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追想(1975)ドイツ軍虐殺への復讐

原題:LE VIEUX FUSIL(古い銃?)
101分 製作:フランス 配給:UA 公開:1976/03/13
リバイバル上映:2017.9.9(デジタル・リマスター版)
監督:ロベール・アンリコ 原作:ロベール・アンリコ 脚本:パスカル・ジャルダン
出演:
フィリップ・ノワレ(フランス人医者)主人公、古い城を持ち、妻子をそこへ避難させるが殺され、ドイツ軍に復讐する
ロミー・シュナイダー(その妻)美しい妻
ジャン・ブイーズ(同僚の医者)髭の同僚
マドレーヌ・オズレー(その子)
【解説】名匠R・アンリコが、名優P・ノワレを主演に、妻子を失った男の復讐を描いた作品。ドイツ占領下のフランス。医師のジュリアンは、連合軍の反撃による混乱を予感して、妻子を田舎の古城に避難させる。しかし数日後、城を訪れた彼の前にひろがっていたのは、惨殺された妻子の姿だった。怒りに燃えたジュリアンは、城に残るドイツ兵に、たった一人で復讐を開始する……。
リバイバル時HP= http://www.tsuisou.com/

感想

ドイツ軍占領末期の住民虐殺をめぐる復讐劇。美しく楽しい妻子とのエピソードの回想が復讐シーンに度々挿入され、主人公の悲哀を強調している。たった一人でドイツ軍15人に立ち向かうサスペンスや意外性もある。中の上。
 ドイツ軍占領下のフランスの田舎で、主人公の医者はパルチザンの負傷者を治療し匿う、一方同じ病院にはドイツ軍軍医とドイツ軍の負傷兵が入院しており、双方が勝手に治療を行っているのが興味深い、フランスからのドイツ軍撤退が迫り、前半は占領を静かに見つめる視点だ。後半の復讐場面でも攻撃のサスペンスより、舞台となる主人公所有の古い城での妻子との思い出が美しく回想され、復讐の殺意より喪失の悲しみと、残された者の虚脱感や狂気が示される。最後、ドイツ軍全員を殺しても主人公は自分の仕業と仲間に言わず、一方失った妻があたかも生きているように語る場面は狂気を意味していると感じた。
 戦争の殺し合いを描きながらも、悲しさを軸の心理面を示す珍しい作品だ。ドイツ軍による住民虐殺は、他の映画「シャトーブリアンからの手紙」「死刑執行人もまた死す」「ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦」でもテーマになっている。

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