zames_makiのブログ

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ボンバーライダー(1943)戦略爆撃の宣伝

原題:Bombardier(爆撃手の意味) 69分 公開:1943.5.14 (USA)

監督:リチャード・ウォーレス
主演:
ランドルフ・スコット(バック中尉)急降下爆撃派から転向、恋敵から対空砲火で死亡、捕虜になっても火をつけて友軍爆撃機を導くが死ぬ
パット・オブライエン(チック中佐)水平精密爆撃の主導者、教官として皆を指導、恋敵なる、最後は全軍を率い名古屋を空襲

感想

中の中。プロパガンダ映画、戦略爆撃の宣伝と思われる、80%は米国基地での爆撃種の訓練、最後は日本の名古屋へB-17で空襲を行うクライマックス。主人公はスコットだが、最後は死ぬのでやや中立的な扱いになっている。
80%は米国内基地での訓練であり、恋愛沙汰や訓練での事故が話を盛り上げる、ラストでは日本の名古屋へ空襲する。この際主人公が先陣を務めるが、日本の対空砲火で撃墜され捕虜になる。他の捕虜を惨殺、残忍でいかにも悪役の日本兵は英語を喋り、片言日本語で命令する、型どおりのハリウッドの外国人描写になってる。主人公は、脱走、火のついた車で火をつけ見事仲間の目標となり、爆撃で死ぬ。英雄的ラストである。

1943年ではまだ実現してない日本への戦略爆撃がクライマックスなのは不自然だが、理由は不明。架空の方が自由度が増すためか?欧州戦線では撃墜B-17多く、深刻になるからか?日本への大規模な戦略爆撃を準備していた軍の宣伝という政治的目的か?

映画の大半を占める爆撃種訓練は、新奇の戦争の英雄として描かれ、優秀な兵士の育成で専用基地にでの大規模な訓練であり、現在のアメリカ軍の特殊チーム好きと同じである。冒頭、実際の軍人が説明を行い、ラストでは協力部門のクレジットがあり、軍の意向が入っているのは間違いない。訓練では爆撃で死亡する一般人はいないという説明も入っている。また恋人役の女性は「日本人を地獄へ落として」と応援し送り出す。

80%の事実と20%の架空の戦闘場面で盛り上げるのはこの時期の他の作品と同様の作りになっている。戦時中ではこの方式がやりやすかったのか?事実の説明と勝利の方法の提示、適度の敵愾心、そして勝利の描写で、政府&軍の応援を教え込むプロパガンダとなっており、観客には大いに受けたのではないか?