zames_makiのブログ

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映画「シンゴジラ」感想

たまたま今日「シンゴジラ」を見たので感想を少し(備忘録的に)・・・(http://blog.talktank.net/p/shin-godzilla.htmlへの感想もかねて)
あの映画を真面目な映画として素直に論じている人がいるのが面白い、
というか騙される素直な観客はやはりいるのだなあと思う。
シンゴジラ」は確かに東日本大震災の比喩で満ちているが結局、娯楽映画と言うべきだ(正確にはそう見せかけている)、というかその範疇にとどまっている。
普通に見れば東宝ゴジラシリーズ的展開によるラストはハッピーエンドだし、それに至る解決策はあまりに容易に見えるから、東日本大震災の比喩で言えば自衛隊による水投入作戦でメルトダウンが止まる、といった筋書きに相当する。

だが果たしてハッピーエンドなのか?
確かに監督が見せようとしている像(演出)はハッピーエンドだろう(ブログ主も明らかにそう受け取っている)。しかしゴジラを東京のまん中に残しいつでも東京への核攻撃を出来る状態にした終わりを真面目に考えればとんでもない悲劇だ。
それは(ゴジラを東京に残したように)福島後にも原発を稼働し、(核攻撃のように)いつまた巨大大地震が来るかもしれないのにそれへの真摯な備えは放棄した今の日本をそのまま写している。更に、竹野内豊の演じる政治家は一見よい奴に見えるが、ただ復興を進めるのが政治家の役目と現実から目を背け続ける安倍首相に似ており、それが次代を背負うという暗い将来を示すとんでもない悲劇を示している。

映画「シンゴジラ」は現実を鋭く批判したとんでもない悲劇的状況をうわべだけハッピーに、アニメ的に楽しく見せている。これは本来はとんでもないシリアスな社会批判であり警告である、しかし演出はまるでアニメで東宝ゴジラシリーズの伝統に従ったなんとなくハッピーエンドである。

だから馬鹿な観客は騙される
・(娯楽好きの馬鹿な観客は)盛り上げにかけるつまらない娯楽映画だったな、と言い
・(シリアスな現実劇しか念頭にない頭の固い観客は)説得力がない、中途半端だ、と言うのだろう。

劇映画は商品である。見飽きた娯楽映画では10億円は稼げないし、頭の固いシリアスな話では数千万円しか稼げない。映画製作者が両者の中間を狙うのは当たり前だし実際ゴジラの1作目はそうやって作られ、今回もそうして数10億円を稼ぐのだ。だが観客に見る目があれば初代のゴジラを上回る重要な良心作だろう。