zames_makiのブログ

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映画「南京!南京!」(2009)中国

原題:『南京!南京!』 英語題:City of Life And Death YouTubeでの名づけ:Nanking!Nanking!
中国での公開:2009年4月22日 日本公開:予定なし プロデューサー:韓三平  監督・脚本:陸川ルー・チュアン 助監督:横山伸治
出演:

  • 中泉英雄(角川・日本兵)主人公:軍曹?、攻略戦に参加、中国軍と激しい戦闘を行う。占領後は憲兵となる。捕虜殺し・強姦は行わない。慰安所の日本女を愛し恋し、南京大虐殺後に自殺する。日本兵の人間的部分を担わされている。ラストの写真集ではフルネームが記載されているがクレジット上「角川」としか書かれておらず主人公にしては扱いがおかしい。
  • 劉除リウ・イエ(陸剣熊・中国兵)国民党兵士、多くの中国兵が戦闘前に逃走したのに残り、日本兵と戦闘、多くを殺すが捕虜になる。少年兵(小豆子)を可愛がるが日本兵に虐殺される。中盤以降登場しない。
  • 木幡竜(伊田・日本軍指揮官)悪い日本兵、少尉?日本軍指揮官で戦闘指揮、捕虜虐殺、強姦、女性の強制供出、慰安所の設置を行わせる。若年であり少尉程度と思われる。ラストの写真集ではフルネームが記載されているがクレジット上「伊田」としか書かれていない。
  • 范偉ファン・ウェイ(唐先生):ラーベの中国人秘書(男性)で、難民をかばい日本兵に抗議するが、逆に子供を伊田に投げ落とされ殺される。ラーベの帰国に伴い脱出しようとするが、子供を同伴できないため断念、伊田に処刑される。被害を受ける中国人の代表。

秦嵐チン・ラン(唐太太)唐先生の妻、強姦を恐れ髪を切る。ラーベと共に脱出。

江一燕ジャン・イーイエン(小江)売春婦、難民区に逃げ込むが伊田の強要により仲間を救うため自ら日本軍の慰みものになるべく申し出る。

JohnPaisley(ジョン・ラーベ)難民区の代表者の一人、ドイツ人、ナチ党員。何度も日本軍に抗議するが聞き入れてもらえない。

高圓圓カオ・ユアンユアン(姜淑雲)難民区の中国人世話人(女性)、日本軍に何度も抗議するが無視される。

宮本裕子(百合子・慰安婦日本人慰安婦。占領直後からいる慰安婦、やさしい性格で角川をいたわるが占領後は前線に移動し病死する。

対拭?(小豆子)少年兵、陸剣熊にくっついて弾薬などを補給する。処刑を幸運にまぬがれ開放される。

姚笛(唐小妹)唐先生の娘、日本兵に殺される

...1937年12月、日本軍による南京攻略が始まった。多くの国民党の兵士が壊走してゆく中、投降を拒否して南京に留まった兵士もたくさんおり、南京のあちこちで絶望的かつ悲惨な抵抗が繰り広げられた。その中に国民党の精鋭部隊の一員であった陸剣熊もいた。しかしながら抵抗は失敗に終わり、数十万の中国人の血によって長江が染まった後、南京は陥落して死の地と化した……
人民日報特設サイト:http://j.people.com.cn/94478/96695/6642806.html
予告編(YouTube):http://www.youtube.com/watch?v=kddw9s39-f0&feature=related
陸川監督インタビュー2008年5月&他の南京事件映画報 香港RTHKテレビ8分(Lu Chuan talks about Nanking! Nanking!):http://www.youtube.com/watch?v=NCwRbNg_XU4

=あらすじ:いきなり日本軍の戦闘開始から、逃げる中国兵、激しい戦闘で捕虜になる中国兵。略奪をする日本兵。たくさんの捕虜は、穴埋め、建物に押し込め火付け、川岸で銃殺にされる。難民区には多くの中国人が集まりラーベら外国人が面倒を見るが日本兵がやってきて犯す。また難民区内の病院の負傷兵を殺す。日本軍指揮官は規律の乱れを気にして慰安所を設置、伊田はラーベらに安全区から100人女を出せといい出させる。女を犯しにくる日本兵に唐先生は抵抗、子供を殺される。ラーベは帰国、難民区管理人の努力もかいなく唐先生など中国人は良民証をもらえず処刑される。日本兵追悼式が祭りのように太鼓で祝われる。角川はなじみの慰安婦百合子が病死したと聞き少年兵を解放し自殺する。


=へんてこな南京大虐殺映画、虐殺強姦の場面が過去の映画中もっとも多く全編にわたるが上官の命令の有無などその経緯はまったく描かれず、なぜどうして又何人なのか等はまったく描かれない。被害者である女性の視点でのドラマ描写はなく強姦の残酷さやその後の殺害などは描かれてない、被害者個人としての女性は登場しない。日本兵の描写がおかしい、軍内の上下関係を無視し奇妙に人間的にふるまう(踊ったり菓子を与えるなど子供のよう)と描写しており、軍の知識がなくとも日本人には違和感がわく。ラストの日本兵追悼式はお祭りとして行われており完全におかしい描写となっている、監督の狙いは日本兵が自らの行為を反省していない事の表現のようだが、他にもいくらでも表現法はあり歴史的事件を描く上で逸脱のしすぎだろう。しかし中国人観客には彼ら日本兵の人間らしさや反省のなさは理解しやすいだろう。
 結果観客は、捕虜の大量処分と組織的強姦だけが強く印象づけられ、衝撃的であり中国人にとっては印象深い映画だろう。しかしその内容は、事件の経緯、規模(被害者数は冒頭30万人というテロップが出るが映画内ではそれを説明するものはなく、死者数についてまったく述べていないので背景知識がないと映画の中ではその規模は数百人以上としか言えない)、全体見通し、日本人・中国人双方の心理描写に欠け、「事件があった」という以上の内容はなく、社会学的考察や事件自体それ以上の文学的感動に欠ける。一方日本人からは強姦しない日本兵が描かれ残酷な描写が少ない点好評かもしれないが、反省する大きな動機も与えられず、同じ理由でそれ以上の感動もなく、い。結果として観客が有料で視聴する動機に欠ける、日本での公開が行われない理由はここにあるように思われる。主人公(日本兵・角川)の自殺も原因が曖昧であり、彼が開放する少年兵の喜びの描写もあまりにありきたりで「明るさをもって映画を終わらせる」という以上の意味合いがない。
 全体として先行映画「南京1937」と同様な映画となった。低調さの原因は、日中融和ムードの中、中国政府から日本軍糾弾を抑えるよう要求された結果か、監督の力量不足か、あるいはその両者であろう。しかしその事件描写の長さから、中国人観客から見れば最高の南京大虐殺映画であるのは間違いない。

見た日本人留学生の感想(April 26, 2009)

http://blog.livedoor.jp/yagi_china/archives/50686281.html
 封切直後、しかも場所は南京だということも手伝ってか会場は満席で、階段に座って観ているお客さんもいました。内容は、南京大虐殺の一部始終を、(監督曰く)日本人の視点から捉えたもの。白黒映画。記録映画のような感じで、すごくリアル。日本軍、中国人の両方の生活や心の動きを交えつつ戦場シーンあり、虐殺シーンあり、レイプシーンありで途中からちょっと吐き気が。。白黒だからマシなのか、それともよりリアルなのか。
 私は日本語も中国語も一応分かるし、南京で留学して8ヶ月くらいになるから日本側と中国側の両方に感情移入して観ていました。2時間くらい見て。映画終了。私クタクタでした。会場からは自然と拍手が・・・。ネタバレにもなっちゃうから詳しくは書けないけれど、私個人としては、いい映画だなぁと思いました。

 特に評価したいのは、監督が日本人俳優と話し合いながら四年間をかけて、この映画を作り上げたこと。単純な反日思想によくある「日本人は鬼、凶悪、軍国主義!」ではなくて、日本人の心の揺れだとか心の中の矛盾だとかそういうところまできちんと描かれていたと思います。日本人の役者さんが、自分で考えて演じていたような印象を受けました。
 たとえば、日本人兵が歩きながら「あー日本に帰りてぇよ!」って叫ぶシーン。戦場という非日常の世界にいれば、殺す方殺される方、誰だって苦しいんだろうなぁと感じました。ただ反日感情を盛り上げるための映画なら、この台詞は出ないのではと思います。ちなみに、個人的には、虐殺シーンよりも従軍慰安婦のシーンを見るほうが辛かったかなぁ(;_:

反戦だが反日ではない」監督談話(SearchChina 2009年4月13日)

『南京!南京!』の陸川(ルー・チュアン)監督は10日、同作品について「反戦だが反日ではない」と述べ、日本市場を放棄しない考えを示した。

 同じく南京大虐殺を描いた中、独、仏合作映画『ジョン・ラーベ』(フローリアン・ガレンベルガー監督)は、4月にドイツと中国で、11月には欧州各地での上映が決まっているが、日本で上映の予定はない。中国では、同作品が「日本で上映禁止になった」と報じている。陸監督は、「全力を尽くして日本で上映できるようにしたい。きっとできると信じている」と述べ、日本での上映に意欲を示した。

 陸監督は、「『南京!〜』は日本軍を故意に醜悪化して描くようなことはしていない」とし、「戦争は両国の人々に共に傷を負わせた。この作品は反戦映画ではあるが、反日映画ではない」と述べた。日本公開の詳細については「現在交渉中で詳しいことは言えない」とした。

監督・陸川インタビュー抜粋(人民網日本語版 2009年4月21日)

http://j.people.com.cn/95952/6641890.html

記者:「南京!南京!」はどうして日本人の視点から撮っているのか?
陸川監督:まず偏見を捨てて、平常心になってください。これは単なる方法論であって私の世界観を代表するものでも、私の感情でもない。


記者:今インターネット上で「日本人の弁護をしている」という声があるが。
陸川監督:インターネット上の情報は面白おかしければいいというところがある。


記者:映画館に行って再びこの沈痛な歴史に面と向かうよう、どうやって観衆を説得しますか。
陸川監督:私が撮影したのは苦難ではないし、苦難をひけらかしたり、並べ立てたりもしていない。ただ真実を再現しただけだ。
 どうして南京大虐殺があったのか?それは私たちの抵抗が凄まじかったからだ。リウ・イエの演じた市街戦は本当にあったことだ。私が撮影しなかったら知られることはなかった。これまでの歴史学者は中国人の抵抗を語りたがらないが、どうして屈辱を証明するために抵抗を消し去るのか。これは侵略戦争だ。抵抗したからといって何の権利があって殺戮するのか?この映画は屈辱ではなく、中国人のかつての栄光を語るものだ。


記者:映画の結末でどうしてあんなに時間を割いて日本軍の祝賀パレードを表現したのか?陸川監督:実は警鐘を鳴らしているのです。私たちは常に軍国主義を打倒すると口にするが、軍国主義を見たことがありますか?この場面がそうです!ここで表現したかったのは戦争がいかに人の魂をコントロールするかということ。

主演俳優・木幡竜インタビュー抜粋(人民網日本語版 2009年8月)

http://j.peopledaily.com.cn/96507/97718/6715736.html

Q:どういった経緯で「南京!南京!」への出演が決まったんですか?
木幡: 詳しくは知りません。後から聞いた話ですが900人ぐらいの中から選ばれたと聞いています。主要の日本人キャストは6人いましたが、そのうちの3人が日本から呼ばれた役者で、あとの3人が中国在住の日本人役者でした。


Q:どういうふうに役作りされたんですか?
木幡:最初に陸川監督と話をしました。監督からは、「伊田という役はシンプルじゃない。多面的な人間だから、簡単な表現をするな」ということをうるさく言われました。人間だからただ単に暴力的なヤツなんていない、そうなった経緯や理由をちゃんと表現しないといけない、と。現場でセリフが変わる事もよくありましたが、しっかりとした人間像が共通認識として出来上がっていたので対応できたと思います。「伊田だったらどういう言い方で言う?」「じゃ、こういう風な言い方ができる?」という陸川監督とのやり取りの中でセリフが固まってきたりしていました。


Q:木幡さんの「伊田像」を教えてもらえますか?
木幡:「矛盾」が大きなキーワードになっているように思います。人間としての「矛盾」、国家としての「矛盾」、戦争の「矛盾」。それを一手に引き受けていたのが、伊田という役ではないでしょうか。実際、台詞も矛盾しています。唐先生には「生きているほういいだろう」というセリフを言い、唐先生の義理の妹を殺した時には「死んだほうがよかったんだ」と、最後に唐先生射殺のシーンには「人間はみんな死ぬんだよ」と。陸川監督は伊田という役に何か哲学的なものを求めていたように思います。


Q:「南京!南京!」の宣伝で中国全土を回った時の話を伺えますか?
木幡:様々な土地で記者会見や舞台挨拶を重ね、深い悲しみや計り知れない遺恨、偏見、いろんなものが混ざり合った感情が伝わってきました。


Q:宣伝の時に客席から罵声が飛んできたという報道もありましたが・・・。
木幡:そういう状況は非常に稀です。例えば、バカヤローとか、知ってる日本語を口にする人もいましたが、彼らに悪意はないと思います。映画に気持ちが入ればそういう感情にもなるでしょう。すごく感動したのが、「あなたたち日本人は南京大虐殺に対してどういう認識をもっていますか」という質問が来た時に客席から「なんでそんなことを聞くんだ。彼らにそんなことを言うな。失礼じゃないか」ということを言ってくれる人がすごく多いんですよ。

試写会での観客の反応(SearchChina 2009/04/17)

『南京!南京!(原題)』のプレミア試写会が16日、南京市で開催された。上映中、会場は終始重い空気に包まれ、当時の生存者10数人も試写会に参加し、涙を流しながら鑑賞した。

  南京大虐殺の生存者の1人、80歳の趙振華氏は『南京!南京!』の撮影にあたり、自ら出演している。趙氏は、「永遠に忘れられない。思い出しても、見ただけでも震てくる」と語る。当時、日本軍が南京に侵入した後、強姦されないようにと父親が彼女を丸坊主にしたという。上映が終わり、明るくなっても涙が止まらない人もいた。これまでの南京大虐殺を題材とした映画と比べ、『南京!南京』は、ヒーローが活躍するクライマックスも、人々を奮いたたせるような演説シーンは存在しない。これまでとは異なる角度から南京大虐殺を描いたこの映画について、趙さんは、「理にかなっている」、「一部の日本兵士も強制されたこと。一概に論じるわけにはいかない」と述べた。
※記事出典「中国国際放送局(CRI)」(中国で唯一対外放送を行う国家放送局、http://jp1.chinabroadcast.cn/

上海での日本人向け上映会(読売新聞2009年5月23日)

新視点から南京事件描いた中国映画、上海で日本人向け上映会

 旧日本軍が多数の中国人を殺害した南京事件を描いた映画「南京!南京!」の日本人向け上映会が23日、上海で行われ、留学生や駐在員ら約250人が参加した。同会には中国人の陸川監督も参加、質疑に応じ、「戦うか、死を選ぶしかない戦争の悲劇を描きたかった」と制作の意図を語った。同作品は4月下旬、中国で公開。中国人捕虜を逃がし、自殺する日本人兵士を主役の一人に据えて反戦を訴えたシナリオが、「日本人を美化している」などの議論を呼び、話題作となっている。同事件を題材にした従来の中国映画は、旧日本軍の残虐さを強調することに主眼が置かれてきた。
 映画を見た上海在住の横川美都さん(35)は「日本人には違和感なく見ることができるストーリー。監督の勇気に感動した」と話した。また、会社経営の真崎英彦さん(33)は「一般の中国人が見た場合、残虐シーンだけが印象に残り、監督の意図が伝わらないのでは」と不安を語った。質疑の際には、日本人と結婚した中国人女性が「この映画なら両国関係の発展に役立つ」と涙で声を詰まらせる場面もあった。同上映会は、上海の日本人留学生グループが、「日中相互理解の懸け橋に」との陸監督の呼び掛けに応じて主催した。日本での上映は未定。

助監督・横山伸治インタビュー(人民網日本語版 2009年4月)

http://j.people.com.cn/96507/96999/6644300.html

Q:映画「南京!南京!」に対する最初の印象は?
横山:日本人の主人公をストーリーの柱のひとつに据えて展開していくところに新しい視点、試みを感じていました。日本から軍事専門家に来て頂いたり、日本の資料を読み込んだり、今まで中国で見てきたいわゆる「反日戦争もの」とは確実に違う進め方だったと思います。


Q:日本人は何人出演したんですか?
横山:日本人は主要人物で7-8名が出演しています。エキストラ出演なども含めると50人近くの方に参加して頂きました。


Q:日本でのオーディションについて聞かせてください。
横山:日本でのオーディションは3日間で60余名の俳優さんと面談方式で行われました。俳優にセリフを読ませるというようなことはなく、俳優の素の部分を見ようという監督のキャスティング方法に、なるほどと思いました。


Q::陸川監督といえば、中国映画界で注目を集める新鋭監督ですが、一緒に仕事してみてどうでした?
横山:セリフの変更というのは頻繁にあり、始め俳優たちには戸惑いもあったようですが、徐々に慣れ監督と積極的に意見を交わすようになっていました。


Q:具体的にはどういう仕事を担当していたんですか?
横山:撮影現場では基本的に監督と日本人俳優との間での通訳をしていました。また日本人エキストラのキャスティングと現場での演出、他にも中国人エキストラの配置、演出もしていました。たまにですが、監督から指令を受け、日本兵役で出演もしております(笑)。


Q:中国人スタッフと日夜共同作業する中で、心がけていたことはありますか?
横山:日本人と中国人では仕事の進め方や時間的概念で多少違いがあります。


Q:日本人の俳優と中国人スタッフの間に立って苦労したことは?
横山:当初、監督と日本人俳優、スタッフとの間に「日本人像に対するズレ」が多少ありましたが、現場での話し合い、コミュニケーションを通じて自然なものになったと感じています。スケジュール的に長期になりましたので前半、日本人俳優にはかなりストレスがあったように思います。後半は彼らも撮影進度に慣れていき、多少あきらめみたいなものもあったように感じますが(笑)雰囲気も大分変わっていきました。


横山:個人的には、今回が初の助監督の仕事でしたので、全員プロの現場で初めは右往左往し大変でしたが、監督や俳優さんたち、スタッフに沢山のアドバイス、叱咤激励を頂き、成長できたと感謝しています。