zames_makiのブログ

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九大らTVが伝える戦争を分析

西日本新聞 朝刊 2008/08/08

長崎など22局の全放送を録画 TVが伝える戦争を分析 終戦の日まで15日間 九州大准教授ら調査
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/39757?c=110
 原爆や戦争をめぐる報道が増える8月、日本のテレビは戦争や原爆をどう扱っているのかを分析するプロジェクトを、九州大や長崎県立大の研究者が共同で進めている。今月1日から「終戦記念日」まで15日間、長崎、広島、福岡、東京の地上波テレビ放送の延べ22局、計約8000時間をすべて録画し、検証する試みだ。代表者の杉山あかし・九州大准教授(メディア研究)は「社会の右傾化が指摘されているが、戦後、日本人の戦争観に強い影響を与えてきたテレビが、戦争の何を伝えているのかを探りたい」と話している。

 米国では同様の手法で暴力シーンを分析する取り組みが行われているが、戦争に絞った研究は極めて珍しい。

 昨夏にスタートした3カ年の研究で、主題は「戦争と原爆の記憶に関するテレビ・メディア環境の多面的内容分析」。波潟剛・同大准教授(日本近代文学)、森田均・長崎県立大教授(情報社会論)ら6人が携わっている。日本では戦争にかかわる報道が夏に増え、カレンダー・ジャーナリズムとも呼ばれるが、報道の量にとどまらず質も検証し、個別の番組ではなくテレビ全体の姿を明らかにしていくのが狙いだ。4地点でNHK総合と民放を録画し、地域ごとの比較も試みる。

 昨夏は機材不良で福岡のみしか録画できなかったが、その約2000時間の録画映像を素材に、杉山准教授は「戦争の被害者と加害者」を分析した。

 その結果、戦争をテーマに据えたドラマやドキュメンタリーの登場人物の国籍は、約9割が日本人。うち加害者として扱ったのは全体の1割にも満たず、被害者イコール日本人という伝え方が際立っていた。

 杉山准教授は「個々の作り手の意識とは別に、実はテレビは『被害者としての戦争』ばかりを流し、視聴者はその影響を受けているのではないか。テレビの風景、立ち位置を、今年も同じ視点から分析してみたい」と話している。今秋以降、各研究者は平和祈念式の扱いの差異、原爆の描き方などのテーマについて分析していくという。