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アラブの嵐(1961)アラブ人の表象とWW?戦争の後

製作=日活 公開:1961.12.24 91分 カラー 日活スコープ
企画:水の江滝子 中井景
監督:中平康 脚本:中平康 原作:山田信夫 中平康 音楽:黛敏郎 協力:パン・アメリカン航空
出演:
宗方真太郎(石原裕次郎)主人公、大会社の跡取り息子、不祥事でパリへ飛ばされるがエジプトへ流れる。英語はできず古風に日本語で通す。
白鳥ゆり子(芦川いづみ)父親が第2次世界大戦時にエジプトで抑留。それを探すデザイナー志望の若い女性。
中川孝次(小高雄二)悪人、裕次郎の財布を盗む。金を作って日本に帰るのが夢。革命派に巻き込まれ死ぬ。

ライラ(シャディア)エジプトレストランで歌う歌手。実はアラヤ人の革命派の闘士。革命の鍵となるマイクロフィッシュを隠したペンダントを探す。それを身に着けた裕次郎と抱き合う。
ソブヒ(ハッサン・ユーセス)革命派=ナショナリストと映画中では呼ばれる。の闘士。体制派の刺客にナイフで刺され死ぬ。
?(?)革命派=ナショナリストの仲間。
イブラヒム(カマール・エル・シェナウィ)カイロ警察刑事部

あらすじ

日本物産社長の孫宗方真太郎は、祖父の死後、彼の犯した失敗の責任をとらされてクビになった木村に会い、初めて温室育ちの自分の姿に気がついた。真太郎は、祖父の遺言にしたがって外国行きを決意した。旅客機で知り合ったゆり子は、パリへデザインの勉強に行くのだが、途中、エジプトで行方不明になった両親を探すという。
 ベイルートの空港で、一人のアラヤ人が真太郎の鞄をすりかえ、その直後に殺された。その男はアラヤ独立運動ナショナリストで、鞄には重要秘密書類が入っている。ゆり子と共にカイロに向った真太郎は、そこで案内役を買って出た正体不明の日本人中川に逢った。中川の目的は真太郎のポケットの五千ドルである。ピラミッド見物で真太郎は危険に襲われるが、彼はまだ真相がわからない。
 ナイトクラブの踊り子ライラはナショナリストで、独立運動資金にするため、真太郎から五千ドルを盗みとった。気がついた真太郎は楽屋へ追って行き、そこで帝国主義者ナショナリストの抗争を目のあたりに見て、ようやく自分が運動の渦中にいることを知った。彼が知らずに持っている秘密書のはいったペンダントを、両派で必死にねらっているのだ。色仕掛けで接近するライラたちナショナリスト。砂漠の真中で真太郎と中川の命を奪おうとする帝国派。
 一方、ゆり子は、父の墓がルクソールにあると現地人の老医師に教えられた。実はこの老医師がゆり子の父で、英軍のスパイだった身を恥じて現地人になりすましていたのだ。真太郎と中川、それにライラもそれぞれにルクソールに向った。ペンダントが独立派のために重要なものだと知った真太郎は、危険を冒してライラに手渡したが、ルクソールの廃墟で真太郎、ゆり子、中川、ライラたちは帝国派に囲まれて危くなったとき、警官隊が駆けつけ、帝国派を次々と逮捕した。しかし独立派には目もくれない。「独立ができる」とライラの目が涙で光った。真太郎たちの顔も感動で輝いた。真太郎は温室育ちを卒業したのだ。