zames_makiのブログ

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日本の母(1942)原研吉

(89分・35mm・白黒)
’42(松竹大船)夏子(監)原研吉(脚)野田高梧、八木沢武孝(撮)武富善男(美)本木勇(音)淺井擧曄(出)葛城文子、佐分利信上原謙佐野周二高峰三枝子三宅邦子木暮実千代斎藤達雄、河村黎吉、吉川満子、水戸光子、川崎弘子
夫の死後一人でこども5人を育て上げた母みねは、彼らとともに幸せな老後を送ることを夢見るが…。松竹大船のスターが総出演する賑やかなホームドラマ。絹代は嫁ぎ先であるシンガポールの貿易商と仲違いして里帰り中の頑固な長女・夏子を演じている。
=注目すべきラストの主人公と老父との2人の姿は小津の「晩春」に似る。
息子達を南方へ、兵士として、送り出すことこそ「日本の母」とする当時の国策に沿ったもの。ただし強くそれを強調するものではなく、背景として当然のこととして描かれる。
 母=葛城文子?、長男は大学の先生として大阪→北海道へ、2女(田中絹代)はシンガポールで貿易商を営む夫と暮らしていたが太平洋戦争開戦の際の商売苦労で心が離れ日本に帰っている、次男は医師で南方で流行る病気の治療法で研究のため南方行きをきめる。3男は飛行隊将校の軍人で「俺もいつ行くかわからぬ」と言う。
 出演者は全て家族とその友人で、場面はほぼ全て彼らの家での会話場面という単調さ。ただ会話は自然で主題も納得できる。佐野の軍人がまったくいばっておらず、基地に妹?がたずねてくるシーンでも、部下の兵にお茶を出させるなど、兵士といえどののどかなのが戦争が深刻となっていない時期を反映している。冒頭に戦意高揚字幕はない。
 ラストは南方からきた夫(斉藤達郎)にほだされ田中は南方へ行く約束をする。静かに家族を見送る母というもの。


葛城文子(母) 佐分利信(長男) 三宅邦子 上原謙(次男) 木暮実千代(3女) 田中絹代(2女) 佐野周二(3男) 高峰三枝子(友人) 徳大寺伸 水戸光子 斉藤達郎(田中の夫)





10/22(木) 7:00pm 11/10(火) 1:00pm