zames_makiのブログ

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あるユダヤ人の見るイスラエル国家の問題点(パレスチナ問題の解決方法)

以下は日本にきたイスラエル知識人のパレスチナ紛争への見方だ、非常に厳しい意見であり、かつ日本のメディアでは言われない解決への要点が示されていて、パレスチナ問題の見方が変わる。以下ではブログ記者が重大と感じた点を抜粋・強調して示す。全文は聞き手である早尾貴紀氏のUTCP記事(http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/blog/2009/05/post-227/)を参照されたい。


語っている人:ナヴェ・フルマー(Naveh Frumer)氏イスラエル人政治哲学者、2008〜2009年東京大学UTCP(共生のための国際哲学教育研究センター)に在籍している。フルマー氏のHP:http://webspace.newschool.edu/~frumen00/index.html


<ブログ記者の整理した、要点または意味>
1.イスラエルの最大の基本方針は、いかにしてユダヤ人を増やしアラブ人を減らすかだ(注1)
2.イスラエル政府は国民に対し強力なプロパガンダを行っており成功している(注2)
3.イスラエル政府は国際世論を非常に気にしている、状況を変えるにはそのプロパガンダを是正し、占領を批判する世論を作る事が効果的だ
4.イスラエル核兵器を持っているのに、いつ攻撃され国を亡くすかもしれぬというパラノイア(妄想)が大変強い。この被害者妄想を直すことも大事だ。
5.問題の解決はイスラエルが人種差別をやめることだ。イスラエル政府がパレスチナの地で、ユダヤ人とパレスチナ人に同じ人間としての権利(居住権・投票権など市民としての諸権利)を認め、一緒に生きていくことを認めることだ。


イスラエルユダヤ人としてイスラエルを語ることの困難を乗り越えて、フルマーさんと語る(2009.05.02)聞き手:早尾貴紀(中東研究者)

 フルマーさんは(略)問題の本質が、イスラエルによる周到に組織化されたエスニック・コントロールにあることを明確に示した。1948年の建国以来イスラエルは、「パレスチナ国家」が存立する可能性を徹底的に潰してきたし、93年のオスロ合意以降もパレスチナの占領地に入植地を急激に増築していった。最大限の土地にできるだけ多くのユダヤ人を住まわせ、逆にできるだけパレスチナの土地と人口を減少させるという政策が一貫してきた。最近行なわれたイスラエルのガザ攻撃にも言及し、これがイスラエルによる虐殺であり戦争犯罪であるとも明言した。


 さらに大きな問題は、イスラエルが巧妙な「プロパガンダ・マシーン」となっていることであり、上記のような状況にもかかわらず、世間一般やメディアにおいては、「紛争の責任はパレスチナ側にある、パレスチナ側はイスラエル国家を認めず戦闘を望んでいる」とか、「イスラエルガザ地区から撤退して占領をやめたのに、ロケットを打ち込んできたのはパレスチナ側だ」といった宣伝が蔓延しており、実際に功を奏している


 これに対抗してできることとしては、国際世論を変えることが重要だとした。イスラエルは世論の動向を非常に気にしている。だからこそ、一人一人が新聞社や大学機関などに働きかけて、上記のプロパガンダを是正し、占領を批判する世論をつくりだすことが有効と考えられる。


 イスラエルは最新鋭の戦闘機や戦車や潜水艦をもち、核ミサイルまでもっていながらなお、国家存立の脅威に晒されているという思い込みをもっており、それゆえに過度な暴力性を発揮している。しかしこれは明らかにバランスを欠いた思考である。イスラエルパラノイア的被害者意識を中和することも必要だ、とフルマーさんは指摘した。


 最後にフルマーさんは、「ユダヤ国家」という理念そのものを問題にした。もし「ユダヤ国家」という理念を維持するなら、非ユダヤ人たるパレスチナ人を「Bクラス市民」というふうにして管理対象としなければならないが、これは民主主義社会では受け入れられない制度だ。なんらかの形で、一つの土地の上で、ユダヤ人とパレスチナ人が、権力を共有し共存できる方法を模索しなければ、解決の道はない。

(注1)パレスチナの地でユダヤ人は少数派だ

2009年5月2日のイスラエルのニュースでこのユダヤ人とアラブ人の人口統計が出ており、そこでもこのイスラエル政府の方針が現れている。数字を操作してパレスチナの地で極力ユダヤ人が多数なのだと見せかけようとしている。しかし数字をじっくり見ると今現在でもユダヤ人の方が49%で少数のようだ。人口については、イスラエル国内でも、アラブ人の出生率が高く、イスラエルに移住するユダヤ人の数はそれほど増えないため、30年程度先の将来的にはアラブ人の方が多数となると言われている。

◆元記事:「残念な統計の誤り Regrettable statistical error」(Ynet new.com 2009/05/02)(http://www.ynet.co.il/english/articles/0,7340,L-3709436,00.html、Regrettable statistical error by B. Michael)。参照した日本語ブログ:boycottil「残念な統計の誤り 2009年05月03日

イスラエル中央統計局はイスラエル総人口を740万、ユダヤ人75.5%、非ユダヤ人24.5%と発表した。しかし、統計局とCIAによれば、イスラエル政府が統治する領域では、総人口、1,143万、560万がユダヤ人、583万が非ユダヤ人(246万/西岸パレスチナ人、155万/ガザパレスチナ人、150万/イスラエルパレスチナ人、他32万の非ユダヤ人)となる。つまり、51%の非ユダヤ人に対して49%のユダヤ人ということになる。

追加説明:イスラエル政府が統治する領域=イスラエル国+占領地だろう。そこ全体ではユダヤ人49% VS 非ユダヤ人51%となる。しかしイスラエル中央統計局は、イスラエル国+占領地のユダヤ人と、イスラエル国内の非ユダヤ人の数字を比較し、ユダヤ人75.5% VS 非ユダヤ人24.5%と発表したようだ。

(注2)プロパガンダとは

プロパガンダという言葉は日本では一般に捏造、嘘、洗脳などといった非常に悪いイメージで受け取られ、そうした酷い行為は今では行われるはずはなく、実際にはそんな事は起きていないが、批判したい人がそう呼んでいるだけと受け取られがちだ。しかしプロパガンダの意味は元々嘘を教え込む事ではなく、「特定の観点を受け手に伝達する」操作と考えるべきだ。(参照:社会心理学者の説明)。ここでイスラエルプロパガンダとは、自国が継続して占領し、圧倒的にパレスチナ人を封鎖し殺しているという事実ではなく、イスラエルパレスチナ人が対等の立場で、争っているという見方を教えこむ事をさしている。ハマスのロケット弾がイスラエル人全体の安全を揺るがせかねない、甚だしい軍事的脅威であるという見方を与えることである。BBCのニュースなどで、イスラエル軍の攻撃も伝えるが、常にそれと比較可能なものとしてハマスのロケット弾の着弾を伝えることとして現れている。



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注1元記事:「残念な統計の誤り」(Ynet new.com 2009/05/02)全文

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「Regrettable statistical error:B. Michael says Independence Day report that Jews comprise 75% of Israel’s population inaccurate」(Ynet new.com 2009/05/02 By B. Michael)
On the eve of the recent Independence Day, the Central Bureau of Statistics maintained the tradition of publishing the number of Israeli residents at this time. The total figure provided was 7.4 million people.

There was also some happy news on the occasion of the holiday: The overwhelming Jewish majority in the country has been maintained. According to the statistics provided by the Bureau, 75.5% of Israel’s residents at this time are Jewish, while only 24.5% of the country’s residents are not Jewish.

However, it appears that these figures were tainted by a regrettable error. The source of the error has to do with the strange existence of what is known around here as the Green line. Yes, that same Green Line , which has seemingly passed away a long time ago, has reemerged from its grave yet again (and perhaps it was even pulled out of the grave by force) ? this tends to happen every time the country’s statistical or public relations needs require it.

Real figures paint different picture, So here are the real figures, below:According to the data provided by the Central Bureau of Statistics and by the CIA, the Israeli government rules over 11.43 million people at this time.

Of those, 5.6 million people are Jewish, while 5.83 million people are not Jewish (2.46 million Palestinians in the West Bank, 1.55 million Palestinians residing in the Gaza Strip, 1.5 million Palestinians who are citizens of the State of Israel, and another 0.32 million people characterized as “other non-Jews.”)

Therefore, the accurate figures are in fact as follows: A total of 49% Jews and 51% non-Jews currently live across the territory of the Israeli empire.
Indeed, we may start referring to ourselves as “members of the minority.”