zames_makiのブログ

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お光の縁談(1946)恋愛メロドラマ

=戦後の混乱まったくない、銀座の風景あり
小津安二郎のいくつかの作品や、『狐』『暖流』『勝鬨音頭』など、多数の松竹作品で脚本を手掛けた池田忠雄が、中村登と共同で監督したメロドラマ。脚本は新藤兼人。お光(水戸)は、父(河村)と食堂を切り盛りしている。板前の友吉(佐野)とは、互いの気持ちを伝えあっていない。外地から引き揚げて来た姉(久慈)に、夫の新しい仕事のために金が必要だと相談され、彼女が決意したこととは…。
(62分・35mm・白黒)'46(松竹大船)(監)池田忠雄、中村登(脚)新藤兼人(撮)生方敏夫(美)濱田辰雄(音)萬城目正(出)佐野周二水戸光子、河村黎吉、坂本武、久慈行子、清水一郎、郄山八百子、郄倉彰、三村秀子、逢川かほる

感想

 完全な戦後作、小さな料理屋で働く幼なじみ男女の直線的な恋愛すれ違い劇、ラストはハッピーエンド。時間短いが直線的で十分ドラマを描ききっている。水戸光子のテンポの良さ、庶民性、いじらいさ、佐野周二のぼくとつさ、人の良さが出た良作。
 あらすじ=銀座の小さな料理屋の娘(水戸光子)と板前(佐野周二)は幼なじみで共に働く仲。父親(河村黎吉)はざっくばらんな性格で、二人の結婚を口にするが、気の強い二人は断ってしまう。娘に良縁の縁談がもちあがり、娘は復員してきて中古トラックで運送業を始めるという妹のため金を見合い先からもらい結婚を承諾する。それを知らぬ板前は皆が喜ぶ中(銀座復興祭りの盆踊り)、店を出る決心をし、戦地で書いた「お光さんが本当は好き」の手紙を棄ててくれと言い去ろうとする、手紙読んだお光は、金を返し結婚をやめ、板前と一緒になると言う。肩を抱き寄せる板目。
 修復用の足場が組まれた服部時計店の塔、など戦後直後の銀座風景が撮しこまれている。お光の妹1は田舎で農業をやるといい、妹2は復員直後の夫と運送業、板前は復員して1年半と、戦後の様子多し。だが物語内に戦争の記憶や戦後の混乱の様子はまったくなく、飲食店はごく普通に品をだし経営されている。銀座に英語の看板は見当たらない。
 戦後早期だが、食料逼迫や戦後の社会混乱がない、純粋な恋愛劇となっている。

上映 NFC

2/27(木) 4:00pm 3/7(金) 1:00pm 3/16(日) 5:00pm