zames_makiのブログ

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ワンダーウーマン(2017)WW1のWW2化

原題:WONDER WOMAN 141分 アメリカ 公開:2017/08/25
監督:パティ・ジェンキンス 脚本:アラン・ハインバーグ 音楽:ルパート・グレグソン=ウィリアムズ
出演:
ガル・ガドット(ダイアナ)=ワンダーウーマン、アマゾネス族だが平和をもたらすため第一次大戦に参加しドイツ軍を殺す
クリス・パイン(スティーブ・トレバー)米軍兵士、ワンダーウーマンの世話役、米軍のスパイ、偶然にアマゾネス国にたどりつく
ダニー・ヒューストンルーデンドルフ将軍)ドイツ軍将軍、毒ガスを開発
エレナ・アナヤ(マル博士)マッドサイエンティスト、毒ガスを開発
デヴィッド・シューリス(パトリック卿)英国軍指揮官、実は悪役

感想

つらないアメコミ映画、第一次大戦を舞台に使用するが従来の歴史的イメージを破壊している。星2つ。内容はともかくアメコミ映画でお話には現実らしさはなくただ主人公が破壊して暴れまくるだけでつまらぬ。問題は舞台が第一次大戦になっている事で、ドイツ軍は毒ガスで英国軍を殺戮する悪役として描かれている。これは歴史的事実とも、従来の映画的イメージとも異なるもので、アメリカ映画が自分の金儲けのために、第一次大戦でもドイツを悪役に歪め始めたと言えよう。主人公は当初平和のため・戦争を終わらせるため、などと口走っているが結局やることは、ドイツ軍を破壊する事であって、特別な意味はない。ただし、第一次大戦が「戦争を終わらせるための戦争」「平和のための戦争」という当時の認識だったのはその通りである。
 アメコミ映画としての筋立てや小道具についてもおよそ楽しめるものはなかった。女しかいない国アマゾネスという属性は何にも使われおらず、ただ不自然なだけだ。例えアメコミ映画であろうと大人向け映画であるなら、女だけ→男が欲しいVS男はいらないという対立や、自然体であるが故の色気などの描写があってしかるべきだろう、何もなかった。主人公が強いまたは戦わねばならぬ、という事の理屈付けに神を持たす武器「ゴッドキラー」を持っている(主人公が最初から備えている)というのが出てくるが、それがどうした?といった扱いで、面白くもなんともない。女性、第一次大戦、武器は剣のみ、毒ガス、多人種間の共同などの要素がありながら物語的にはまったくどれも生きておらず、要はただ、破壊しまくり、殺しまくるための途中経過でしかない。
 映画セット・背景はCGと金をかけたもので、戦場の様子、特に主人公に同行する各国の兵士の様子は当時の写真そっくりでとてもリアルである。これは戦争について何も知らない今の若者にイメージの混乱をもたらす、悪い効果をもたらす可能性がある。第一次大戦について映画が描く外見は当時そのもので本物だが、おきた出来事や意味は全然異なる事を、混同するだろう。
 ハリウッドの金儲けのための嘘が第一次大戦にまで及んだ悪い映画。