zames_makiのブログ

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効果的なプロパガンダの方法(1960年代の研究)

  • 映画やテレビなどの視覚メディアはそれらが視覚的であるという事だけで効果的だと一般的には信じられている。受けての注意をよく喚起するから
  • 宣伝の源の信頼性は効果に大きな影響がある。信頼性の高い源に人々は従う。
  • マスメディアはそれ自体が畏敬の目で見られ、メディアにのる人物や意見にある地位を与える。
  • バンドワゴン効果(長いものに巻かれろ効果):人々はある意見が多数者の見解と一致しているというただそれだけの事で、その意見を受け入れやすくなる。→「この映画はNo.1ヒットだ」というだけでその映画を見てくれる。
  • 一面提示と両面提示:対立する議論のある側のみ宣伝する方法(一面提示)と対立する意見も提示した上で自分の意見の正しさを主張する方法(両面提示)。一面提示はヒトラーナチスの宣伝方針であり受け手の教育程度が低い場合(=受け手のその事柄への知識が不足している場合?)非常に効果的と考えられている。また受け手が本来その意見に賛成の場合にはより効果的である。また受け手が公の場で説明を求められない場合も効果的。また一般に両面提示より効果的と思われる。しかし受け手が反対意見に接触した際に決定的な意見変化をもたらす可能性がある(ブーメラン効果)。両面提示は逆宣伝に強いと考えられている(防衛機制)。また受け手が知的程度が高く、本来は送り手と異なる意見の場合は効果的と考えられている。しかし宣伝での公平性が高いと効果的な意見変化をもたらさず、かえって受け手に望ましくない変化をもたらす可能性がある。しかし受け手に説明を求める場合は効果的だ。→(要約)知識人への公的な議論を通した宣伝では両面提示が効果的、一般人への単純な宣伝では一面提示が効果的。
  • 明示的宣伝と暗示的宣伝:宣伝が明確な結論を提示した場合の方が、結論を明示的には示さず受け手に自分で考えさせる場合より効果的である事が強く示されている。「目標への行為の道筋は明確に規定されればされる程、人々を説得する力が増大する」
  • 恐怖アピールの効果:恐怖アピール=宣伝している意見に受け手が従わない場合の損失(健康被害など)を訴えること。一般に恐怖アピールは効果的だが、極端に強い恐怖アピールはかえって効果を減ずる、従わないと酷い目にあいますと簡単に提示する程度にとどめる方が効果的。
  • 繰り返しの宣伝:反復=宣伝を繰り返し行う事は効果的でそれ自体で宣伝成功の要素になる。そして変化のある繰り返しがより効果的である。1945年戦時公債購入を24時間ラジオで訴えたマラソン放送の成功は、繰り返し公債購入を訴えたが毎度少しだけ宣伝内容が異なったためと考えられている。また多様な宣伝を累積して多く接触する効果は少数の単純な繰り返しに劣る。
  • 水路付けの効果:人々は完全に新しい要求を満たすより、既存の要求を充足させる方を望む。完全に新しい商品を売り込むより今までの商品の改良品を買いたがる。新しい行動を促すより、既存の行動の変化の形で宣伝する方が効果的。ラジオでの戦時公債のマラソン宣伝でも既存の要求を満たしやすいように具体的な様々な購入方法を宣伝したのが効果があった。
  • 順序の効果:一つの番組(映画)の中で訴えたい事項をいくつ、どこで、どういう順序で提示するかには様々な実験結果があり一様ではない。

(マス・コミュニケーションの効果 J・T・クラッパー 日本放送協会、1966、[The effects of mass communication / Joseph T. Klapper. Free Press, 1960])