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<アフガニスタンでの米軍空爆による民間人殺害>

ヒューマン・ライツ・ウォッチ (Human Rights Watch) はアメリカ合衆国に基盤を持つ国際人権NGOアフガニスタンでの米軍空爆による民間人殺害について報告を出して警告している。国連アフガニスタン支援団(UNAMA)UN Assistance Mission in Afghanistan も報告している。

アフガニスタン空爆による市民の犠牲が増えている(2008年9月)

ヒューマン・ライツ・ウォッチ2008/09/07ニュース)http://www.hrw.org/fr/news/2008/09/07-2
 HRWの犠牲見積もり:2006年は、少なくとも929名のアフガン民間人が犠牲になった。このうち699名はタリバンによるもの、230名が米国やNATOによるもの。230名の内116名は空爆によるもの。2007年は、少なくとも1,633名のアフガン民間人が犠牲になった。このうち約950名はタリバンによるもの。321名が米国またはNATO空爆によるもの。
 2008年は、7月までに、540名のアフガン民間人が犠牲になった。このうち367名はタリバンによるもの、173名は米国やNATOによるもの。173名のうち119名は空爆によるもの。最近2008年7月6日に行われた結婚披露宴への爆撃及び8月22日のアジザバード(Azizabad)での爆撃などで引き続き民間人が多数犠牲になっっている。更に2009年5月の空爆で100人近くの民間人が死亡している。
→2006年以降の米軍空爆による民間人犠牲は116、321、119+、


→米国やNATO空爆による民間人の死者がかなり増え、最近も頻発している、そのためアフガニスタン民間人の米国への反発が強まっていると警告している。HRWは数的にタリバンによる民間人殺害が多く、「人間の楯」にしているとまずタリバンを非難している。その次に米軍の空爆は通常は民間人の被害はなくと誉め、「緊急事態対応のための空爆で死者がでていると分析している。

国連が過去最悪の民間人犠牲の多さを報告(2009年2月17日)

 国連アフガニスタン支援派遣団(UNAMA)は2009年2月17日、2008年にアフガンでの武力紛争で死亡した民間人が2007年の1523人より約40%多い2118人に達したとする年次報告書を公表した。2001年の米軍の侵攻後最悪の記録です。
 民間人死者の約半数1660人はタリバンによるもの、残りの828人は米軍とNATO軍によるもの。更にそのうちの約60%は米軍機の空爆によるものだった。(しんぶん赤旗

2008年7月6日の米軍による民間人殺害(ナンガルハル州結婚披露宴)

 アフガン政府は11日、アフガニスタン東部ナンガルハル州で6日米軍機による空爆で、結婚式の車列が誤爆されて女性と子供39人を含む計47人が死亡したと発表した。米軍側は「死んだのは武装勢力」と主張しているが、アフガン政府はタリバンアルカイダとは全く関係のない民間人が誤爆されたと断じた。
結論:→民間人47人死亡(国連報告)

2008年8月22日の米軍による民間人殺害(アジザバッド村)

 アフガニスタンのヘラート州アジザバッド村空爆(2008年8月21、22日)について。国連、アフガニスタン政府、アフガン独立人権委員会が行った各調査によると、アジザバッド村では78人から92人の民間人が殺害され、その多くは女性と子どもだった。
 米国は空爆後の数週間はこの3つの調査を強く否定。米軍は当初、民間人死者はわずか7人ほどで、タリバン戦闘員の死者が35人ほどとした。また米当局は米国メディアに村民たちがタリバンプロパガンダを流布していたと示唆した。しかしその後、2008年10月米軍は調査結果を発表、民間人死者の数について33人とした。
 しかし攻撃は、「必要」かつ「適切」なもの、米国の情報は正しいとしている(犠牲が多いという人はタリバンプロパガンダだ)。更に報告書は非公開で、調査詳細を示さないまま、誤撃を行った者たちには何らの過ちもなく責任もないと結論。タリバンが「人間の盾」を使った証拠は示していない。
結論:→民間人死者90人以上(共同通信)92人死亡(国連報告)

2008年11月6日の米軍による民間人殺害(カンダハル州結婚披露宴)

 アフガニスタン南部カンダハル(Kandahar)州で3日、結婚式会場が米軍の空爆を受け、女性や子どもを含む民間人36人が死亡した。
 カルザイ(Hamid Karzai)大統領は5日、国際部隊が武装勢力をねらって空爆を行い、住民約40人が死亡、28人が負傷したと発表した。Wocha Bakhta村。地元住民によると、結婚式の食事が終わったころに、近くの丘にいた米軍主導の多国籍軍部隊に対してタリバン(Taliban)より発砲があり、応戦した部隊が空爆の支援を要請したという。(AFP通信 2008年11月6日)
結論:→民間人死者90人以上(共同通信

2009年5月5日の米軍による民間人殺害(ファラ州の家屋)

【家屋空爆で民間人ら30人死亡と米軍、100人以上とアフガニスタン(2009.05.09 CNN Japan)その他複数記事のまとめ】
 アフガニスタン西部のファラ州で2009年5月5日、駐留米軍による家屋への空爆で多数の住民らが殺害された。米国防総省高官は8日、最大で50人が死亡した。女性、子供や武装勢力の戦闘員が含まれる。その後20日の発表では、戦闘員を最大で65人殺害、民間人30が死亡したとの調査結果を発表した。
 空爆は8カ所の家屋を標的に実施、計13発の爆弾を投下したが誤爆はない。イスラム強硬派勢力タリバーンが女性などを「人間の盾」として使っていたからだ、正当な死者だとした。
 アフガン駐留米軍当局者は、タリバーンが、空爆の犠牲者と思い込ませるため住民を手りゅう弾で殺害した後、遺体を公開した疑いがある。タリバーンはアフガン軍、米軍へ攻撃を仕掛けて、空爆要請をし向け、爆撃開始前に住民を殺害したとしている。タリバーンが3家族を連れ出し、手りゅう弾で殺したことを示す信用すべき諜報を得たとも述べていた。ゲーツ米国防長官は「タリバーンが米国を困らせる目的で、民間人の犠牲者を利用したり、故意につくり出したりすることはよく知られた事実だ」とした。


 これに対してアフガン政府当局は、100人以上が死亡、最大で130人に達する可能性がある。米軍の誤爆の可能性がある。カルザイ・アフガン大統領は「アフガンの村落や民家にテロはない。空爆でテロリストを打ち負かすことは出来ない」と米軍に民間人が巻き込まれて死亡する空爆の停止を要求した。この時期会談したオバマ氏は今回の民間人犠牲者について謝罪したという。

 アフガンでは外国部隊による民間人への誤爆被害が頻発。昨年8月末には西部ヘラート州で90人以上が死亡、同11月にも南部カンダハル州の結婚式会場にいた90人以上が死亡したとみられている。反米感情が高まる原因となっている。(共同通信2009年5月6日)
→結論:民間人死者100人以上(ブログ記者の2009年5月23日まとめ)