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この空のある限り(1964)女性年代記

S39('64)/松竹大船/白黒/シネスコ/1時間28分
監督・脚本:桜井秀雄 原案:寺山修司 撮影:西川亨 音楽:木下忠司 美術:芳野尹孝
出演:鰐淵晴子、森光子、千秋実田中絹代、奈良真養、三上真一郎田村正和中村晃子
川崎を舞台に、三代にわたる母娘の複雑な愛情を描いた家族劇。病に倒れた夫の代わりに生活を支える千枝子(森)は、新聞に投稿した詩をきっかけに、生別した母の消息を知るが…。森の娘役・鰐淵の可憐さが胸を打つ。

上映 神保町シアター

8月10日(土)17:45
8月11日(日)11:00
8月14日(水)14:15
8月15日(木)16:30
8月16日(金)18:45

あらすじ

巨大な工場と、煙と音が交錯する街川崎。野上則子は、そんな街のかたすみに住む、高校生だ。家族は、タクシーの運転手の父竜太郎、工場で働く母千枝子、それに女房に死なれた竜太郎の弟亀三の子供ひろしの四人。母千枝子は、幼い日に別れた母静江への想いを筆に託して詩集をつくっていた。それを知った則子は、ステレオ欲しさに、母の詩集から一篇を抜き出し新聞に投稿し、賞金三万円を狙った。やがて、その詩は佳作に入選した。が、その喜びも束の間、父竜太郎が進行性肝炎で倒れた。戦争で受けた鉄砲弾が体に入っていたのが原因だった。夫の死とともに千枝子の生活は一変した。チンドンヤ夫婦を二階に同居させ、工場もやめて儲けの多い氷屋に転業した。そんなとき、新聞社を通じて捜していた千枝子の母静江が九州にいることがわかった。千枝子は信じられない嬉しさに茫然としながらも、何度も母のもとへ手紙を出した。が、返事はこなかった。数日後静江からの伝言を持った静江の次男松崎弥太郎が千枝子の許を訪れた。“逢いたくない、そっとしておいて”それが静江の答えだった−−静江はかつて、村に演習に来た兵隊と過ちをおかし、千枝子を生んだが、その後生活のために妾となり、料亭を転々として後二人の子供のいる松崎弥兵衛の後妻になったのだ−−竜太郎の病いは日ましに悪化し、遂にこの世を去った。生活は苦しくなった。千枝子はタクシーの運転手になり、則子はパチンコ店でバイトを始めた。そんなある日、突然千枝子の許に静江が上京してきた。長い別れが、一度は感情のもつれを引きおこしたが、親子の愛情はたちがたく、静江は再び千枝子の許に帰ってきた。初秋の爽やかな空の下、晴々とした則子の顔があった。