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どうなる普天間移設?朝まで徹底生激論(ネット視聴可能)感想

QAB開局15周年報道特番『どうなる普天間移設?〜朝まで徹底生激論〜』
昨夜普天間基地の問題に関しての優れた討論番組が沖縄で放送され、ネット配信されている。来週にはCS朝日ニュースターで放送(5月23日、6月2日)されるとの話もある。元自民党議員も出ており保守側の見解も含めこの問題に関して最もよく情報を提供している討論だったと思う。是非ごらんいただきたい。

放送日時

2010年5月14日(金)25時25分〜28時20分→放送局自身がネットで配信視聴可能=http://www.qab.co.jp/asanama/
朝日ニュースターでの再放送 2010年5月23日(日)、6月2日(水)

(内容)

□各出演者の意見「ズバリ!普天間問題はこうすべき」+抑止力なのか? 32分
□テーマ1「海兵隊は抑止力なのか?」14分
□テーマ2「米軍再編で普天間は本当にグアムへ行くのか」20分
□テーマ3「沖縄の14年とは」+テーマ4「鳩山総理は何を考えているのか」 35分
□テーマ5「マスコミの功罪」26分
□テーマ6「森本教授の反論」25分
□ギャラリー質問タイム 4分
□まとめ 5分

(出演者)

玉城デニー沖縄県選出民主党議員)意見=暫定県外+将来国外
阿部知子社民党議員)意見=グァムへ、ローテーションも県外で
田岡俊次(軍事ジャーナリスト・元朝日新聞編集委員)意見=31MEUは長崎大浦へ、他はグアムへ
大田昌秀(元沖縄県知事)意見=グァムが最短で最善
伊波洋一宜野湾市長)意見=グァムへ
佐藤学(沖国大教授・政治学)意見=県外でアメリカと交渉すべき
橋本晃和(鳩山首相ブレーン・桜美林大研究員)意見=鳩山は腹案ある、多分県外
岡留安則(元「噂の真相」編集長)意見=国外または硫黄島
謝花尚(QABキャスター)意見=代替でなく返還
山崎拓(元自民党議員)意見=現実的にやるべき、沖縄の負担軽減だ
森本敏(防衛大教授・安全保障)意見=代替地は県内の前提で沖縄と政府で考えるべき
川村晃司テレビ朝日コメンテーター)意見=鳩山は沖縄アメリカと交渉すべき
三上智恵(司会:QAB)
(政府関係者や県内移設派の下地幹郎は出演を断った)

感想

長い討論で内容も豊富なので視聴者の感想は様々だろうが、これを見れば誰でも、政策からでなく「事実関係」として普天間基地はグァムへ移設すべきだと感じるだろう。

そこで大事なのは保守派の言い分で、本土のテレビに多数出演し「海兵隊は抑止力だ」といいまくっている森本教授(元自衛隊)の反論だ。番組で森本教授は結局「海兵隊は抑止力だ」と説明しきれていないし、パッケージ論(普天間移設と沖縄基地の再編による縮小はセットだ)も明確にできなかったと思う。森本教授は本土のテレビでは理路整然かつ大声で「代替地は沖縄しかない」と言っているように見えても、正面から議論するとまったく説得力はない意見だったことがはっきりしたと思う。こうした討論番組を作成しない本土のテレビ局の猛省を望む。

 ともかく「海兵隊は抑止力でない」「米軍は自身の再編計画で普天間基地をグァムへ移設する」「今起きているのは鳩山氏のゆるい政治主導の隙に、防衛官僚・防衛利権が付け込んだ結果だろう」という点がかなり明確になったと思う。結局鳩山氏は「県外・国外」という正しい方針をもったが、それを実現する普通のスタッフとそれを命令する自身の明確な指示を欠いたため、官僚と無能なスタッフ(沖縄に基地固定を宣言している岡田外相を含む)に情報封鎖され、縛られているように感じた。

出演者玉城デニー氏のブログより

http://d21tamaki.com/wp/2010/05/15/122216/

(略)玉城が最も気をつけて発言したことは、『この機会にあらゆる場面から普天間問題を全国的な安全保障政策への関心と議論をするきっかけにしたい』という目的付けにすることだった

 どこに持っていくか、いつまでに決着するか、どの場所にどのくらいのカロリーを移すのか、などのように《テクニカル》な内容は一般の視聴者にとっても興味はあるだろうが、《日米間の安全保障体制の見直しは必要か》、《なぜ沖縄にだけにその議論が戻されるのか》、という本質根本議論を掘り起こすことをしない限り、『持論の展開』番組にしかならない危険性を感じたからである。

市民団体による番組紹介

「選挙を市民の手に!」会の中田氏による番組紹介
 しっかり掘り下げられたいい内容。本土のテレ朝「朝まで生テレビ」とは違い、大変考えさせられる、番組を取り組むスタッフの真剣さ・意気込み・気迫が伝わる。普天間問題は沖縄問題ではない、自分たちが日本の国のありかたそのものを、厳しく問い・考えなければならない問題。沖縄はずっとアメリカによる占領の戦後が切れることなくつづいている。沖縄への日本人の差別はもう見逃してはならない。人間として恥ずかしいことだ。

◇テーマ2「アメリカ軍再編・グアム移転の誤解」

残り6分15秒位から、伊波宜野湾市長の話=参考になる。2009年11月20日に公表された、沖縄からグアム&北マリアナへの環境影響の評価グラフ(8000頁の報告)。 米国政府は勿論承知済み、グアムでは住民含めて説明されている。ただし、日本の政府は今迄、そして現在も本当の情報を国民に知らせずツンボ桟敷に置いていると言う事。政府もひどいが、報じないマスコミはもっと酷い。

◇テーマ4「鳩山総理語録を一気に!」

残り時間2分18秒位から、大田昌秀元県知事の話「海上に基地を作ると塩害があって、ヘリコプターをその都度真水で洗わなければならない。所が沖縄は水不足で年中困っている。水飢饉で海水を淡水化しているが、ところが高くて一般の人は買えない。80機ヘリコプターがいるとすると、1機洗うのに2万トンの水が必要と言われている。そうするとその水をどこから持ってくるのかと言う事を自衛隊のOBも書いている、米国側も書いている」「基地が辺野古に作られたら運用年数40年、耐用年数200年になるような基地を作りたいとハッキリ書いてある、そう言うのを全然議論しないで沖縄に基地を残すとばかり言っている。国益云々を議論する人達は自分の所へ基地を持っていけば信用できるけれど、自分の所に一切基地を持っていかないで国益云々と言うのはおかしい、沖縄を馬鹿にしている。」

◇テーマ5「マスコミの役割とは… ヘリ墜落事故」

2004年8月13日の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事件。取材撮影中に威嚇し妨害する米兵。コメンテーター:三上智恵「まさにあの時は戦場で、自分達の場所で取材が出来ない、私も佐藤先生の沖縄国際大学の卒業生ですが、自分の大学に入る事も出来ないような場面に遭遇しました。私たちが命をかけて取材したあの日の夜に私たちはこれが一つも東京のニュースに出ないと言うのに直面したのです。」

◇テーマ6「アメリカの世界戦略と日本の国防」

1分過ぎからオスプレイの映像。オアフ島にある米太平洋軍司令部(太平洋地域43カ国を担当)米太平洋海兵隊ジョセフ・サンプソン部長の話。「軍のヘリコプターは2時間分の燃料を積む事が出来る。訓練場に行くのに30分、帰りに30分使い、訓練に1時間を費やすのが海兵隊の要望だ。徳之島は沖縄本島から200kmで片道約1時間以上で運用上は難しい。だとしても政府が決めればそれに従う」またオスプレイを配備すると明言。