの調査に協力。しかし、「ガザ地区で調査団が聞き取りを行った人々には、武装組織の行動について話をするのをいやがる傾向はあった」とも報告書は指摘している。ゴールドストン調査団のチームは、6月初旬、エジプト経由でガザ地区を訪れた。

「人権理事会は、これまで公平さを欠き、イスラエル問題ばかりに焦点をあてていた。しかし、ゴールドストン報告書は、紛争両当事者の戦争責任を正確にかつ専門性をもって調査した。政治性などまったくない報告書だ」とウィットソンは述べた。「イスラエルは、軍の行動に対する調査から逃れようと逃げ続けるべきでない。逆に、今回、人権理事会におけるイスラエルパレスチナ紛争の取扱いが、よい方向で変化したことを歓迎すべきだ。

イスラエルのガザ攻撃は戦争犯罪、国連人権理が報告(朝日新聞 2009年9月16日)

イスラエルのガザ攻撃は「戦争犯罪」 国連人権理が報告

【ニューヨーク=松下佳世】昨年末から約3週間続いたイスラエル軍パレスチナ自治区ガザ攻撃について調べるため国連人権理事会がつくった調査団が15日、報告書を公表した。一般市民を意図的に攻撃したイスラエル軍の行動は国際人道法違反で、戦争犯罪に当たると批判する一方、軍事行動のきっかけとなったガザの武装勢力によるイスラエルへのロケット弾攻撃も、戦争犯罪などに該当すると認定した。
 報告書は、礼拝中のモスクを爆撃したり、パレスチナ人を「人間の盾」にしたりといったイスラエル軍の行為が戦争犯罪に当たると主張。非人道兵器とされる白リン弾を住宅密集地で使うなどの過剰な軍事行動の実態を指摘した。
 さらにイスラエルに対し、公正な独自調査を要求するよう国連安全保障理事会に勧告。同国が十分な対応をしない場合には国際刑事裁判所(ICC)に付託するよう求めた。
 報告書は4人の国際法専門家が3カ月をかけてまとめた。ガザを中心に犠牲者ら約200人の関係者から聞き取りをしたが、イスラエルは協力を拒み、同国当局者らへの事情聴取はできなかった。