zames_makiのブログ

はてなダイアリーより移行

乃木将軍と熊さん(1925)溝口健二の戦争協力

→当時の新聞広告では「乃木大将と熊さん」(1925年12月30日読売新聞)
=宣伝「護国の軍神一世の師表、国民崇敬渇仰の的たる乃木将軍の人格を描く涙と笑いと感激大人情喜劇」
製作=日活(大将軍撮影所) 公開:1925.12.31 6巻 白黒 無声
監督:溝口健二 助監督:田坂具隆 脚色:畑本秋一 原作:溝口健二
出演:
山本嘉一(乃木将軍)「乃木将軍扮装第1人者」墓参帰りに少年を助ける水戸黄門の如き存在
小泉嘉輔(車夫の熊さん)「喜劇映画界の第1人者」による滑稽役、乃木をそれと知らず邪険に扱う
磯川金之助(辻占売りの金太郎)可愛そうな少年、父を日露戦争で死に母も死んでいる。
浦辺粂子(熊の女房・お由)
市川春衛(金太郎の祖母・お梶)
渡辺邦男(車夫・猪之吉)=映画監督

あらすじ

(乃木将軍写真画報 / 菊香会. 菊香会, 大正15年)

時は日露戦争数年後、所は東京深川柳橋付近。辻車の車夫義侠で涙もろい江戸っ子肌で戦争好きの熊さんは日露戦争で父を失った辻占売りの少年金太郎を扶けて毎日戦争の話に夢中になって暮らしていた。金太郎は数年前に母にも死なれ、今はこれも病床にある祖母を養って朝は新聞配達、夜は辻占売りの健気な少年である。ある秋の日学校の遠足で悪童どもにいじめられているところを戦死者墓参の帰りに通りかかった乃木大将が助ける。これが機縁で後日乃木は金太郎の家を訪ねるが、このときたまたま大将を車にのせた熊さん、「車上の人を乃木大将と知らずに一介の田助老爺の如く扱い、あとで乃木大将と知って慌てふためき、種々の滑稽を演じる。真に血と涙をもって多くの同胞の代表者となって戦い続けた軍神乃木大将閣下の人格的な方面と、戦争と父を失った憐れ一家と、それを助けて涙の喜劇を演じ続ける車夫熊さんの三つの物語」

「乃木文学」の一つの典型

  • 1乃木将軍が墓参をしたおりに息子を日露戦争で失った老婆の訴えを聞き涙する
  • 2車夫がそれと知らず田舎の老爺として無礼に扱いその後乃木と知って慌てる喜劇
  • 3父を日露戦争で失い貧乏で辻占売りをしている少年を乃木将軍がたすける


(出典:乃木希典:予は諸君の子弟を殺したり / 佐々木英昭. ミネルヴァ書房 2005)