zames_makiのブログ

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『デリダ、異境から』と『言葉を撮る』

2008年07月17日(木) 18時00分
場所 : 東京日仏学院エスパス・イマージュ


討論者:港道隆(甲南大学教授、哲学者、翻訳書にデリダの『精神について』(人文書院、1990年)、『アポリア』(人文書院、2000年)など)
アキラ・ミズタ=リピット(南カリフォルニア大学教授、映画研究者、著書に『電動動物』(ミネソタ大学出版、2000年)、『原子の光』(ミネソタ大学出版、2005年))
鵜飼哲(司会:一橋大学教授、フランス文学者、翻訳書にデリダの『盲者の記憶』(みすず書房、1998年)、『友愛のポリティックス』(みすず書房、2003年)など)

  ラウンドテーブルに先立ち『デリダ、異境から』の上映あり。


没後3年以上が経過した今日も、ジャック・デリダが遺した仕事は世界中で多くの刺激的な議論を引き起こしている。エジプト人の女性監督サファー・ファティの作品『デリダ、異境から』(1999)はこの哲学者についてのもっとも重要な視聴覚記録の一つである。この映画は彼の思想をその個人的な人生と不可分のものとして示す。彼の人生はアルジェリアからフランスへ、後にはアメリカ合州国へと、いくつもの移動を経験している。しかしそれは、彼の祖先がなさざるを得なかった、ユダヤ教徒キリスト教徒、ムスリムの共生が可能だったスペインの地からの出国の記憶に取り憑かれてもいる。デリダとファティの共著『言葉を撮る』で哲学者は、映画が喚起するこれらの旅はまた、極度に苛酷かつ刺激的だった彼の撮影体験の修辞的譬喩でもあると打ち明ける。
  『言葉を撮る』(青土社刊)の出版とデリダの生誕78年を記念して、いずれも生前の哲学者を知っていた翻訳者二人と映画研究者を招いてラウンドテーブルを開催する。それに先立ち『デリダ、異境から』の上映も行う。