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野戦看護婦(53新東宝)従軍看護婦の同性愛

製作=新東宝=児井プロ 公開:1953.07.14 92分 白黒
監督:野村浩将
脚本:野村浩将
原作:安斎貞子
出演:
南風洋子(小島雪子、ベテランの看護婦、男性的で新米の同僚看護婦を愛し嫉妬から問題を起こす、前線救護所に飛ばされるが、戦闘では活躍する)
宮城千賀子(恩田恵子、内地から前線へ赴任した新米の看護婦、ベテラン看護婦から愛される)
折原啓(しっかりものの看護婦長、内地から前線へ赴任)
中山昭二(根本軍曹、善玉の看護婦の面倒見る兵士、恩田と恋愛関係になり、嫉妬した小島雪子から冷遇される、病院から前線救護所へ配置され負傷する)
安部徹(悪役の看護婦の面倒みる兵士、小島雪子に付き添い前線へ)
水島道太郎(長井軍医中尉、内地から看護婦を引率し赴任)
藤田進(看護婦部隊の部隊長)
鶴田浩二(根本を訪問する海軍将校、ちょい役で物語に関係ない)

感想

従軍看護婦の前線近くでの活動を描く地味な映画、看護婦と兵士の愛、それを邪魔する同性愛者の看護婦の横恋慕が話の主軸だが、演出がひどく手抜きでまったく面白くない、下の中。
 内地の看護婦学校を卒業し中国の前線病院へ赴任する看護婦の姿を描く、軍司令部らしき場所や、明治神宮など興味深い。看護婦には親や夫や子がおりそれらとの別れは、兵士のそれ同じような描写になっている。中国前線病院では、看護に応じない負傷兵への説得、時には縄でベッドにしばる、軍刀を奪う、軍刀を振るう士官との対峙など看護婦の苦労描かれるが、それはベテラン看護婦の点描であり描写量は少ない。
 大部分はベテラン看護婦の新米看護婦への同性愛を、それに起因するゴタゴタ、前線テント救護所へ飛ばされたベテラン看護婦の、恋の競争相手である男性兵士への冷遇などが描かれる。だが「愛染かつら」演出したベテラン監督である野村浩将の仕事は酷く手抜きで、特別な見せ方はなく酷く平板で退屈だ。前線テント救護所の看護婦と、兵士は中国軍の攻撃で、救護所を放棄し逃げるが、トラックの故障で、徒歩でやっと病院に帰るが、そこも蜂起した中国民衆に襲われる。日本軍本隊に助けを求めに決死の覚悟でトラックで出かけるベテラン看護婦の連れてきた日本軍により、病院は救われるがそれは同時に終戦の知らせでもあった、という物語。
 原作があり看護婦のエピソードなどは説得力があるが、男女を交えた三角関係の恋愛劇は演出が悪く酷くつまらない。病院のセット以外は富士山麓の屋外シーンしかなく、スケール感やリアルさはない。鶴田浩二の出演するエピソードは明かな付け足しで、本筋の物語との関係がなく、かつ退屈だ。