zames_makiのブログ

はてなダイアリーより移行

赤道越えて(1936)国策映画

'36(太秦発声映画=横浜シネマ商会)(構)(監)(撮)圓谷英二(音)飯田信夫(解)青地忠三(86分・35mm・白黒)
特殊撮影を手がける前の円谷英二が、撮影と監督を務めた長篇の国策記録映画。インドシナ、マレー、ハワイ、南洋諸島をめぐる海軍の練習艦隊に同行し、練習生の艦上生活をスケッチしつつ、寄港先の国々の民情風俗を丁寧に紹介している。アメリカ議会図書館から返還された素材とその後国内で見つかった可燃性オリジナルの音ネガを合せて復元したプリント。
=典型的な国策映画。海軍の親睦目的の太平洋遠洋航海の様子を伝えている、映像はのどかな日本軍人と現地邦人の交歓風景だが、ナレーションは日本の国威発揚(日本人は偉い)と中国人排斥(華僑はのさばっていておかしい)、白人への警戒心(欧米の侵出脅威にココでもさらされている)、に満ちている。撮影だけでなく編集も円谷英二であり台本の責任は円谷にあると見られる。太平洋遠洋航海のめぐる場所が香港、台湾、シンガポール、フィリピン、インドネシア、ハワイなどで1941年に日本軍が侵攻した地域であり、単なる言葉の表現上のあやではなく政治的である。NFCで視聴した際、保守系市民団体と思われる方がこの映画の上映会の話をしていた。彼らにとっては貴重な賞賛すべきフィルムなのだろう。

上映 NFC

7/14(水) 7:00pm 8/5(木) 3:00pm