zames_makiのブログ

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間謀中野学校 国籍のない男たち(1964)

1964年(S39)/日活/白黒/90分
■監督:野口晴康/原作:戸川幸夫/構成:松浦健郎/脚本:中西隆三、銀座三十五/撮影:岩佐一泉/美術:松井敏行/音楽:河辺公一
■出演:二谷英明岩崎加根子山本陽子、西尾三枝子、藤竜也深江章喜近藤宏
太平洋戦争のさなか、陸軍少尉の主人公は極秘命令を受けて中野学校の門をくぐった…。スパイのきびしい訓練と、中支戦線における実践、それに絡まる悲恋など見ごたえたっぷり、二谷英明主演の異色アクション篇。

感想・批評

日活無国籍アクション風戦争映画。リアルさなく、また活劇的興奮にも欠けつまらない、戦争の実態を無視した営利目的に歴史と記憶を乱用する日本社会の流れに反する批判されるべき戦争映画。中国占領地(都会)での日本軍スパイ(中野学校将校)と中国人ゲリラ(表向きは女給)との愛を描き、その娘の18年後の復讐劇という、いかにも無国籍アクション風の、突飛で意外で急展開な活劇だが、あまりにリアルさに欠ける。登場人物の日本→中国の寝返りが急展開をもたらすが物語話法的にも歴史的リアルさでも説得力に欠ける。

 物語は日本軍人の中国ゲリラによる惨殺死や、日本は負けるべきである、などという戦後的価値観で描かれているが、リアルさに欠けるのでそれに意味を受け取れない。日活、東映などが戦争をアクションの素材としてだけ利用した場合の最悪の例。ラストのみは敗戦は必至と確信した間諜が日本軍を売るとなっており戦後的価値観となる。




上映 ラピュタ阿佐ヶ谷

1月9日(水) 〜15日(火)

あらすじ(キネ旬

戦後十八年、戦争の傷痕は、まだ黒い血をしたたらせていた。宋明花と有坂明夫父娘の話もその一つだ。太平洋戦争の最中、陸軍少尉有坂は極秘命令を受けて陸軍省情報研究所の門をくぐった。有坂の任務は中国戦線の最先端に潜入し諜報活動を行うことであった。有坂の他、原田、市川の二名は、軍服を脱ぎ連日連夜死にもの狂いの訓練に明け暮れた。半年にわたる猛訓練の結果残ったのは有坂のみ、市川少尉は死亡し、原田は行方不明であった。有坂に中支潜入の命令が下った。宝石商の店員となりゲリラの本拠を探ることだ。前線の軍司令部で有坂は軍籍を剥奪され、生死不明という原田に遭った。彼の訓練中の失敗を恐れた軍が、追放同様に中国前線に送ったのだった。ゲリラの暗躍に悩まされる前線の将兵の間にも自暴自棄の空気が充ちていた。原田もまたニヒルな人間となっていた。有坂は店員となって住み込んだ胡宝石店で、妹の病気のため指輪を売りに来た酒場の女給宋蘭花を知った。彼女が妹の病気に効くキニーネを探していると聞いた有坂は、日本軍の管轄下にある病院の院長宋に頼んだが拒絶された。一方、ゲリラに悩まされる軍司令部は、ゲリラ掃討の一個中隊を用意したが、日本軍は完全に裏をかかれ全滅した。軍法会議に廻された有坂が再び司令部に帰ると、意外な報告が待っていた。蘭花のアパートがゲリラの本拠であり、その首領が宋だというのだ。しかも宋は蘭花の兄だという。この情報を売ったのは原田で金のためにゲリラと日本軍の情報を売っていたのだった。もはや有坂の心には戦争の憎悪と蘭花の愛情だけがあった。砲火の中、蘭花は有坂に彼との娘を預けると機関銃の台座に消えていった。明花はその時の忘れ形見だったのだ。