zames_makiのブログ

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アヴィ・モグラヴィ特集(イスラエル)

反骨映画作家アヴィ・モラヴィ特集(イスラエル)監督:アヴィ・モグラビ Avi Mograbi
期間:2009年10月2日〜10月3日
場所:日仏学院
入場料:1000円 上映当日10時より受付にてチケット発売
…怒れる闘士である映画監督、アヴィ・モグラビは、イスラエル社会における対立の中心にそのカメラを置く。彼は、教訓的な発話に対して、イメージの持つ力を特権的に扱いながら、国境で同時に撮影された横暴と屈辱のイメージを提出する。彼は、しばしば画面に登場し、カメラに向かって彼の国の傷と愚かしい行動をナンニ・モレッティにも比較できるような笑いのないユーモアをまじえて語る。彼は、各作品でドキュメンタリーの形態を問い直そうと試み、新しいフォルムを実験しており、批評家によって敬意を持って迎えられ、数々の映画祭で賞を与えられている。
 「僕は、メディアに対抗して仕事をしているわけではない。僕は、僕の映画が現実に起こっている何がしかのことも変えると思っていない。僕が映画を作るとき、投資についても、あるいは芸術面、政治図においても見返りを求めていない。僕がなぜ映画を撮るのか、それは、そうせざるを得ないと感じているからだ。」(アヴィ・モグラビ)

上映作品

  • 11時00分『ディテール11〜13』『8月、爆発の前』
  • 13時30分『待って、兵士たちが来た、もう電話を切らなきゃ』.『わたしはいかにして恐怖を乗り越えて、アリク・シャロンを愛することを学んだか』
  • 15時30分『二つの目のうち片方のために』(2005年 100分)
  • 18時00分『国外追放』『ハッピー・バースデー、Mr.モグラビ』
  • 常時上映『リリーフ』(5分)無料
  • 常時上映『アット・ザ・バック』(32分)無料

『ディテール11〜13』(2004)

イスラエル=フランス/2004年/12分/DVD/カラー/英語字幕付き
イスラエル人のジャーナリストたちが、占領地区を二台の車で通過している。彼らは、その会話の中でイスラエル人兵士たちに銃を向けられる恐怖について話す。

『8月、爆発の前』(2002)

イスラエル=フランス/2002年/72分/35ミリ/カラー/英語字幕付き
アヴィ・モグラビは、8月を嫌っている。彼の目には、イスラエルでの最も耐え難いことを象徴する月なのだ。この月の平凡な31日の連なりの中で、彼はカメラとともに道々をさまよい、彼が彼自身、あるいは彼の妻、彼が今準備中の映画(その映画はエブロンのモスクでの一人のイスラエル入植者によるイスラム教徒虐殺の映画だが)のプロデューサーの役を演じるフィクションのシーンを通じて私たちに彼の内面の思考を届けている。

『待って、兵士たちが来た、もう電話を切らなきゃ』(2001)

イスラエル=フランス/2001年/13分/ベータカム/カラー/英語字幕付き
テレビ画面では日々の出来事の映像が次々と流れている中、アヴィ・モグラビはパレスティナ人の友人と電話で話をしている。その友人は彼の置かれている状況をアヴィに語っているが、突如、兵士たちが現れ、電話が切られる……。

『わたしはいかにして恐怖を乗り越えて、アリク・シャロンを愛することを学んだか』(1997)

イスラエル/1997年/61分/ベータカム/カラー/英語字幕付き
1996年に、イスラエルの選挙戦が近づいてきたので、映画監督アヴィ・モグラビはアリエル・シャロンという物議を醸し出す政治家についての映画を撮ろうと決意する。ある種の映画内の映画、彼の次回作『ハッピー・バースデー Mr.モグラビ』のように、『わたしはいかにして恐怖を乗り越えて、アリエル・シャロンを愛することを学んだか』は、アヴィ・モグラビが撮影しているシャロンについての映画と、彼の家庭内で生じていく夫婦の問題についての話を語っている。
…「私は、左翼映画作家として、辛辣な政治的ドキュメンタリーを撮ろうと思って出発した。シャロンを間近で撮っていて、彼の人格の中の恐るべき真実を明らかにしたいと思っていた。しかしアリエル・シャロンは愛想のよい、礼儀正しい人だということが分かった。(…)私自身は、彼の持つカリスマを感じることはなかったが、彼の放つそうしたカリスマの危険性に気づいた。ある意味、この映画はその後に起こることを予期していたと言えるだろう。つまりイスラエルの国民が彼を首相に選ぶことになることを」。(アヴィ・モグラビ)

『二つの目のうち片方のために』(2005)

イスラエル=フランス/2005年/100分/35ミリ/カラー/英語字幕付
サムソンとマサダの伝説は、死は支配より望ましいということをイスラエルの若い世代に教えている。今日、第二次インティファーダ(非武装抵抗運動。イスラエルの占領に反対するパレスチナの民衆蜂起。)が最高潮に達し、パレスチナ人は日常的にイスラエル軍の屈従に耐えている:農民たちは自由に彼らの土地を耕すことはできなかったり、子供たちは学校から戻るのに長く境界線上で足止めをくらったり、年老いた女性は彼女の家に帰ることができなかったり…。疲れ果て、人々は、ヘブライ人がローマ人に対して、あるいはサムソンがペリシテ人に対して怒りや失望を叫んだことを昨日のことのように感じている。イスラエル人監督、アヴィ・モグラビは包囲されたパレスチナ人と遍在するイスラエル軍との間での対話の力を信じている。

『国外追放』(1989)

イスラエル/1989年/11分/DVD/無字幕※背景音のみ
この短編には母国から追放された三人が登場する。国外追放されるという外的な暴力性は消され、道徳的な話し合いをするという行為が示される。
…「『国外追放』はドキュメンタリーというよりもささやかなフィクションである。もし何らかの影響を受けているとすれば、ブレッソン、とりわけ『抵抗』だろう」。(アヴィ・モグラビ)

『ハッピー・バースデー、Mr.モグラビ』(1999)

イスラエル=フランス/1999/77分/カラー/16mm/ヘブライ語アラビア語、英語/日本語字幕付き
ドキュメンタリー映画作家アヴィ・モグラビは、仕事で母国イスラエルの建国50周年記念の映画製作を依頼される。それと同時にモグラビはパレスチナ人プロデューサーからも彼らの視点によるイスラエルの裏面史ともいえる記録映画を依頼されてしまう。ユダヤとアラブ。彼の立場は複雑である。これらの出来事のなかでモグラビは自身の42回目の誕生日がイスラエル独立記念日と同じ日であると気づく。自国の歴史と自分史を映画製作という方法で問い直すことによって、そこに新たに現れてくるイスラエルのという国の諸問題、そして断層…。斬新で迫力に満ちた新しいタイプのプライベート・ドキュメンタリー。
…上映後にアヴィ・モグラビ監督と村山匡一郎(映画評論家)の対談あり。

『リリーフ』(1999年)

イスラエル/5分/カラー/DVD/英語字幕付き
「『リリーフ』は軍によって禁止された結集の映像から作ったヴィデオ作品だ。11948年に何百万人ものパレスチナ人が国外追放された「ナクバ」の記憶のために行われた1998のデモの映像である。75秒のそのショットを見ている最中に、正しい順番で流すのも、あるいは逆に流すのも同じことだと気づいた。音は撮影時の音だが、速度を落としている。こうした作品の方向に、進んでいきたいと現在、思っている。より実験的な作品作りの方向へ。中近東の状況をメタファーとして示すこと。終わりのない、進むことのないこの状況を」。(アヴィ・モグラビ)

Z32 (2009)

イスラエル、フランス/2008/ヘブライ語/カラー/35mm/81分
2人のパレスティナ人警官がイスラエル軍に殺された事件に関与した元兵士が、恋人と一緒にカメラに向かって証言する姿に、その事件の歌を歌う監督自身の姿を交錯させながら、イスラエル人のアイデンティティを問いかける。
山形国際ドキュメンタリー映画祭2009にて上映