zames_makiのブログ

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TVドラマ「ホロコースト」の効果

TVドラマがシオニズムイスラエル国家を正当化する(ヴォルフゾーン)

ホロコーストシオニズムを正当化する機能を持っている事は、1979年の世論調査が証明している。テレビ映画『ホロコースト』シリーズ(1979年に米国で製作された、四部からなるテレビ映画シリーズ。ドイツに住むユダヤ人一家がホロコーストに巻き込まれ、離散し、収容所で殺されていく歴史を描いた作品。世界中で評判となった。)を見たあと、青少年の68パーセント、青年の55パーセントが、『シオニズムイスラエル国家の意義が以前より明らかになった。』と答えた。まかでも、中東系ユダヤ人や若年層、高等教育を受けていない層は、テレビの『ホロコースト』を見たあとでは、この関連がよりよく理解できた、と考えている。ホロコーストが持つ道具としての、また論拠としての価値を、私たちは改めて認めなければなるまい」(ミヒャエル・ヴォルフゾーン著・雪山伸一訳『ホロコースト罪と罰講談社現代新書

ドイツテレビでのホロコーストの扱い(石田勇治)

ZDFは1963年の開局から1993年までに、ナチズムと第2次世界大戦に関する番組を1217本作成した。放映時間計8万時間。30〜50本/年。主題別分類:戦史に関するもの31%、ユダヤ人虐殺などナチの犯罪18%、戦争の帰結16%、ナチ党の活動10%、抵抗運動9%、ナチ協力者95、亡命者4%、他国のファシズム運動3%。ホロコースト関係の番組は1970年代から増加傾向、そのきっかけはアメリカのTVドラマ「ホロコースト」の大きな成功にある。(「過去の克服」石田勇治、白水社、p230)
 出典:ウルフ・カンシュタイナー(米国のメディア研究者、2000年の学界報告)Wulf Kanstiner,History of the Screen and the Book:The Reinvention of the Holocaustin the Televison, Proceedings Actes 19th International Congress of the Historical Sciences,Oslo,2000)→「In Pursuit of German Memory: History, Television, and Politics after Auschwitz」by Wulf Kansteiner ,Ohio University Press,2006(papeback)

映画でのホロコーストの描き方(ガロディ)

 実に多くの芸術作品、とりわけ津波のような映画、テレヴィの映像作品が、この種の、ヒトラーの犯罪の意味の逆転に貢献してきた。解放以後、溢れるほどの数の映像作品が映し出された。それらを何度も見た丸々一世代の人々は、ナチと最も効果的に戦った人々の功績を、自分自身が証言し、判断できると思い込むようになった。

 アラン・レネの作品、映画『夜と霧』が、ナチの蛮行とともに、殉教者についての悲痛で忘れ難い印象を与えてくれるのだが、手前勝手な数字を持ち出すことによって、真実を曲げ、変質させている。ユダヤ人の犠牲者が、アウシュヴィッツだけで九百万人だというのだ!
 映画『重水の戦争』によれば、ジョリオ=キュリーとその仲間が、ノルウェイでナチから重水を奪ったという決定的な功績を挙げている(略)それは本当だろうか?

 映画『鉄路の戦い』に対してもある。鉄道従業員たちが、いかにしてドイツの輸送を麻痺させ、軍隊の集結を妨げたかを描いているのだが、本当に、そんな事ができたのだろうか?
 映画『パリは燃えているか?』では、外側の参謀本部の役割について過大な評価を加えながら、パリの市民が自ら立ち上がって市を解放し、ドイツの総督、フォン・ショルティッツを逮捕し、降伏させたという筋書きになっているのだが、これも本当だろうか?

 映画『エクソダス』、TV映画『ホロコースト』、映画『ショア』その他、一連の脚色豊かな物語が、毎週のように涙を誘う映像をスクリーンに氾濫させた。いかにも、これらの人々が味わった“犠牲的”な苦難の方が、英雄的に戦った他のすべての人々の苦難よりも、比較を絶するほど苦しいものだったのだと言わんばかりの状態だった。

 映画『ショア』(略)への出資者たちは、非常に寛大だった。その筆頭はイスラエル国家である。メネヘム・ベギンは、この映画、『ショア』のために、85万ドル(約一億二百万円)を捻りだした上で、つぎのように語った。「この映画には国益が関わっている」(『ザ・ジューイッシュ・ジャーナル』1986.6.27)
(「偽イスラエル政治神話」ロジェ・ガロディ、れんが書房新社、1998、2章2節「芸術作品による歴史的事実の歪曲」、全文はネット上で読める:http://www.jca.apc.org/~altmedka/nise.html