zames_makiのブログ

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鉄道映画特集が凄い(労働映画と国鉄マンの価値観)

 日本映画専門チャンネルの鉄道映画特集が凄い
「月刊鉄道ファンPresents 想い出の列車たち」
https://www.nihon-eiga.com/osusume/tetsudo2019/

 

<記録映画>
見えない鉄道員 1970年 21分 岩波映画社=国鉄
国鉄が制作したドキュメンタリー。切符の販売、自動化された操車場、新幹線の運行管理、ダイアの作成など電子化されている様子描く、即ち鉄道員がいらなくなる要因を誇らしく自慢げに説明してる。自動化操車場は刺激的だ。

 

 ディーゼル特急 1960年 21分 岩波映画社=国鉄
国鉄が制作したドキュメンタリー。蒸気機関車に代り登場したディーゼル機関車ディーゼル特急「はつかり」の最新技術を紹介する。

走れ!蒸気機関車 1976年 19分 国鉄
蒸気機関車の姿を残す為の子供向けドキュメンタリー、走る映像が主

蒸気機関車の詩 1975年 17分 日活
蒸気機関車の姿を残す為の子供向けドキュメンタリー、走る映像が主だが物語仕立てになっている、監督・脚本:飯塚二郎 出演:日野道夫

新幹線 1973年 22分 岩波映画社=国鉄
国鉄が制作したドキュメンタリー。岡山まで走る新幹線の技術面を誇らしく伝えている。


<労働映画>
号笛なりやまず 1949年 36分 制作:国鉄労働組合
演出:浅野辰雄 脚本:大澤幹夫
最初期の労働映画の1本、国労が協議して制作を決定し脚本は国労で書いた、限られた時間の中でどんな職種の労働を描くかで揉めた。操車場と連結手が出てくる。映画では人間が一人1台の貨車を仕分けする作業が出てくる「見えない鉄道員」で出てくる自動化された操車場と対照的だ。

 

 

◆1950年代の労働映画と労働組合文化運動(鈴木不二一)
大原社会問題研究所雑誌、巻707・708、2017

国労の企画によって製作された『号笛鳴り止まず』(1949)は,もう1 つの興味深い事例である。戦前から戦後にかけて,劇映画と記録映画にまたがる多くの作品を残した浅野辰雄監督によるこの作品は,「鉄道ドキュメンタリーの隠れた名作」と呼ばれている。映画の製作は,1948 年5 月企画決定(国労第4 回定期大会),9 月脚本第一稿提出(第8 回中央委員会),12月撮影開始,1949 年1 月完成,という工程で進んだ。実は,この時期には,国労内部で民同派,革同派,共産派の三者間のしのぎをけずる主導権争いが展開されていた。国労執行部の改選により作業が一時「行悩み状態」となったと,機関誌の記事は伝えている(注6)。しかし,同記事によれば,脚本の検討段階で最も苦労したことは,イデオロギー問題ではなく,「複雑多岐にわたる数千の職場と仕事の状態を,どうして限られた百七十万円の金と与えられた四巻のフィルムに収めるか」ということだった。組合員には「俺たちの職場も俺たちの作業状況も写してくれ」という希望があることは承知の上で,対象職場を絞り込むこととし,最終的に,機関区と機関車乗務員,操作場と連結手をとりあげることにしたという(注7)。浅野辰雄監督は,当時の先端的な映画技法を駆使して,鉄道労働者の映像的表象をフィルムに焼き付けた。その迫真の表現は,いまも色あせていない。」

注7:映画製作の決定は,1948 年5 月30 日~ 6 月2 日にかけて奈良で開催された第4 回定期大会で行なわれた。この決定を受けて,国労本部は新世界映画社に製作を委嘱し,脚本は労映が担当することとなった。同年9 月28 日,第8 回中央委員会(金沢)に脚本第一稿が提出され,大筋の承認を受けた後,労映製作団と国労映画製作委員会との間で数回にわたる検討が加えられ,12 月6 日完稿,同月8 日撮影開始,1949 年1 月に映画が完成した。

 

遠い一本の道 1977年 国労=左プロ
監督:左幸子 出演:井川比佐志/左幸子
国労の線路保線員を主人公に、労働のありようと労組への締め付けの様子を描く。主人公の保線員は機械化が進み仕事を奪われる、妻は国鉄婦人の会でデモ時の炊き出しなどで活動する、だが労働運動には減給などの処分があり同期入社した者との差がついている。


<劇映画>
山鳩 1957年 101分 東宝
監督:丸山誠治 出演:森繁久彌岡田茉莉子
今はない草軽鉄道を舞台に老駅長と若い妻のなれそめを描く。草軽鉄道は軽井沢と草津を結ぶ鉄道でデキ13と呼ばれる特徴的な小型機関車が列車をひく小型鉄道。鉄道のすぐ近くの浅間山の噴火シーンがある。田舎の若い女性が親に捨てられ酌婦を強いられるが老駅長に助けられて出産までする。駅長は無事故15年を守れるのか?が焦点。


大いなる旅路 1960年 96分 東宝(協力:国鉄
監督:関川秀雄 出演:三國連太郎/中村賀津雄
蒸気機関車の助手から運転手になり国鉄に一生をかけた男の生涯を静かに賞賛する映画。真面目に休まず働けば報われるという国鉄マン的な価値観がよく出ている。蒸気機関車の厳しい労働場面が出てて来る。実物大の機関車転落場面が出てくる。父(三国)は子(中村)にそれを伝える。


大いなる驀進 1960年 89分 東宝(協力:国鉄
監督:関川秀雄 出演:中村賀津雄/中原ひとみ三國連太郎
東京から長崎への寝台列車の1運行の中でスリ、政治家、金持ちなど様々人が出てきてドラマが起きるグランドホテル形式になってる、主人公は車掌、列車給仕、食堂車のウエイトレスたちだ。主人公の車掌(中村)は恋人の(中原)と結婚したくて車掌を辞めようとしているが困難を乗り越えて車掌として行き抜く決意する、台風の崖崩れで列車が止まるが車掌達が総出で取り除くのがクライマックス。「大いなる驀進」と物語・監督・脚本家・配役ともによく似ている。驀進は初期の労働映画の題名でもある。


特急にっぽん 1961年 86分 日活(協力:国鉄
監督:川島雄三 原作:獅子文六 出演:フランキー堺/団令子
東京から北九州に向かう特急こだまに乗る、食堂車コックと食堂車女給を主人公に、行程8時間の間のドラマ。繁盛する食堂車の様子が貴重だ、朝一番で主人公らが国鉄の宿舎や列車から起き出し列車内で朝食取る、列車に作家席があり執筆出来るなどは?。スリ、偉い政治家、などが出てきて「大いなる驀進」と対比できる。


喜劇 各駅停車 1965年 95分 東宝(協力:国鉄
監督:井上和男 原作:清水寥人 脚色:松山善三
出演:森繁久彌三木のり平岡田茉莉子/森光子
国鉄の協力を得て、高崎機関区を中心としたオール・ロケーション作品。全盛期の森繁久彌がナポレオンに傾倒している主人公に扮し、コメディ・センスを存分に発揮する。ベテラン機関士・源吉(森繁)は大のナポレオン・ファン。六十近いがまだまだ元気で、当分引退しそうにない。退職を説得する役目を押し付けられた同僚の咲平(三木)は、行きつけのおでん屋で女将のきみ(岡田)から、源吉について意外な話を聞かされる。