zames_makiのブログ

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政権交代後は今度は小沢一郎を正当化する与党偏向放送局NHK

自民党政権時代は与党自民党の宣伝と野党民主党への攻撃のため偽のニュースを流すことさえ行ったNHKは、政権交代によってさっそく与党民主党の宣伝を行う体制になったようだ。NHKは2009年11月1日から3日間、計3回のNHKスペシャル「証言ドキュメント永田町・権力の興亡」を流し、合計180分を使って与党民主党の最高実力者(!)小沢一郎の宣伝と正当化をおこなったようだ。
NHKスペシャル「証言ドキュメント永田町・権力の興亡 第1回 1993〜1995“政権交代” 誕生と崩壊の舞台裏」2009年11月1日
NHKスペシャル「証言ドキュメント永田町・権力の興亡 第2回 1996〜2000漂流5年 “数”をめぐる攻防」2009年11月2日
NHKスペシャル「証言ドキュメント永田町・権力の興亡 第3回 2001〜2009小泉 そして 小沢 “民意”をめぐる攻防」2009年11月3日


 この番組は小沢一郎民主党幹事長)と野中広務(元自民党幹事長)の2人の証言インタビューを軸に1993年の細川政権成立から2009年の民主党政権成立までの政治の動きを解説する作りのドキュメンタリーだった。しかし「証言ドキュメント」とは名ばかりで、肝心の2人のインタビューはかなり短いもので特に目新しい事は語られておらず、「権力の興亡」と言うだけの内情暴露や批判性のないものだった。番組は結局NHK製作者の書いた原稿をナレーションで「こうでした」と説明するもので、その説明内容は非常に表面的なもので細かさ・深み・真実への問いかけなどないものだった。これはドキュメンタリーという事実性ではなく結局NHKが説明した政治史という代物だったろう。NHKは180分をかけたが、民放テレビでは政治報道番組の中で15分くらいで行うようなものだった。特に注意せずに見ればこれは歴史的な政権交代民主党政権の成立を祝って、それを記念する当たり障りのない番組に見えるかもしれない。

 しかし番組をよくみれば、そこには民主党の代表者鳩山由紀夫氏はまったく登場せず、一方民放であれば「自民党金権政治家」「細川政権を越権行為でつぶした裏切り者」「政治思想のないただの壊し屋」と表現されるのが一般的な小沢一郎への批判部分はまったくないものだった(そうしたドキュメント部分がないという事)。また同時に「権力の興亡」と名づけてはいても長く国民を省みず格差を広げる間違った政策をし続けた自民党への批判はなく、過去にNHKが顔色を伺い続け、擦り寄り続けた自民党にも目配りするものだった。結局自民党への批判性もなく本来のもう一人の主人公であった自民党は曖昧なまま過去のものにされ、結局小沢一郎だけが目立つ番組だった。これは小沢一郎の宣伝番組なのか?


 この疑問は筆者にとっても説明しにくい、それはNHKが毎日流している7時のニュースのように、流暢なアナウンスと程よい効果音で、与党に都合の悪い事は捨て去った報道内容が全てなのだと錯覚させるからだ。であるのでこう考えたらどうだろうか。

 (1)なぜNHK民主党の代表鳩山氏を主人公にすえてドキュメンタリーを作らないのか?例えばフジテレビは総選挙の後、鳩山由紀夫氏の政治家としての生い立ちを追って、民主党政権までを彼の視点から見たドキュメンタリーを9月には放送した(ザ・ノンフィクション 「政治家には向いてないけど…〜鳩山由紀夫と彼らの23年〜」2009年9月20日)。そこでは今回のNHK番組とほとんど同じ事件が扱われているが相当違う印象を受ける。何より鳩山氏が彼の信じる理念により日本の正しい政治を目指してきたことが描かれていた。なぜNHKの視点は鳩山由紀夫ではなく小沢一郎なのか?


 (2)小沢一郎を扱うなら他の視点はないのか?例えばテレビ東京政権交代をおこした2009年8月の総選挙での小沢一郎の選挙戦略を追ったドキュメンタリーを制作した(「民主党圧勝の裏側“小沢秘書軍団”とは何か?」2009年9月10日放送)。そこでは小沢が厳しくどぶ板選挙を指示する姿が、中立的な視点で描かれていた。番組を見終わると小沢一郎がいかに選挙に厳しいかはわかったが、私はそれを肯定する気にはならなかった、それはけして小沢一郎の宣伝にはなっていなかった。また民放が小沢一郎を語る際の最大の事件、即ち小沢一郎細川政権での国民福祉税のごり押し事件をなぜ扱わないのか?NHKはその事件の意味をなぜ問わないのか?また小沢一郎の政治思想や理念をなぜ問わないのか?そうした批判的視点なしにこの期間の政治を描写するというのは結局、理念を欠き日本のあるべき姿をあまり真剣に考えない小沢一郎の行為を正当化する事ではないのか?なぜNHKはそうした視点と中立性がないのだろうか?


 (3)歴史的政権交代を問うなら、明治維新以降の政治の歩みを振り返りその中に今回の政権交代を位置づけ、その意味を問うような番組をなぜ作らないのか?NHKは大変歴史が好きだ、今も「プロジェクトJAPAN」と名づけて明治維新以降の日本国の歩みを描写するドキュメンタリーシリーズを1年越しで放送している最中だ。知識豊富なNHKであればそうした視点で作る事はさほど難しいものではないはずだ。


 (4)NHKは公共放送の主役である国民の視点でなぜ番組を作らないのか?政治家の視点ではなく例えば農業を主な収入源とする国民、建設業についている地方の国民、1990年代に働き始めた若い都市労働者の視点で見れば、この政権交代もけして一方的に誉められたものではないはずだ。また同時にその一国民の視点は、共産党社民党、そして公明党の存在も描写できるだろう。国民の視点にすることで、NHKの作った番組が自民党民主党という「与党」しか出てこない番組と対照をなすはずだ。


 (5)NHKは今回の政権交代小沢一郎の政治的謀略でもたらされたものだと<なぜ>するのか?異常に人気のあった小泉政権から民主党への交代は明らかにその失政(格差の拡大、地方の疲弊、失業率の増大、ワーキングプアの登場、病院の不足などの政権担当者の政治理念に関係ない国民の主に経済的困窮)が原因だった、政治討論会で民主党はこうした失政をあげれば自民党はまったく反論できなかった。今回の政権交代小沢一郎が勝利したのではなく、国民がその生活に直接ダメージが現れたから自民党に見切りをつけたと描写すべきだろう。このNHKの番組では小沢一郎は「小泉の人気の下降をいち早く察し…」と非常に簡単に片付けられていた。それではすまないはずだし、それは日本の真実と異なるだろう。なぜNHKは主人公である国民を無視し政治家に擦り寄るのか?


 以上のような疑問で番組を見れば、結局これは新しい与党最高実力者(!)小沢一郎の宣伝を行い、正当化を行うNHKの与党へのエクスキューズ番組(NHK政権交代で心を入れ替え民主党を応援すると意思表明をするもの)だったのではないだろうか?