zames_makiのブログ

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愛と誓ひ(1945)朝鮮人特攻

製作:東宝=朝鮮映画社 配給=映画公社 公開:1945.07.26 白系 白黒
監督:今井正 ・崔寅奎(チェ・インギュ)?脚本:八木隆一郎 撮影:山崎一
出演:高田稔(白石局長) 竹久千恵子(局長夫人) 志村喬(特攻隊員の父・国民学校校長) 独銀麒 金祐虎 金信哉キム・シンジェ(特攻隊員の妻)

全長?フィルム(71分)が発見されている
参考書:朝鮮人特攻隊 / ペ・ヨンホン(裴淵弘) 新潮新書 2009.12
朝鮮人特攻隊映画を撮っていた今井正の「戦争」 / 裴淵弘 新潮45. [2010.4]=韓国映画院で「愛と誓ひ」を視聴した記事

映画「愛と誓ひ」あらすじ

後援:海軍省 朝鮮総督府 指導:大本営海軍報道部
出演:
独銀麒?(主人公:朝鮮人少年・金英龍)
金祐虎?(朝鮮人・特攻隊・村井信一郎少尉)
高田稔(その恩師白石局長・少年の面倒をみる)
竹久千恵子(白石局長夫人)
金信哉キム・シンジェ(村井の未亡人・少年を可愛がる)
志村喬(村井の父)

<某ブログによるあらすじ>
http://ameblo.jp/jk-nextfilm/entry-10461126501.html
 海軍の村井信一郎少尉(朝鮮人)が京城新報社の白石局長を訪ねる。村井少尉は海軍の神風特別攻撃隊員として出撃が決まっている朝鮮出身のエリート士官で、恩師でもある白石局長に最後の別れを告げにきたのだった。新聞社の屋上で白石局長が英霊となる村井少尉の写真を撮ろうとすると、局長が可愛がっている金英龍という名の少年(浮浪児)が現れ、憧れの村井少尉と並んで写真を撮ってもらうことになる。

 村井少尉の特攻機は敵艦隊に体当たり攻撃をしかけ、見事空母を爆発炎上させる(この場面は特撮)。京城新報はその戦果を「半島の神鷲 村井信一郎少尉命中」と大々的に報じ、白石局長の撮った村井少尉の写真も大きく掲載された。白石局長にわが子同然に育てられていた英龍少年は、英雄となった村井少尉への憧れを次第に強めていく。

 村井家は京城から三里離れた村にある両班の家柄だった。村井の父は小学校の校長でその未亡人も一緒に暮らしていた。白石局長夫妻は村井少尉の遺影を持参して弔問に訪れた。写真を見た未亡人は、少尉と一緒に写っている英龍少年に興味を抱いた、上海事変で生き別れになった弟エイキューに似ていたからだ。なんとか国につくしたい英龍少年に、白石局長は村井少尉の家庭を訪問して記事を書くように命じる。浮浪児だった彼にとって、生まれて初めて経験する大仕事である。

 取材に現れた英龍少年を見た村井未亡人は、ひょっとすると生き別れた弟ではないかと思い、彼に身の上話をする。二人に接点はなかったが英龍少年は未亡人の弟であったらいいのにと願うようになる。英雄村井少尉の弟になりたかったのだ。

 その夜村では軍に志願した若者のために盛大な壮行会が開かれていた。朝鮮の民謡が歌われ、若者は村の全員から祝福される。翌朝その若者が軍へ入営するために乗るはずのバスが動かない、京城まで行くガソリンがなくなっていたのだ。入営が遅れたら一大事だ、若者は京城まで走っていくことになり、村民は全員で彼を見送った。

 その中で英龍少年だけが憂鬱な表情をしていた。未亡人が問いただすと、ガソリンを捨てたのは自分だと白状した。若者が乗るバスには英龍少年も乗るはずだったのだが、どうしても京城に帰りたくなかったのだ。村井少尉の弟になりたいとの思いを聞いた未亡人は、英龍少年をきつく叱り、彼は自分の犯した過ちを反省する。

 京城に帰った英龍少年はその事件が頭から離れず、なかなか記事を書けない。むしゃくしゃして家を飛び出し白石局長に怒られるが、書いた原稿は決して悪くなかった。新聞に載った記事は評判がよく、白石局長は英龍少年を記者見習いにすることに決めた。ところが英龍少年はその誘いを断り「村井少尉のあとに続きたいんです」と言い、海軍へ志願する。英龍少年が慶尚南道の鎮海にある海軍に入営する場面がラストシーン。

シンポジウム映画「愛と誓ひ」上映会とシンポジウム

プログラム:司会:竹田仰(九大・芸術工学研究院教授)

  • 取材報告「朝鮮人特攻隊と映画『愛と誓ひ』」(ペ・ヨンホン、ジャーナリスト)
  • 解説「チェ・インギュ監督の映画と人生」(キム・ジョンウォン、東国大学、韓国映画史研究)
  • 映画「愛と誓ひ」上映(71分)DVD上映
  • シンポジウム「映画『愛と誓ひ』をどうみるか」参加者:有馬学(九大、日本近代史)、崔吉城(広島大・、比較民俗学)、有松しづよ(近畿大学、朝鮮女性史)、下川正晴(大分県立芸術文化短期大学、韓国・メディア論)、ペ・ヨンホン(ジャーナリスト)、キム・ジョンウォン(映画史研究家)

日時:2010年3月20日(土)午後零時半〜同5時半
場所:九州大学大橋キャンパス5号館511教室
無料(収容人員約200人)
主催:「植民地期の朝鮮映画」上映実行委員会 
共催:日韓次世代交流映画祭 助成:大分県立芸術文化短期大学
シンポジウム紹介文:映画「愛と誓ひ」は、終戦直前の1945年初夏に封切られた作品です。日本植民統治下の朝鮮で制作された映画その一部は北京やモスクワの倉庫からも見つかりましたが、一般に公開されないまま、日韓映画史の暗闇の中で”秘蔵”されている貴重な映画も少なくありません。今井正、崔寅奎(チェ・インギュ)という当時、すでに名声のあった両監督が共同演出した国策映画であり、「朝鮮人特攻隊」をテーマにした作品として、プロパガンダ色がきわめて強いと言えます。戦後、黒澤明作品に出演した名優・志村喬が特攻隊員の父親(国民学校校長)として登場し、戦争期の代表的な朝鮮人女優である金信哉(キム・シンジェ)が、特攻隊員の夫人役で出演しています。映画「愛と誓ひ」は、朝鮮人特攻隊という際どいテーマを扱ったため、戦後の日本で一般公開されることもなく、”幻の作品”として放置されてきました。今回の映画会では、韓国から著名な映画史研究家であるキム・ジョンウォン氏(東国大学)を解説者に招き、昨年末、「朝鮮人特攻隊」(新潮新書)を出版したジャーナリストのペ・ヨンホン氏からはソウルでの取材報告を聞く予定です。
http://www.oita-pjc.ac.jp/annai/news/2009/20100224.html