zames_makiのブログ

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勝鬨音頭(1944)よくできた国策映画

=歌謡映画ではない、生産奨励の国策を工場職工長の職場復帰で感動的に盛り上げ推奨する、演技力でかなり説得力あり。「かちどき音頭」は労働戦士?を歌ったもの
戦中の武器増産を奨励した歌「かちどき音頭」(1943)を主題歌及び物語のモチーフにした作品。本作も国策映画ではあるが、大庭秀雄監督は人情ドラマを前面に出す。定年を迎えたベテラン工員(小杉)は、本当はまだ働き続けたい。工員でなくとも元の職場で働けるならと、夜警に志願するが、それが周囲に波紋を呼ぶ。
(88分・35mm・白黒)'44(松竹大船)(監)大庭秀雄(原)知切光歳(脚)池田忠雄(撮)寺尾清(美)小島基司(音)萬城目正(出)小杉勇、三浦光子、木暮実千代北沢彪、風間宗六、岡村文子、土紀柊一、三井秀男、郄倉彰、山路義人、坂本武、郄松栄子、三村秀子、半沢洋介、伊東光一

感想

定年退職した老職工の職場復帰の過程を用い国民全体での生産増強を奨励し励ます、国策映画。主役の老職工の小杉勇の演技素晴しく、やや仕えがちな物語を納得させて見せきる力ある。大庭秀雄の演出も適切なカット割り、アップを使用しごく普通に面白く映画を見せている。人情ドラマ(メロドラマ)と国策宣伝のうまい融合。
 筋立て=老職工が定年退職、工場の皆に慕われ見送られて退社する。だが本人は余生に飽き足らず、軽蔑される夜周り(夜警・拍子木を叩いて工場内を夜回る)につく。周囲は老職工をがめつい金目的、指導的立場にある者の逆転による居心地の悪さにのため葛藤おきる。娘は反対し家を出て、結婚した上の娘は借用金をいきなり全額返し縁切りを意図。親戚は談判に。かつての部下はやめてくれと懇願。対して老職工は意に介せず、金は知らぬ、お前らがもっと働けば増産できるとまったく意に介せず。ここまでで、なぜ退職したのか、なぜ主人公が労働にこだわるか今一つ不明でやや難解な筋立てで多少感興をそぐが、主役小杉勇のやさしく奥行きのある老人像の演技が支えており、飽きさせず見させる。ここで親戚らの談判で老職工は元の工場にこだわらず働く事に目覚め、また金目的でないのが明らかになり、更に「定年制廃止」のニュースが入り晴れて元の職場に復帰。工場長は国のため全員一丸となって生産増強に励む演説を行い、職場はあかるく、娘は有望な職人との結婚を老人につげ、万々歳で高揚して終わる。国策称揚に効果的である。
 他の映画でもあったが、国策(この場合は生産増強)に障害がある事件が起き、主人公らが葛藤悩み、展開があった後に、国の政策(この場合は定年制の廃止)があり、問題が解決する。という筋立てが共通するように感じる。これは北朝鮮映画にもある。

上映 NFC

2/26(水) 1:00pm 3/6(木) 7:00pm 3/15(土) 2:00pm