zames_makiのブログ

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いのちの戦場-アルジェリア1959-(2007)

L'ENNEMI INTIME
112分 フランス 公開情報 劇場公開(ツイン) 初公開年月 2009/02/28 、渋谷シアターTSUTAYA新宿武蔵野館ほか
監督: フローラン・エミリオ・シリ 脚本: パトリック・ロットマン
撮影: ジョヴァンニ・フィオーレ・コルテラッチ 音楽: アレクサンドル・デスプラ
出演: ブノワ・マジメルアルベール・デュポンテル、 モハメッド・フラッグ
オフィシャル・サイト http://www.1959.jp/

記事(朝日新聞2009年2月20日

■仏のタブーに挑む 立案・主演、俳優マジメル34歳
 フランスで長年タブーとされてきたアルジェリア独立戦争の実態を描いた「いのちの戦場――アルジェリア1959」が28日から公開される。立案したのは主演の仏俳優ブノワ・マジメル(34)。戦争を知らない世代なのになぜ、このような作品に挑んだのか。マジメルに聞いた。
■「ゲームと現実、違う」
 舞台は、戦争が泥沼化した59年、アルジェリアカビリア地方の山岳地帯。若きテリアン中尉(マジメル)が前線基地に赴任する。理想に燃え、捕虜の処刑を拒否し、拷問を制止、仏からの独立を目指すアルジェリア大義があると公言する。しかし、仏軍とアルジェリア民族解放戦線(FLN)双方が暴力を尽くすゲリラ戦の現実は、中尉を次第にむしばんでいく。

 アルジェリア戦争はその賛否を巡って仏国内が割れ、仏内政にも大きく影響。そのトラウマから仏では口にすることもはばかられてきた。マジメル自身、歴史の授業でも戦争についてほとんど学ばなかった。「フランスに最も深い傷を負わせた戦争なのに、最も語られない戦争。だからこそ人々の意識を喚起したいと考えた。テレビやゲームの中の戦争と実際の戦争がどう違うかを示したかった」

 マジメルはこのアイデアを、たまたま休暇先が同じだった知人の歴史家P・ロットマンに相談。2人の間で構想が一気に具体化し、ロットマンが脚本を執筆した。

 仏軍が村人を皆殺しにしたり、兵士をナパーム弾で焼き尽くしたりと、残酷なシーンも少なくない。「知性と人間性あふれる人がいかに残虐になれるか、戦争の何が人を変えるのかを浮き彫りにしたかった」

 アルジェリアは遠い国。日本の観客にとって、戦争の背景を理解するのは容易でないかも知れない。「ただ、戦争による人間の変容は普遍的な問題。アルジェリアでは、何に対して戦っているのかわからないまま、若い兵士らが自らを見失ってしまった。それは今、アフガニスタンイラクで起きていることと同じなのです」

 マジメルは社会性の強い作品にもしばしば出演。最新作はボスニア内戦でのスレブレニツァ虐殺をテーマにしたテレビドラマだ。「事実を人々に知らせることは映画の重要な役割。個人的にも、その役目を担いたいと思う」と話す。(パリ=国末憲人)