zames_makiのブログ

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ハーツ・アンド・マインズ(1974)ベトナム戦争

ハーツ・アンド・マインズベトナム戦争の真実 原題:HEARTS AND MINDS ドキュメンタリー映画 110分 アメリカ 初公開:2010/06/19(東京都写真美術館) ビデオ発売あり
監督:ピーター・デイヴィス 製作:バート・シュナイダー、ピーター・デイヴィス
【解説】ベトナム戦争に関するニュースや、兵士達のインタビューでの証言などから構成されているドキュメンタリー作品。【受賞】1974年 アカデミー賞・ドキュメンタリー長編賞 
公式=http://www.eigademiru.com/

=感想:戦争に肯定・否定非常に多くのアメリカ人のコメントからなる、逆に戦争場面・悲惨な場面はすくない。全体に戦争の無意味さ、アメリカ政府が嘘をついて国民を騙している事(歴代大統領のコメント見せる)を訴えている。手足を失いリハビリ中の元アメリカ兵の姿、逆に英雄扱いされる捕虜帰還者などを対照的に見せる。ラスト近辺で有名な空爆による火傷の少女のフィルムあり。2011年見ると当たり前の映像で特に政治的ではない、むしろ戦争の理由や経緯はまったく述べておらず、多くの賛否両者の登場で混乱・曖昧な印象だ。2011年日本公開時朝日新聞など多くのメディアはこれを絶賛したが、イラク戦争に付き合わされる不満をぶつけたものに過ぎないように見える。

公式サイトの解説

インドシナ戦争後の南北分断に端を発する戦争勃発の原因、アメリカの政治家や官僚たちのエゴイスティックな大義と、1000年以上に渡って他国の侵略を受けてきたベトナム人たちの怒り、最前線から帰還した兵士たちの生々しい証言、村を焼かれ、子供を殺されたベトナムの人々の叫び…。なぜ、アメリカはベトナムと戦うことになったのか? そして彼らはそこで何をしたのか? そして、そこでの行為はどんな結果を生み、どんな影響を及ぼしたのか?映画はアメリカ、ベトナム、大統領から庶民まで、賛成派、反対派、戦争を体験したあらゆる層の人々の証言を積み重ね、無意味な戦争の真実を浮かび上がらせていく。

また本作は、「地獄の黙示録」や「ディア・ハンター」、「プラトーン」など、70年代後半以降に数多く製作されたハリウッドのベトナム戦争映画の傑作群に多大な影響を与えた、映画史的にも重要な作品である。

監督はNBC、ABC、CBSといったテレビ局で数々のドキュメンタリー番組を製作してきたピーター・デイヴィス。製作にあたっては、キリスト教会の国家評議会に勤めながらベトナムに2年在住したブレノン・ジョーンズと、ニューヨーク・タイムズやタイム・マガジンで働き6年間ベトナムで暮していたトーマス・C・フォックスをコンサルタントに迎えた。撮影を担当しているのは、『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』(70)のカメラマンでもあり、その後、監督となり『カントリー』(84)、『ノー・マーシイ/非情の愛』(86)、『ロード・トゥ・メンフィス』(03)などを撮ることになるリチャード・ピアース。編集は本作の直後、75年に『カッコーの巣の上で』でアカデミー賞最優秀編集賞を受賞したのをはじめ、『リバー・ランズ・スルー・イット』(92)、『アウトブレイク』(95)などの大作、話題作を数多く手掛けるリンジー・クリングマンとスーザン・マーティン。製作は、『イージーライダー』(69)、『ファイブ・イージー・ピーセス』(70)、『ラスト・ショー』(71)、『天国の日々』(78)など、映画史に残る伝説的な傑作を数多く手掛けた名プロデューサー、バート・シュナイダーである。


製作期間は1972年から2年間。製作費100万ドル(当時)をかけ、150時間分ものフィルムを使用した。

本作は74年のカンヌ国際映画祭批評家週間でワールドプレミアが行われ、大絶賛されたものの、当初、配給を行うはずだった会社が政治的報復を恐れて配給を降り、年末になってようやくワーナー映画の配給が決まり、12月20日にロサンゼルス、ウエストウッドのUAシネマで特別上映された。

だが、その後、ジョンソン元大統領の政策補佐官ウォルト・ロストウが自分の出演シーンの削除と、上映差し止め要求を裁判所に提出するなど、上映を妨害する行為が相次いだ。製作サイドは再編集を拒否して裁判が行われ、翌年1月22日に最高裁が一般公開を認め、1月30日に一般公開が開始された。

1975年4月5日、アカデミー賞授賞式では、プロデューサーのバート・シュナイダーが受賞のあいさつでベトナム戦争アメリカの良心について語り始めた時、司会を務めていたハリウッド最右翼のタカ派フランク・シナトラが「アカデミー賞に政治を持ち込むな」と抗議したが、それに対してシャーリー・マクレーンが「映画は真実を見つめて平和に貢献しなければならない」と反論し、満場の喝さいを浴びた。

日本では当時劇場公開が見送られ、1975年9月5日にNET(現テレビ朝日)が夜の11時15分から放映し大反響を巻き起こした。1987年12月16日には、HRSフナイよりVHS版ビデオが発売された(既に廃盤)。今回の上映が、日本では初の劇場公開となる。

全米では、2001年9月11日の同時多発テロとその後のアメリカのアフガニスタンへの侵攻などを受け、本作の再評価の動きが活発化。2002年6月25日にデジタル修復版マスターを使用したクライテリオン・コレクション版DVDが発売されてベストセラーを記録。2009年2月13日には全米劇場でのリバイバル上映が開始された。

本作の題名となっている“ハーツ・アンド・マインズ”という言葉は、ジョンソン大統領が行なった演説での「(ベトナムでの)最終的な勝利は、実際に向こうで暮らしているベトナム人の意欲と気質(ハ−ツ・アンド・マインズ)にかかっているだろう」という言葉から取られている。

出演者:

ジョルジュ・ビドー(元フランス外相)
ジョン・フォスター・ダレス(元米国国務長官)
クラーク・クリフォード(元トルーマン大統領補佐官)
ウォルド・ロストウ(元米国大統領補佐官)
ジョージ・コーカー(元米軍中尉)
ランディ・フロイド・ノーマン(元米軍大尉)
J.W.フルブライト(元外交委員長)
ロバート・ミュラー(元米軍中尉)
スタン・フォルダー(元米軍伍長)
ジョセフ・マッカーシー(元上院議員)
ウィリアム・ウェストモーランド大将(ベトナム派遣軍司令官)
ダニエル・エルズバーグ(元国防省顧問、ランド研究所)

チャン・ティン神父
ジエム・チャウ(トリンベイ誌編集者)
ジョー・トレンデル(元米軍三等軍曹)
バートン・オズボーン(元CIA情報将校)
エドワード・サウダース(米軍脱走兵)
ジョージ・パットン3世(元米軍大佐)
ウィリアム・マーシャル(元米軍三等軍曹)
グエン・ゴク・リン(複合企業社長)
ロバート・ケネディ(元上院議員)
ユージン・マッカーシー(元上院議員)
グエン・カーン将軍(元南ベトナム大統領)
ゴ・ディン・ジェム(元南ベトナム大統領)
ゴ・バ・ダン(元政治犯)
グエン・ティ・サウ(元政治犯)
マクスウェル・ディラー大将(元南ベトナム大使)
ボブ・ホープ
リンドン・ジョンソン(元米国大統領)
J・F・ケネディ(元米国大統領)
リチャード・ニクソン(元米国大統領)
ロナルド・レーガン(元米国大統領)

<劇中使用映画>

『成吉斯汗の仮面』(32)、『BATAAN』(43・未)、『ロナルド・レーガンの 陸軍中尉』(43・未)、『OBJECTIVE,BURMA!』(45・未)、『マイ・サン・ジェン/ 赤い疑惑