zames_makiのブログ

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むすめ(1943)国策映画

=戦時下であるが人情喜劇、不十分かつ薄いが国策宣伝要素あり
大庭秀雄監督の戦中の佳作。洋裁店を営む久子(高峰)は、無職の料理人の父・新六(河村)を養っている。そんな中、近所の角平(坂本)とおかつ(飯田)夫妻が、久子の縁談を世話することに。だが、久子は、夫婦の娘・富江(三浦)と同じく、歯科医の向井(上原)が気になっていて・・・。河村黎吉・坂本武・飯田蝶子らベテラン勢の熟練した演技が興味深い。
(77分・35mm・白黒)'43(松竹大船)(監)大庭秀雄(脚)齋藤良輔、長荑喜伴(撮)長岡博之(美)小島基司(音)朝比奈昇(出)郄峰三枝子、上原謙、三浦光子、河村黎吉、坂本武、飯田蝶子、水島亮太郎、岡村文子、葉山正雄、武田秀郎、山路義人

感想

娘の結婚をめぐる下町の父親の人情喜劇。河村黎吉と坂本武、飯田蝶子らの人のよさによる喜劇が見せ場。上原謙の上品さと高峰三枝子の美し阿・強さが目立つ。戦時中映画だが、戦意高揚トップタイトルなく、国策宣伝映画ではない。「今は皆が働くべき時」「配給の御菓子」など戦時体制をはっきり示す構成になっているが殊更それは強調されていない、更に主人公は食材が入らず職を失った高級料理人であり、それが最後は大衆食堂で職工(おそらくは戦争関係の)に食をふるまう料理人に変化するのが、体制に沿った映画の主旨と言えるかもしれない。ただそれでは情報局は満足しないだろう。

上映 NFC

2/25(火) 4:00pm 3/9(日) 11:00am 3/13(木) 7:00pm