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人間の戦場〜パレスチナvsイスラエル(2002)TBS

◇人間の戦場〜パレスチナvsイスラエル 2002?〜2008 120分×5回
制作:TBS 編集・取材:徳光規郎
=何千年もの宗教的対立による根深いものと物語的・印象的・美学的に説明する、おかしなドキュメンタリーの代表。TBSのカイロ支局長徳光規郎氏の独断的作家性によると思われる。長時間の取材により様々な絵が得られるのはよいが、説明や切り口はおかしい。
 例えばエルサレムのホテル支配人は子供の頃は国境が数メートル先だったのが今ははるか遠くと屈託なく言うのに対し、なぜ国境が移動したのかと問わずに、国境が近かった時は大変だったと感傷に浸る。
 例えばイスラエルの入植地を囲む分離壁を、分離壁で守らねば攻撃を受けると説明し、なぜ入植地がそこにあるかは問わない。
 例えば、イスラエルの労働者が2002年時点ですでにルーマニア人、中国人にかわりつつある事を紹介するが、それまでいたパレスチナ人(アラブ人)が、なぜそこで働いていたか、どのように低賃金労働を強いられていたかは問わない。
 例えば、イスラエルパレスチナを報復の連鎖と紹介し、双方の宗教的指導者の話だけを対比的に紹介する、それがあたかも根深い宗教的対立であるかのように見せる。
 例えば、1970年代にレバノンパレスチナ人を虐殺し、イスラエル国内でも残酷な処刑人・犯罪的な強圧者とみなされていた「血のシャロン」=シャロン首相(2002年当時)を、そうした説明をまったくせずに、彼のごく個人的な部分だけを紹介する。(以上第1部)

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TBSの誇るドキュメンタリー作家、徳光規郎の「人間の戦場シリーズ」ユダヤ人とパレスチナ人の泥沼の闘争を見つめつづけた、中東問題の決定版。2002?年から2008年にかけて制作、Bs-iで放送。パート2「ダビデの歪んだ星」は平成15年度(第58回)文化庁芸術祭優秀賞。2009/3ヒストリーチャンネルで再放送。

(第1部)「人間の戦場1 呪われた大地に生まれて」

放送:? (TBS BS-i) 再放送:2004年5月1日、2008/9/21
 2000年9月の衝突に端を発したユダヤパレスチナの争乱。同じ血を分けた二つの民族は、新しい世紀を、また闘いで幕開けしました。アメリカ主導の平和交渉は「偽り」、占領地からのイスラエルの撤退は「幻想」…。アラファト議長の政治の現実が難民を絶望させ、聖地にこだわる偏狭さを嫌うユダヤの若者達が国家から離反しつつあります。
 イスラエル独立の日から続く憎悪と流血の連鎖で、「経済」すなわち日常生活さえも危機に瀕しています。包囲されたパレスチナの苦境、「観光業」の壊滅によるユダヤの苦境。特に、これまでほとんど報じられていない「経済の窮状」を含めたパレスチナ問題の全貌をお伝えします。

(第2部)「人間の戦場2 ダビデの歪んだ星」

放送:?(TBS BS-i) 再放送:2002年5月8日、2008/9/28 平成15年度(第58回)文化庁芸術祭優秀賞
 新たな文明への序曲にも思えるユダヤパレスチナの死闘は、今、文字通り泥沼にあります。憎悪がひとつの流血を生み、流血への憎悪と報復が新たな流血をもたらす報復の連鎖…。"我の他、神無し"と過激に強いる唯一の神「ヤホベ」。その神がモーゼについてこう語ります。「我はお前の主…お前は神…我は熱情の神…我を否む者には父祖の罪を3、4代までも問う」神がモーゼに与えた"約束の地"を守るため、ユダヤは自らを繰り返し「聖戦」に駆り立てます。もし"幸福な民族には歴史がない"という言葉が真実だとすれば、ユダヤが経験したいくつもの不幸は彼らに数奇な歴史をもたらしたことになります。ユダヤイスラエル」の国家はなぜ戦いを続けるのでしょうか?彼らの神「ヤホベ」と歪んだ歴史の裏に、何が刻まれているのでしょうか…?

(第3部)「人間の戦場3 中東・命の水をめぐる闘い」

放送:?(TBS BS-i) 再放送:2002年5月15日
 乾いたアラブの大地にあって、冬には雪に埋もれるレバノン山脈は、古くはレバノン山脈を育み、地中海を最初に征した民族、フェニキュアの繁栄を支えた山並みだが、今その豊かな「雪解け水」が和平の鍵となっています。しかし、その'水'が、「地球温暖化」の影響もあって先細りの'渇水'の危機にあります。
 湾岸戦争アラビア海に楔を打ち込んだアメリカはイラクへ戦争後、中東全域の'民主化'を目指していますが、いっこうに解決の兆しすらみえません。それだけではありません。今後、アメリカの思惑は、この水の問題を含めたイスラエルの存在をより確かなものにというところにあるのではないでしょうか?先行きの見えない「和平」ロードマップのうらで、新たに持ちあがっている、命の水を巡る闘いに焦点をあてます。

(第4部)「人間の戦場4 エルサレムに生と死の詩を 」

放送:2008年10月22日 19:00〜21:00(TBS BS-i) 再放送:?
 ナチス・ドイツの「ホロコースト」によって、600万人とも言われる犠牲を強いられたユダヤ人は、有史以来、いわれなき迫害の歴史の中で恐怖、絶望、怒り、憎悪をさまざまな形で表し、打ち付けてきました。 3000年前、ローマに追われた“バビロン幽囚”では、チグリス河の畔で遠い聖地エルサレムへの望郷の想いをつづり、アウシュビッツナチス絶滅収容所」では、民族の宿命を呪い、狂気にうち震える叫びをうたってきたユダヤの民。今、彼らは聖地エルサレムを奪還しながらも、4度の戦いで、逆に自分たちと同じ運命を強いる形となったパレスチナの難民たちの憎しみと報復の刃におびえ続けています。
 不幸な歴史と運命はしかし、ユダヤパレスチナ双方の民に狂気の叫びとも言える“芸術”を造らせています。いずれも、生まれ故郷や祖国への熱い想いに絶望と憎しみを隠し、さらなる戦いの歴史を紡ぐものでしかない“不幸の民”の悲しい芸術です…。
 番組では、ユダヤパレスチナの人々が踊らされる戦いの悲劇の中で紡ぎ、綴ってきた詩や絵画、音楽を紹介することで、“呪われた民”の心を覗きます…。 ユダヤ人である指揮者、レナード・バーンスタインは聖地、エルサレムで定期的に演奏会を開いており、世界最高の芸術が当たり前のように“人間の戦場”を舞台に繰り広げられています。

(第5部)「人間の戦場5 ひとつの国と418の村」

放送:2008年10月26日 14:00〜16:00(TBS BS-i) 再放送:?
イスラエル建国60年の裏で“難民”生活を送る1000万人のパレスチナ人の今とは?
 有史以来、紛争に明け暮れた中東の地に、第二次大戦でのユダヤ人の悲劇を受けてひとつの「国」イスラエルが生まれる・・・。2000年の迫害と虐殺…流浪の果てに手にした祖国であったが、そこには先住の民・パレスチナの静かな営みがあった。イスラエルの建国…その陰で418ものパレスチナの村が消える。流浪の民ユダヤの為の「ひとつの国…」の誕生は、難民となって故郷を追われる新たな彷徨う民、パレスチナを生み出すことになる。以来60年、パレスチナ人はどんな運命を生き抜いてきたのか…。4度に渡る中東戦争アラブ諸国に追われた難民は1000万人にも膨らんでいるが番組は悲劇の民・パレスチナの60年と今を克明に綴ってゆく。
 華やかに建国60年を祝うイスラエルの歓声を、テレビ画面に観るパレスチナ難民達・・・。彼らの表情から紐解き“離散の民”の過酷な運命の真実を改めて問い直す。パレスチナ問題が、ハマス(過激派)が手にする銃だけではないこと・・・派手なテロや殺戮の蔭で、殆ど伝えられること無く、今は忘れかけているその大きく複雑な拡がりを検証することで不条理な悲劇の真実に迫りアメリカが主導する和平に何が欠けているのかを考えてゆく。パレスチナ難民が涙を忘れ怒りを捨て去る条件とは一体どういうものなのか?