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<菊池寛原作の映画>

菊池寛=国策映画会社大映の社長、戦後も1946.12まで社長をつとめGHQの求めに応じて民主主義宣伝映画を製作した。つまり戦前・戦後を通じて体制宣伝によく協力した。出自は大衆作家であり、その小説が多く映画原作になったところから映画界で力を持ち、戦前1930年代の国家と映画人の交流団体「大日本映画協会」で、会長を務め、国家国策を映画でどう大衆に浸透させるかに論を持った。論とは=ストーリー第1主義:ストーリー・シナリオの重視であり、映画の持つ諸機能:国策宣伝、娯楽、芸術は別個でなく、映画の中で一つのものとして訴えるべきであり、その方がより強い力を持つという合理的なもの。「国策・芸術・大衆の三位一体」。米国OWI長官の「最高のプロパガンダ映画とは娯楽を通じて大衆にそれとなく語らえるもの」という極意に通じるもの。
出典:=「大映社長・菊池寛の戦中・戦後」志村三代子(所収:横断する映画と文学:日本映画史叢書12 森話社, 2011)

参考

◇決戦下の「宮本武蔵」--菊池寛作『剣聖武蔵伝』と溝口健二の『宮本武蔵』をめぐって / 志村三代子、映像学. (通号 81) [2008]
◇かくて神風は吹く 志村三代子(所収:映画のなかの天皇:日本映画史叢書9 森話社, 2007)
菊池寛の通俗小説と恋愛映画の変容 / 志村三代子(所収:家族の肖像:日本映画史叢書 7 森話社, 2007)
菊池寛革新官僚の雑誌『日本映画』 / ピーター・B.ハーイ(所収:戦争と表象/美術20世紀以後記録集 / 美学出版, 2007)
◇コンフリクトの「場」としての「文芸映画」--1920年代中後期の菊池寛作品の映画化をめぐって / 溝渕久美子 情報文化研究. (18) [2004.3]

映画原作クレジット作品リスト

(戦前・非国策推進)
1921._._ 砂上の家  松竹蒲田
1922.08.11 火華  松竹蒲田
1922.11.11 火華  牧野教育映画
1924.02.07 時勢は移る  帝キネ芦屋
1925.02.05 恩讐の彼方に  東亜等持院
1926.01.22 京子と倭文子  聯合映画芸術家協会=伊藤映画研究所
1926.04.22 京子と倭文子  松竹蒲田
1926.04.22 京子と倭文子  日活大将軍
1926.09.12 陸の人魚  日活大将軍
1927.03.29 父帰る  松竹蒲田
1927.05.06 新珠  聯合映画芸術家協会
1927.05.08 新珠  松竹蒲田
1927.05.26 真珠夫人  松竹蒲田
1927.09.15 慈悲心鳥  日活大将軍
1927.10.26 海の勇者  松竹蒲田
1928.01.21 結婚二重奏 前後篇  日活大将軍
1929.05.31 東京行進曲  日活太奏
1929.06.14 新女性鑑  松竹蒲田
1929.10.17 不壊の白珠  松竹蒲田
1929.11.15 明眸禍  松竹蒲田

1930.03.01 時勢は移る  松竹下加茂
1930.04.25 母  日活太奏
1930.05.15 父  松竹蒲田
1930.05.15 恋愛結婚制度  東亜京都
1930.09.12 赤い白鳥  帝キネ
1930.12.05 忠直卿行状記  千恵プロ
1931.03.14 壊け行く珠  松竹蒲田
1931.04.03 有憂華  松竹蒲田
1931.07.04 姉妹 前篇  松竹蒲田
1931.07.04 姉妹 後篇  松竹蒲田
1931.10.30 心の日月 烈日篇 月光篇  日活太奏
1931.10.31 青春図会  松竹蒲田
1932.03.18 勝敗  松竹蒲田
1932.04.15 時の氏神  日活太奏
1932.05.12 仇討兄弟鑑  正映マキノプロ=大衆文芸映
1932.05.27 蝕める春  松竹蒲田
1932.11.17 花の東京  日活太奏
1932.12.15 受難華  日活太奏
1932.12.15 敵討愛慾行  宝塚キネマ
1932.12.31 仇討兄弟鑑  松竹下加茂
1933.04.06 真珠夫人  日活太奏
1933.05.04 未来花 前後篇  日活太奏
1933.06.22 結婚街道  松竹蒲田
1933.06.30 返り討崇禅寺馬場  松竹下加茂
1933.11.09 蒼眸黒眸  日活太奏
1934.05.03 妖麗  新興
1934.06.28 三家庭  日活多摩川
1935.01.15 日像月像  協同映画=日活多摩川
1935.02.01 貞操問答 高原の巻  入江プロ
1935.02.14 貞操問答 都会の巻  入江プロ
1935.07.21 奮恋  P.C.L.
1935.09.19 望郷の唄  日活多摩川
1935.10.08 父帰る母の心  第一映画


(大日本映画協会理事就任 1935.11)
1936.06.04 結婚の条件  松竹大船
1936.06.11 処女花園  P.C.L.
1936.06.18 街の姫君  新興東京
1936.06.18 恋愛と結婚の書 恋愛篇  日活京都
1936.07.01 慈悲心鳥  日活多摩川
1936.10.01 恋愛と結婚の書 結婚篇  日活京都
1936.10.29 仇討禁止令  日活=太奏発声
1936.11.30 新道 前篇朱実の巻  松竹大船
1936.12.02 新道 後篇良太の巻  松竹大船
1937.04.01 母の夢  松竹大船
1937.05.21 日本女性読本  P.C.L.
1937.09.01 結婚への道  新興東京
1937.10.01 美しき鷹  P.C.L.
1937.10.01 美しき鷹  新興東京
1937.10.01 美しき鷹  日活多摩川
1937.10.01 禍福 前篇  P.C.L.
1937.11.11 禍福 後篇  P.C.L.
(戦前・国策推進)
1938.01.21 新家庭暦  松竹大船
1938.01.21 人生競馬  東宝映画東京
1938.02.23 現代の英雄  新興東京●
1938.05.01 藤十郎の恋  東宝映画東京
1938.06.09 時勢は移る  松竹下加茂●
1939.02.01 女性の戦ひ  松竹大船●
1939.03.01 結婚天気図  松竹大船
1939.05.18 愛憎の書  新興東京
1939.12.25 わが子の結婚  松竹大船●
1940.06.13 女性本願  新興東京● 田中重雄、須磨子?
1940.11.29 西住戦車長伝  松竹大船● 原作、人情家の戦争英雄


(1943.3.25大映社長就任)
1944.01.03 剣風練兵館  大映京都、書き下ろし
1944.01.14 菊池千本槍シドニー特別攻撃隊  大映● 太平洋戦争の英雄、書き下ろし
1944.11.08 かくて神風は吹く  大映京都● 元寇神の国日本に神風が吹く、書き下ろし
1944.12.28 宮本武蔵  松竹京都 書き下ろし、溝口健二の失敗作
1945.07.26 最後の帰郷  大映● 特攻隊映画 書き下ろし


(戦後・民主主義推進)
1945.12.20 最後の攘夷党  大映京都● 外国人排斥主義者が外人に接して民主主義に転ずる
1946.01.03 明治の兄弟  大映京都●
1946.03.07 女生徒と教師  松竹大船● 書き下ろし、女生徒の妊娠、主題:空襲下の自由恋愛の推進
1950.01.03 処女宝  新東宝
1950.10.21 真珠夫人 処女の巻  大映東京
1950.11.11 真珠婦人 人妻の巻  大映東京
1950.12.15 三つの結婚  松竹大船● 仲良し3女性との結婚
1952.06.15 父帰る  松竹大船

(日本独立・GHQ検閲解除、戦後・娯楽映画)
1953.10.31 地獄門  大映京都
1954.01.09 第二の接吻  滝村プロ
1954.01.15 心の日月  大映東京
1954.11.15 慈悲心鳥  新東宝
1955.06.15 藤十郎の恋  大映京都
1959.01.22 朝やけ雲の決闘  松竹京都
1960.10.18 時の氏神 新夫婦読本  大映東京
1960.11.22 忠直卿行状記  大映京都