麻生首相、なぜか視聴率男 不人気が人気の秘密
不人気首相メディアに露出、見てて飽きない・失言にアクセス・タレント的人気(朝日新聞2009年3月13日)
〜民主党の小沢代表の公設秘書逮捕後も支持率低迷が続く麻生政権。しかし、同様に低支持率にあえいだ福田政権と違って、各種メディアへの首相の露出は衰える気配はない。不人気首相の「人気」の秘密を探った。
首相が定額給付金をもらうと明言した翌3日、民放各局の情報番組はそろって、この問題を取り上げた。TBSの情報番組「ピンポン!」は「またブレた! 麻生首相二転三転発言」。過去の首相発言などが紹介されると、スタジオの観客らから、ため息交じりの笑いが漏れた。
就任以来、首相は連日のように情報番組に登場している。テレビ朝日「スーパーモーニング」のチーフプロデューサー佐藤彰さんは、オタク、アキバといった庶民感覚をアピールしながら、育ちが良すぎる実態とのギャップがある首相を「見ていて飽きない人」と評する。 別の民放の情報番組のプロデューサーも「ネタがなくて困っている時、麻生さんはありがたい存在」。1月の衆院本会議での首相と田中真紀子衆院議員の論戦は、放映と同時に視聴率がじりじり上がり、10%を超えて同時間帯ではトップに躍り出た。
「週刊文春」では昨年9月以降の計25号のうち「麻生太郎」「麻生政権」などをトップの見出しに据えた号が約半数にあたる計14号。準トップ扱いも計2号。福田政権時代は47号中トップはわずかに8号で「人気」の差は歴然だ。編集長の島田真さんは「時代の転換点で国の将来像を示せるのは政治しかない。麻生政権でそれが可能なのか、読者も判断材料を求めている」。
就任前に麻生人気を後押ししたネットはどうか。アサヒ・コムでは、就任後21週のうち12週で首相関連記事へのアクセスがベスト10入り。「首相、カップめんは『400円くらい?』委員会で答弁」(10月27日〜11月2日、2位)など、失言に圧倒的な関心が集まるのが特徴という。
自民党が動画投稿サイト「ニコニコ動画」に昨年10月から開設する「麻生自民党チャンネル」も2月19日の更新後、21日間で約3万3千回と人気。「小沢一郎チャンネル」(1月19日投稿、約1万2千回再生)を圧倒している。
コラムニストの天野祐吉さんは「麻生さんは政治家というよりタレント。テレビのクイズ番組でやたら珍回答をするおばかタレントが人気だが麻生さんへの関心もこれに似ている」と指摘。「ちゃかしていれば視聴率がとれる今のテレビの世界で麻生さんの負の人気ぶりが定着してしまったのでしょう」と話している。