＜敗戦直後の日本映画界の動向＞

• 1945年8月22日　興行再開を通知、260館再開、1日2回上映
• 30日　「伊豆の娘たち」封切り（戦時中に製作したもの）
• 9月10日　連合国軍総司令部は日本メディアへの連絡は情報局を通すとする
• 19日　プレスコード発表
• 22日　ラジオコード発表、3大基本方針と10項目の指示（平和志向、民主主義、男女平等、言論・思想の自由、人権の尊重など）
• 10月11日　「そよかぜ」公開：りんごの歌大ヒット、戦争被害の描写なし
• 11月16日　禁止映画のリスト配布
• 19日　製作禁止題材を提示、13項目（仇討ち、封建的忠誠心など）
• 1946年1月　検閲番号配布、制度的検閲開始（２重の検閲：事前検閲＝企画書と脚本をCIE（民間情報教育部）で、完成後をCCD（民間検閲部）で）
• 1946年2月　アメリカ映画のセントラル映画社による公開開始
• 1947年1月　公職追放者リスト配布、映画関係者は31名
• 1947年5月3日　日本国憲法施行　憲法記念映画＝民主主義（「壮士劇場」5.6）女性の人権（「今ひとたびの」4.8）平和（「戦争と平和」7.22）
• 1947年8月？　CIE映画担当者、コンデ職を解かれる
• 1951年7月　「どっこい生きてる」検閲対象に
• 1952年4月　サンフランシスコ平和条約発効、日本独立

1945年敗戦以降の公開作リスト

1945.08.30 伊豆の娘たち 　松竹大船　五所平之助（戦前製作）
1945.08.30 花婿太閤記 　大映京都　丸根賛太郎 （戦前製作）
1945.09.13 別れも愉し 　大映　田中重雄 （戦前製作）
1945.10.11 そよかぜ 　松竹大船　佐々木康 ◇（戦後製作第1作、りんごの唄）
1945.10.25 千日前附近 　松竹京都　マキノ正博 （大阪の復興）
1945.10.25 海を呼ぶ声 　大映　伊賀山正徳 （浪曲映画）
1945.11.08 狐の呉れた赤ん坊 　大映京都　丸根賛太郎 ◇（チャンバラのない時代劇）
1945.11.22 歌へ！太陽 　東宝　阿部豊
1945.11.29 天国の花嫁 　松竹大船　野村浩将
1945.12.13 新風 　松竹大船　佐々木康
1945.12.20 最後の攘夷党 　大映京都　稲垣浩 ◇（体制批判）
1945.12.27 犯罪者は誰か 　大映東京　田中重雄 （軍閥批判）
1945.12.27 東京五人男 　東宝　斎藤寅次郎 ◇（戦前の体制批判）

1946年日本公開アメリカ映画リスト

2月8日　◇キュリー夫人（科学者の伝記、合理性、向上心）春の序曲（音楽映画）
3月28日　▲ラインの監視（反ドイツ闘争、プロパガンダ映画）◇チャップリンの黄金狂時代（コメディ）
4月18日　▲エイブ・リンカン（ABE LINCOLN IN ILLINOIS、偉人の伝記映画）迷へる天使（コメディ）
5月2日　▲王国の鍵（中国の戦争に毅然と対処する聖職者の人生）拳銃の街（西部劇）此の虫十万弗（コメディ）
5月30日　キング・コブラ（ドキュメンタリー）嘆きの白薔薇（バレリーナの伝記）ブロードウェイ（ミュージカル）
6月13日　◇カサブランカ（反ドイツレジスタンス、プロパガンダ）淑女と拳骨（コメディ）
6月27日　最後の地獄船（海を舞台とした社会劇）、呪ひの家（ホラー）
7月4日　最後の抱擁（恋愛映画）天使（コメディ）
7月18日　銀嶺セレナーデ（ミュージカル）幽霊紐育を行く（コメディ）
8月1日　アリゾナ（南北戦争時代のアクション映画）▲追憶（Remenber the Day 米軍人の恋愛劇）肉体と幻想（幻想劇）
8月15日　悪魔の金（幻想劇）▲情熱の航路（Now, Voyager恋愛劇）
8月27日　▲恋の十日間（I'll Be Seeing You米負傷兵の恋愛劇）▲旋風大尉（CAPTAIN EDDIE空軍の勇士のドラマ）
8月29日　運命の饗宴（夜会オムニバス）
9月10日　生きている死骸（ホラー）
10月2日　◇わが道を往く（ドラマ）
11月12日　スポイラーズ（金鉱を争うアクション）
12月3日　感激の町（ミッキー・ルーニーのドラマ少年の町続編）緑のそよ風（Our Vines Have Tender Grapesドラマ）
12月17日　疑惑の影（ミステリー）◇南部の人（ルノワール監督、苦闘する農民）
12月31日　我が心の歌（ALWAYS IN MY HEARTドラマ音楽映画）

（占領下の映画：解放と検閲 / 岩本憲児. 森話社, 2009）