zames_makiのブログ

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ガザ研究家サラロイ氏講演録、「新しい普遍性」を求めて(東大)

タイトル:「新しい普遍性」を求めて、―ポストホロコースト世代とポストコロニアル世代の対話
=大変貴重な対話、徐京植氏が丁寧に準備され細かい質問リストを作成送付した上で対話したので深まったと思う。内容は他で聞けないもの。サラ・ロイ氏の著書が翻訳されておらず、メディア等でも読めない現状では本当に貴重だ。しかし参加者は50人程度で少なく、東大学生はほとんど参加しておらず、一般人が多いと思われた。内容は(できれば詳しく別記したいが)ガザの研究ではなく、頭記「新しい普遍性を求めること」。即ち、ホロコーストや植民地の事実・経験をどう普遍化するかである。すなわち人々にどうわかってもらうか?ここで人々とはかつて占領者であった者=日本人や西欧、現在占領者である者=イスラエルの事であり、彼らが如何にそれらを理解していないか、が浮かびあがってしまう。

内容はネット上で読める文章(「ホロコーストとともに生きる」と大きく重なるが、実際に講演を聞くとあの文章を読めていないことに気づかされる。従って「ホロコーストとともに生きる」とはどういう事なのか?サラ・ロイ氏に関心を持った方にはもう一度考えて欲しい。

ノートにメモしたがまとめるのが大変
なお主催者の東大小林康夫氏がUTCP公式ブログでサラ・ロイ氏への感動を述べている。→時の彩り(つれづれ、草)No.062(2009.03.06)「春の光2(サラ・ロイさん)」http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/blog/2009/03/post-195/
(小林氏が触れているサラ・ロイ氏の言葉「What am I for the God?」(この問題で)神に何を求めるのかではなく、私たちが神に何をできるかではないのでしょうか?は非常に短く、印象的だった。これはすぐに答えた言葉で、サラ・ロイ氏の中でよく考えられたものが即座にでてきたのだな、と感じた。)
追加司会の早尾貴紀氏が対話内容をまとめている→「サラ・ロイさんと徐京植さんとの対話——ホロコースト植民地主義〈以後〉の世界の倫理」(http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/blog/2009/03/post-201/


UTCP対談企画 ガザ問題専門家サラ・ロイ氏講演
日時: 2009年3月4日(水)14:00-17:00
場所: 東京大学駒場キャンパス アドミニストレーション棟 学際交流ホール
討論者:サラ・ロイ(=ポストホロコースト世代、ホロコースト生存者の娘Sara Roy ハーバード大学中東研究所上級研究員)×徐京植(ポストコニニアル世代、在日朝鮮人、作家・東京経済大学准教授)、
通訳:岡田泰平(神奈川大学人文学研究所研究員)
内容:ホロコースト後・植民地支配後を生き延びる/パレスチナに向き合う/エドワード・サイードを読む/奪われた母語を考える(イディッシュ語朝鮮語)、など
使用言語: 英語(通訳あり) 
入場無料,事前登録不要
⇒【関連ブログ記事】「イスラエルによるガザ戦争」

サラ・ロイ氏:
ハーバード大学中東研究所の上級研究員。ロイ氏は、ホロコースト生き残りのユダヤ人を両親にもつという背景も重なり、ナチスユダヤ人虐殺とイスラエル占領政策との錯綜した関係について、きわめて深い実存的な関わりをもっている研究者。パレスチナイスラエル問題のなかでも、とくに占領地ガザ地区について、政治経済学の観点から専門的に研究を重ねており、この分野では世界的な権威とも言える重要な業績を刊行している。