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瀬戸内少年野球団(1984)敗戦後の世相

製作:YOUの会=ヘラルド・エース 配給:日本ヘラルド 公開:1984.06.23 143分 カラー ビスタサイズ
製作:原正人 監督:篠田正浩 脚本:田村孟 原作:阿久悠瀬戸内少年野球団」(直木賞) 音楽:池辺晋一郎
=戦後の世相を明るくコミカルにある種のファンタジーとして描くもの。戦後変化でのも様々な感情をそのままでなく、批評的に描く。例:進駐軍=恐れや恐怖、おもねりでなく親密さ、親しさ、復員兵=再会と昔の生活への熱望、懐かしさや愛情でなく、負傷兵の肉親への恥ずかしさ、戦犯=日本人による排斥ではなく、誇り、など。敗戦直後だが、敗北へのショック、食料の心配、日本軍人への賞賛も叱責もなく、当時の様相に反している。「進駐軍に心も占領させるな」が監督メッセージらしいが過去の出来事に何の意味もない。

出演:
夏目雅子(中井駒子)国民学校先生、駒子先生、戦争未亡人、義理の母から弟との再婚を迫られてる、
山内圭哉(足柄竜太)その生徒、戦争で父母喪失、
大森嘉之(バラケツ正木三郎)その生徒、海軍大将が夢。
大滝秀治(足柄忠勇)警官、復員兵に感謝を大声で言うが真実味薄い、即座に闇米を摘発、進駐軍くると自主的に英語の看板を用意する
加藤治子(足柄はる)その老妻
伊丹十三(波多野提督)きちんとした身なりで辞書の紙で煙草を巻く紳士、戦犯に指名されるかもしれないと警察に出頭、履歴を届けるという自分から戦犯受容しているとの表現、シンガポールで死刑になる
佐倉しおり(波多野武女)その娘、転校してきた生徒、駒子先生に親切にしてもらう、父の逮捕後も島に残る
岩下志麻(穴吹トメ)床屋、戦争未亡人だが明るい、渡辺謙を性的に誘惑する
?(アンダーソン中尉)
?(進駐軍通訳)
沢竜二(池田新太郎)役者、やけに綺麗で明るい、金を持ち逃げ、戦後にこんな人いたのか?
内藤武敏(中井銀蔵)駒子の義理の父、駒子に冷たい
渡辺謙(中井鉄夫)駒子の夫の弟、漁師、駒子先生を熱烈に愛し犯す、それでも受け入れられず諦めて家によりつかなくなる
郷ひろみ(中井正夫)駒子の夫、片足の復員兵として密かに帰還、恥ずかしくて駒子に会えない、その後再会、戻る
ちあきなおみ(美代)パンパン、子供を脅かす


…(キネ旬紹介文)敗戦直後の淡路島を舞台に、野球を通して子供たちに民主主義を学ばせようとする女教師(民主主義の話ない)と、スポーツに目覚めていく子供(目覚めぬそのまま)たちとの絆を描く。

あらすじ(修正済)

昭和20年9月の淡路島。江坂町国民学校の初等科5年男組の級長、足柄竜太、バラケツ(ヤクザ)志望の正木三郎らは担任の中井駒子先生の指示に従って、国語の教科書の不適表現箇所を墨で塗りつぶしていた。駒子先生を馬鹿にしているがそれは戦前教育への批判ではない。三人は教師にため口を吐くが最初から反抗的で真実性薄い。反抗するのは敗戦による教師の権威失墜に見えるがそれは描かれていないのでイメージ的なもの。海軍大将になることが夢だった三郎、父母を亡くした竜太、仲間のデブ国、ニンジン、ボラ、ガンチャ、ダン吉、アノネも、まるで敗戦などなかったように楽しそうに暮らしている。

 伊丹十三(波多野提督)が船で来る、戦犯になるかもと警察に届けに来る皮肉な男、静養に来たと言う。その父に同行して島にやってきた波多野武女は。きりりとした大人びた美しさに胸ときめいた少年たちは、武女と提督を進駐軍の手から守ってやることを誓う。
 駒子先生も、新婚早々に出征した夫正夫が戦死し、婚家の網元にとどまるかどうか迷っていた。義理の両親は、次男の鉄夫との再婚を進めるのだが、気がすすまない。ひつこく迫る弟に犯されてしまうが暗さはない。
 数日後、星条旗をなびかせて巡視船がやってきた。子供は進駐軍のチンポは大きいと噂をする。進駐軍上陸用舟艇からジープで無人の街中へ、警官に挨拶、コミカルな描写。軍の砲台を探し爆破する。それを提督は神妙に聞いている。警察は進駐軍を歓迎、宴会を開く、その間に駒子先生は求愛してくる弟に犯されてしまう。
 駒子先生は進駐軍におもねるなと生徒の前で訓示、心を占領させるなと言うが生徒は誰も理解できない。
 翌日、バラケツと竜太は学校の帰りがけに天神さまに寄ると、一本足で松葉杖をついた白衣の軍人に声をかけられた。駒子先生の夫正夫だった。しかし、駒子先生は前夜の鉄夫とのことがあるため、正夫に会うことはできなかった。正夫は、竜太とバラケツに暮らすところが決ったら連絡すると約束し、島を去った。島の正月は、村芝居で賑わった。床屋のトメとその愛人で流しの旅芸人池田新太郎が企てた演し物は、駒子と鉄夫と正夫の三角関係を脚色した世話物で、町の好きものたちに大受けした。戦後はじめての春がめぐってきた。桜が満開になる頃、竜太、バラケツ、武女は6年生に進級、担任は駒子先生だった。間もなく、武女の父は巣鴨プリズンに出頭し、武女は島に残ることになった。それとは反対に、バラケツの兄、二郎と愛人のヨーコが島に戻ってきた。成金、軽薄を絵に描いたような二人が教室にやってきて、キャンデーをばらまいた。争ってそれを拾う生徒たち。そんな子供たちの姿を見て、駒子先生は子供たちに野球を教えようと思った。竜太たちは見よう見まねでグローブやボールやバットを作った。毎日、みんなは暗くなるまでボールを追ったが、バラケツだけは兄のいかがわしい仕事を手伝っていたために仲間に入らなかった。しかし、その兄と愛人は仕事に失敗して自殺してしまう。夏休み、駒子先生は竜太と武女に連れられて、金比羅さんにいる正夫を訪れた。鉄夫との過ちはあったものの、正夫に許しを乞い、もう一度一緒に生活を始めようと決意したのだ。二人の新しい生活が始まり、戦前の中等野球で活躍した正夫をコーチに招いて駒子先生率いる“江坂タイガース”は一段と練習に熱が入った。バラケツもチームに戻ってきた。しかし、隣町のチームとの初陣は、惨憺たる結果で終った。学校生活も残り少なくなったある日、武女に、父がシンガポールで絞首刑に処せられたという報せが入った。そして武女は兄が待つ東京に帰らなければならなくなった。そんなところにかつて、島にやって来たことがあるアンダーソン大尉が、思い出に江坂タイガースと試合をやりたいと申し込んできた。竜太と三郎は、武女の父親を絞首刑にしたような国のチームとはやりたくないと突っぱねたが、武女はやると言ってきかなかった。試合は、武女の決勝打で江坂タイガースが勝った。昭和22年3月、武女は兄と一緒に島を去った。バラケツ一人が武女を見送った。