zames_makiのブログ

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ことぶき座(1945)国策映画からの娯楽部分の抽出

=公開:1945年6月28日で国策宣伝部分が削除された戦後再公開版と推測、何にせよ出来悪い。
無声映画期から1950年代まで松竹時代劇で活躍した高田浩吉が、浪曲師に扮する。梅中軒鶴丸(高田)は、北海道・釧路のことぶき座の所有者鈴村(小杉)の娘・千代(高峰)に思いを寄せていた。しかし鈴村に、才能をくすぶらせてはならないと諭され、東京でやり直すことに。8年後、成功した鶴丸が慰問のため釧路を訪れると…。鶴丸が東京で弟子入りする師匠に、浪曲師・広沢虎造が本人役で出演。
(65分・35mm・白黒)'45(松竹京都)(監)原研吉(原)野崎正郎(脚)岩沢庸徳、岩間鶴夫(撮)布戸章(出)高田浩吉、小杉勇高峰三枝子、桑野通子、小堀誠、廣澤虎造、朝霧鏡子、坂本武

感想

 上映されたフイルムは国策称揚冒頭字幕がなく、戦後形松竹マークであり、戦後国策宣伝部分をカットしたものではないかと推測する。公開は1945年6月28日、上映62分と短く、物語的に通らぬ部分が多すぎるため。
 講談師梅中軒鶴丸が世話になった北海道釧路の小屋経営者とその娘に恩返しする話。鶴丸がなぜぐれたのか?なぜことぶき座から離れたか?なぜことぶき座が小屋をやめ、経営者が没落したか説明されておらず、多くの部分がカットされていると思われる。物語は戦時期の慰問中の出来事と描写されており、明らかに敗戦前に製作された映画である。
 あらすじ=釧路のことぶき座で鶴丸は人気の講談師だが、怠け者。だが小屋経営者鈴村(小杉)にいさめられ真面目になる。だがなぜか?娘の相手が現れたせいか再びぐれる。だが再びいさめられ東京の広沢虎三門下で修行する。9年たち、戦時中の工場労働者への慰問興行で釧路を訪れた鶴丸は、小屋が工場に変わり経営者がただの雇い人に、娘も牧場で働いており、結婚相手もいないのを知り、是非世話させてくれ、と頼みいったん断られるが、鶴丸も9年間独り者を通したのを知り、許される。娘が喜び鶴丸を迎える。
 冒頭および物語時間は戦時中の慰問興行で、団員は鶴丸以外は全て女で、それで国定忠治をやるなど完全な戦時体制。だが戦時メッセージはない。九年前の様々エピソード語られるが肝心部分なく欠落あると思われる。9年後の現在でも細かい心理描写などなく、相当の早のみこみの物語であり、元々かなり出来が悪い。
 欠落あると思われ詳細検討が難しいが、あったとしても完成度は低い、推測される国策メッセージは生産増強であり、主人公らの幸福感と一層の生産に励むという流れが予想されるが、現行ラストはそのようにもつながりにくい。

上映 NFC

2/27(木) 1:00pm 3/9(日) 2:00pm 3/14(金) 7:00pm