zames_makiのブログ

はてなダイアリーより移行

風の噂のリル(1952)戦争の記憶

製作=新東宝 1952.07.03 11巻 2,434m 89分 白黒
監督:島耕二 脚本:浅野辰雄 須藤勝弥 撮影:河崎喜久三
出演:水島道太郎 片山明彦 南寿美子 浜田百合子

アル中で生活意欲を失った楽士の眞田文吉は、弟子の島木哲夫の親切な心使いで支えられているような男だった。ある時下田のキャバレー黒船へ行く五人の仲間に加わってこの二人も旅へ出たが、そこでリルと呼ばれる可憐な惠子という乙女を発見した。一行が引き揚げて帰京する時、歌手志願の惠子が追ってきて東京へ同行することを頼まれた。惠子は東京で哲夫の叔母の煙草屋の二階へ落ち着いたが、眞田は惠子の当座の生活費の面倒を見てやるために女剣戟大江みどりの一座の楽士となって旅へ出た。その留守に惠子は哲夫の友人の厚意でラジオ歌手としてデビューすることができた。ラジオからもれる惠子の声を聞いた眞田は、みどりの求愛を退けて東京へ帰ってきた。東京へ帰った眞田に、哲夫は惠子との愛情を打ち明けた。しかし眞田こそ一目見た時から惠子を愛し彼女によって生き甲斐を再び感じ出していたので、その痛手は大きかった。哲夫はそれを知ると眞田のために惠子から遠ざかり、酒びたりの毎日を送るようになった。惠子の哲夫への深い愛を知って哲夫を探し出し、恩愛の鉄拳をもって彼の仕事への精進を激励したのは眞田だった。そして二人を結んでやった。