zames_makiのブログ

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厚生省元事務次官殺害を理解するために

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私もいかに官僚の不手際があっても殺人はいけないと思います。しかし今日汚染米事件で農水省の役人の処分があったことを思うと、実は厚生省元事務次官への殺人事件は当たり前だったのかもしれないと思えるようになりました。簡単に言えば犯人の気持ちが少しわかったということです。


小泉容疑者は口先では犬の恨みと言っていますが厚生省の不祥事が犯行の動機にあるのは間違いないでしょう。であればそれは抗議でありやはりテロだと言うです。テロとは社会的不正で苦しんでいる者が、その不正が取り除かれるよう「最後の手段である暴力」に訴える事でしょう。2008年の今、もし小泉容疑者が以下のように状況を整理していたなら、彼にとってもはや「最後の手段」しかないと認識したのは理解できるという事です。


すなわち小泉容疑者の認識とは
1日本の歴史上未曾有の大規模かつ組織的な官僚の失敗と不正義の存在
2それが長期間国民にひつこく知らされるが、少しも不正や不具合が修正されず、官僚の処分もされないこと
3戦後初めての雇用事情の根本的な悪化と不況、都市化・近代化による孤立化した人間関係が合わさって、彼など虐げられた人に対し「明日への展望」を与えないまま、苦しい状況に耐える事を強いたこと。それは一生かもしれない事。
4新聞・テレビのメディアやネットなどの情報機関が、そういった不正・不具合をより明確にする一方、その是正の方向性や見通しについてはほとんど伝えないこと。
5すなわち小泉容疑者には官僚などを焦点にした悪と不正義のみが伝えられ、改善策はないとされ絶望のみがもたらされていた、と言えるということ。


現在の年金に発する厚生省の不祥事は、官僚は保守的かもしれないが堅実で間違いや不正は犯さないという長年にわたる「日本の常識」を破る恐るべきものでした。更にそれが優に1年以上も常に報道を占領しているという事態が続いています。これらはどちらも日本の「歴史上未曾有の異常な事態」でしょう。これでは小泉容疑者が怒りかつ絶望するのも当たり前でしょう。彼の選んだ抗議方法は従来の基準なら選ばれるはずのない異議を訴える手段ですが、それが「日本の歴史上未曾有の異常事態」であれば理解できるのではないか?


もしこうした認識に立てば、今メディアに求められるものは、厚生省や自民党政治への批判と同時に、現状を改善する方策の調査とその報道でしょう。もし小泉容疑者が「次の選挙で民主党が政権を取れば根本的な行政改革が行われ、厚生省の不祥事も徹底的に改められる」と期待できたなら、けして彼も犯行に及ばなかったと思われると言うことです。


残念ながら、そうした改善策や見通しをメディアはほとんど流さない。今でも本当に有能な政治家や識者はそうした改善策をもっていると思います。なぜ毎日新聞はそうしたものを調べ大きく取り上げないのですか?Aそれを知らないからですか?Bそれを信用できないからですか?Cそれを多くの人が支持していないからですか?しかしCであるなら自民党の政策はなぜ報道するのか?


今必要なのは、厚生省の批判と同時に、例え多くの人が支持していなくても、こうした改善策を新聞が自ら調査し、それへの価値判断を行い、見通しと共に報道することではないでしょうか。今の新聞はあまりに政治や社会の目先の動きを伝えることに偏っている、新聞は自分なりの価値判断や情勢判断ができていないと思われるいう事です。