zames_makiのブログ

はてなダイアリーより移行

被曝恋愛悲劇(暫定)

「純愛もの」「原爆もの」

  • 1957.10.15 純愛物語 東映 133分 カラー
  • 1964.09.19 愛と死をみつめて 日活 白黒(病気)
  • 1966.09.17 愛と死の記録 日活 白黒
  • 1969.09.17 海はふりむかない 松竹 カラー

(参考 テレビドラマ)

  • 1962年7月30日 NHK テレビ指定席『純愛物語』 出演:八代駿、十朱幸代、中村雅子、原田甲子郎 演出:古閑三千郎
  • 1965年10月8日 TBS 近鉄金曜劇場『愛とこころのシリーズ 純愛物語』 出演:前田吟、刈屋ヒデ子、北沢典子、林昭夫ほか

参考

片岡佑介(一橋大学)1960年代純愛映画にみる被爆(者)表象と恋愛結婚イデオロギーの構築
https://www.repre.org/conventions/10/10193060/

今井正『純愛物語』(1957)を嚆矢とし、1960年代には若い男女の恋人のいずれかが原爆症を発病し離別するという定型的なプロットを持った映画が製作され始める。この「純愛映画」では、「原爆乙女」やケロイド、白血病原爆ドームといった被爆(者)表象がパターン化されるとともに、当時流行した白いエプロンや団地のショット、そして登場人物が交わす結婚の約束を通じて、恋愛結婚が理想化されている。胎内被爆被爆二世問題が喧伝されていた当時、現実の被爆者は遺伝を理由に結婚差別を被ることがあった。その被爆者が、純愛映画においては一方で恋愛結婚イデオロギーを促進させ、他方そこから排除されるものとして構成されていることを、メロドラマ映画研究、および恋愛結婚と優生思想の結びつきを検討した社会学の著作を手掛かりに検証する。
次に、吉村公三郎『その夜は忘れない』(1962)や若松孝二『壁の中の秘事』(1965)など、バーのマダムや団地妻がヒロインを務める作品において、純愛映画の形式が踏襲されながらも恋愛結婚の理想が破綻していること、ならびに鏡像による声と映像の分離などの試みを通じて典型的な被爆(者)表象が問い直されていることを確認する。以上の作業によって、1960年代の純愛映画における被爆(者)表象と恋愛結婚イデオロギーの構築および逸脱を明らかにし、その意義を原爆映画史の文脈で考察することが本発表の目的である。