zames_makiのブログ

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南部の人

2008年02月08日(金) 14時00分 開場:上映20分前
会員 : 500円 13時よりチケット発売
場所 : 東京日仏学院エスパス・イマージュ
<特集・特別企画 ジャン・ルノワール、我らの親父>

『南部の人』(アメリカ/1943年/93分/35ミリ/モノクロ/オリジナル英語版/仏語字幕付き)
監督:ジャン・ルノワール、出演:ザカリー・スコット、ベティ・フィールド、ジェイ・ギルピン、ジーン・ヴァンダーウィルト
サム・タッカーはアメリカ南部の移動農業労働者だが、叔父の死を契機に自分の土地を持とうと決心した。親方から借り受けた土地を開墾して綿花を作るため、妻子と母親とともに南部へと移住する。だが、着いてみると家は荒れ放題、隣人のディヴァースはいくら頼んでも援助しないどころか、追い出そうとしているように見える。彼は開墾の途中で妻と息子を失っていた。
ある時、サムの息子ジョティが病気にかかった。医者にミルクを飲ませろと言われ、ディヴァースに分けてもらいに行くが、売るのを断られる。しかしサムの友人ティムが雌牛を連れてきてくれたので快方に向かった。家族全員の協力で綿花畑には多くの実がなった。近所の農民たちとともに来年の収穫を祈って祭を開いた。しかしその夜、大雨が降って畑が水浸し、綿花は全滅する。サムはティムの助言で再び町で働こうとするが、妻のノーナは一からやり直そうと言って彼を励ますのだった……。
アメリカ南部の過酷な自然の中で、様々な困難に遭いながらも、綿花を育てようとする一家の姿をドキュメンタリーのような生々しいタッチで描いている。第二次世界大戦中の撮影だったが、カリフォルニアのマデーラの綿花畑でロケ撮影を行った。助監督として26歳のロバート・オルドリッチも撮影に参加している。

すべてが主人公である物語、物語の各要素すべてが、それぞれ見事に自己の役割を果たし、人間も動物も物も、全てが至高の存在に巨大な讃歌を捧げているような、そんな物語の可能性をこの物語の中に見出した。(J・ルノワール

ルノワールがわれわれに断言しているように、まったくなんの制約も受けずに撮影された映画である。ほとんどドキュメンタリーとも言えるこの映画のなかは、ハリウッドの慣例の混成をとどめるものはなにもない。作家がどんな留保もせずに、自分の行為に対する全責任を負っているのである。(エリック・ロメール