「007は二度死ぬ」に見る日本の表象
1962年から始まったシリーズの5作目で冷戦下の米ソ宇宙戦を題材にしたアクションと異郷としての日本がテーマとなっている。
- タイトル=日本傘と活火山の溶岩がイメージされたタイトル
- 冒頭:中国女と寝たボンドは「中国女は味が違う」と言う
- 日本ついたぞという描写=街中で客を乗せる人力車、「ミカド」のイルミネーション、ボンドはいきなり相撲部屋に行きチケットをもらい相撲見物、日本女(若林映子=英語下手)に合言葉であるアイラブユーといきなり言う。特別オープンカーに改造したトヨタ2000GTに乗って料亭へ、和服を着たいわゆる在留外国人的なヘンダーソンに和洋折衷様式の部屋で会う、ヘンダーソンは1942年シンガポールでおそらく日本軍に攻撃され片足を失っている。
- 敵(米ソの戦争勃発を狙う悪の組織)のアジトは日本の会社(大里)でそのビルの階は西洋のつくりだが、大きな仏像がいくつも置かれ、「大里」と会社名が壁に大書きされている。→このデザインは映画「JM」(1995)で繰り返されている
- 日本側エージェントの首領タナカ(丹波哲郎)は私をタイガーと呼んでくれと言う。移動用の私物の車だと言い誰もいないプラットフォームから地下鉄丸の内線に乗る、内部は個人用になっている。タナカの家での接待は外人の夢、家は大きな料亭のようでだだ広く、出てきた日本女(白の水着で西洋風)が男を王様のようにもてなす。服を脱がされ全て任せて風呂に入る。日本では男が1番、女は従うものとタナカは言う。特に日本女はボンドの胸毛に夢中だという。日本側エージェントのアキ(若林映子)が出てきて、何でもしますとボンドにメロメロ状態で言う。
- 敵の会社はホテルニューオータニ?のようでモダン。会社を出るとカーチェイス。敵の車はクラウンで下町→代々木体育館→郊外と、実際の地理を無視し描写され、敵の車をつりあげたヘリは東京タワーを背景に飛ぶ。
- タナカの練習場は姫路城下にあり忍者を育てている。柔道、真剣での剣術をたくさんの日本人が屋外で練習している。ボンドも練習して紛れ込んでいた敵を殺す。城を背景に空手の練習。
- 敵の島に潜入するためボンドは日本人になる。練習して忍者になり、付けまつ毛とカツラ、毛染め(下の毛も)で日本人に化ける。更に島の女と本式に神社で結婚式をあげる。山の中の神社で、首領も同席して相手の親族もいて結婚式をあげる。神主の祝詞や巫女の三三九度は実物ままと思われる。島の人に主人ですと言う浜美枝。だがボンドには英語で喋り仕事で一緒にいるので寝るのは断られる。がっかりしたボンドは箸で生牡蠣食べようとしていたのをやめる。作戦成功後ボンドはボート上で浜美枝に迫る。
- 日本側エージェントのアキ(若林映子)はボンドと寝るのが嬉しくてたまらない、しかし事の後寝ている間に天井にしのんだ敵の忍者が、紐に毒液をたらして口にそそがれ、間違ってアキが飲んでしまって死ぬ。→明らかに江戸川乱歩の利用
- ボンドは麦わら帽姿で日本人に化けて小船で島に入る。島には海女さんが泳ぎ、水のたまった火口は阿蘇山のよう。島民は普通の村民のようだ。火口の下には敵のアジトの描写、アナウンスの言葉は日本語がはさまるが台詞はまともだ。
- 敵のアジトは火口下の秘密基地。広い構内のアナウンスは日本語でまともだ。ボンドは捕まるがタナカの率いる忍者(灰色のシャツで背中に刀を背負う)がロープで一斉に降りてくる。→このロープのシーンは映画「ブラジル」(1985)で繰り返されている。
「007は二度死ぬ」原題:You Only Live Twice 1967 英国
監督:ルイス・ギルバート 原作:イアン・フレミング 脚本:ロアルド・ダール 音楽:ジョン・バリー テーマ曲:レスリー・ブリッカス 主題歌:?
出演:
ショーン・コネリー(ジェームズ・ボンド)女たらしの工作員、日本女と結婚し日本人になりすまして敵の島に潜りこむ
若林映子(アキ)日本側エージェントボンド担当、ボンドと寝るが寝ている間に殺される
浜美枝(キャッシー鈴木)島の女、ボンドと結婚する、水着姿のボンドガール
丹波哲郎(タイガー田中)日本側エージェントのボス、地下鉄丸の内線を私用に使う
ドナルド・プレザンス(ブロフェルド)悪の組織の首領、ドイツ人
テル・シマダ(大里)大里会社の社長、実は敵、設定は日本人だが日本語喋らない
カリン・ドール(美女ヘルガ):敵の女、ボンドと寝るが飛行機で裏切る
? ヘンダーソン日本でのエージェント、1942年にシンガポールで日本軍?により会足を失う、ドイツ人風、殺される
バーナード・リー ?
ロイス・マクスウェル ?
デスモンド・リュウェリン ?