zames_makiのブログ

はてなダイアリーより移行

ミーダーン・シンポジウム「欧米におけるイスラモフォビア」

シンポジウム:イラン・トルコの外交政策と欧米におけるイスラモフォビア―排外主義の時代にパレスチナ支援運動のゆくえを考える
主催:ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉
日時:2010年12月5日(日)
13時15分 開場/13時30分 開始(16時45分 終了予定)
場所:文京区民センター 3階A会議室(地下鉄後楽園駅
参加費:800円
【発言者】
○佐原徹哉(明治大学教員)トルコ現政権の外交・イスラーム化政策とイスラエルパレスチナ
○松永泰行(東京外国語大学大学院教員)イラン・シーア派にとってパレスチナ問題とは何か
臼杵陽(日本女子大学教員)イスラエル支援とイスラモフォビア その共犯関係と齟齬

主旨:

■イランのアフマディネジャド大統領は過激なことばでイスラエルを非難し続け、トルコもまたイスラエルによるガザ攻撃を契機に親イスラエル政策を転換させました。アラブ諸国によるパレスチナ支援がまったく機能しなくなるなか一方、非アラブのイスラーム諸国の指導者がパレスチナ問題を利用することで、ともかくも一定の大衆的人気を勝ち得ていることの意味を私たちは考える必要があるでしょう。また今年5月31日にガザ沖でイスラエル軍により急襲された支援船がトルコ船籍であり、トルコ人活動家が多数殺害されたことは、トルコにおける民衆レベルでのパレスチナ連帯運動の層の厚さを確認させました。

■スイス国民投票でモスクのミナレット新設の禁止が決まり、フランスでブルカ着用が禁止されるなど、この一年でムスリムに対する差別的な政策はヨーロッパにおいて一層進行し、またこの夏にはアメリカの牧師によるクルアーン焼却の呼びかけが、広く報道されました。日本においてはこうしたイスラモフォビア(ムスリム嫌悪・イスラーム恐怖症)こそ目立たないものの、中国や韓国、北朝鮮の人びとに対する差別や排外主義が一層強まっています。私たちはこうしたことをどれだけ「自分たちの問題」として捉えきれているでしょうか。パレスチナを支援することは、それだけで人種差別や排外主義から自由であることを意味しません。

アフマディネジャド大統領のイスラエル抹殺発言とイスラエルアメリカによるイラン攻撃論争。反セム主義、イスラモフォビア、シオニズム。過激な発言に目を奪われることなく、相対立する支配者のあいだの共犯関係を見抜くこと、排外主義や差別的な言説を十把一絡げにするのではなく、それらの差異や齟齬に注目すること。パレスチナに関わりながらこうした作法を学ぶことを通じてこそ、足もとの人種差別や排外主義から自由でありうるような〈つながり〉を実現できるのかもしれません。
主催:ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉