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噫呼中村大尉(1931)満州事変の英雄

「噫呼中村大尉 」公開:1931.10.04 製作:新興キネマ 監督:中島宝三 脚本:入江一夫 原作:入江一夫 主演:中野英治(中村大尉) 白黒 無声

軍歌「噫、中村大尉」

作詞:伊藤松雄 作曲:永井巴(収録:軍歌・戦時歌謡大全集3/戦時歌謡1)

1.
義勇奉公四つの文字
胸に刻みて鞭を揚ぐ
丈夫中村震太郎
行手は遠し興安嶺

2.
国家の保護と国権の
維持とは兵の力なり
尊き使命負ふ身には
何の恐るることやある

3.
荒漠千里故郷を
偲ぶ露営の草枕
妻に便りの筆とれば
夜空さびしや北斗星

4.
蒙古の春は遅けれど
つつじは散りて白樺の
若葉は燃えんこの門出
山に入る目よいざさらば

5.
駒の噺き鳴る蹄
たてがみに吹く朝風を
たちまち乱す銃声は
暴戻飽くなき屯墾軍

6.
残虐鬼畜の振舞ひに
従容として死に就ける
英霊滅びず永久に
護国の神と仰がれん

MLによる説明

中村震太郎陸軍大尉は、陸士、陸大出身のエリート軍人で、当時陸軍参謀本部勤務の参謀でした。1931年6月北満州の軍用地誌調査の命を受け、密偵として立入り禁止地帯に潜入しましたが、中国側に見つかり、処刑されました。このようにスパイが他国の領土に潜入して逮捕、処刑された場合は、双方とも頬被りして、闇に葬られるのが一般的のようですが、関東軍は公表して、中国側を非難しました。

 そして中村大尉は受難者として軍国美談のヒーローに仕立て上げられ、歌にも映画にもなりました。そういう観点で、「噫、中村大尉」の歌詞をご覧になりますと、その意味がよく理解されると思います。その結果、「暴戻飽くなき屯墾軍 」と世論は盛り上がり、3か月後関東軍が引き起こした満州事変への導火線となったともいわれています。
 なお中村は死後少佐に特進し、「護国の神」として靖国神社に祀られました。