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非大手メディアによるメディア批判

検察は正義で小沢一郎は悪なのか〜空恐ろしい大マスコミの報道(日刊ゲンダイ 2010/01/18)

政権交代、国政改革の中心人物を追い詰めてこの国はどうなるのか
民主党石川知裕(36)が逮捕されたことで、大新聞・テレビの「小沢バッシング」が激しくなっている。
「小沢氏に進退を問う」(朝日)、「説明欠く続投は許さぬ」(毎日)、「検察批判の前に説明を尽くせ」(読売)――。とにかく、辞めろ、許さぬの大合唱だ。「政治とカネ つきまとう議員人生」などと、事件とは直接関係ないことまで持ち出して、ぶっ叩いている。しかし、いくらなんでも、大マスコミの報道は常軌を逸している。やりすぎだ。おかしいのは、なにも考えず、検察のリークをそのまま垂れ流していることだ。たとえば、「小沢が捜査に協力しない」と報じていたが、実際は率先して「銀行口座」を検察に教えるなど協力していた


大マスコミは、検察のリークを一方的に流すことで、国民に「小沢=悪」のイメージを植え付けようとしているとしか思えない。日本の大新聞・テレビの記者は、無邪気に「検察=善」と信じ込んでいるらしいが、どうかしているのではないか。言っておくが、検察は正義の味方でも完全無欠でもない。その証拠に、小沢捜査を指揮している佐久間達哉・特捜部長は、「冤罪」も引き起こしている。旧長銀粉飾決算事件を手がけたが、被告全員が「無罪」だった。


「なぜかメディアは大きく報じませんが、『西松事件』で逮捕された小沢の秘書、大久保隆規(48)も無罪になる可能性が高まっています。13日に第2回公判が開かれ、西松建設の元幹部が『検察側』の証人として出廷したのですが、検察の主張を否定する証言を連発した。検察は真っ青になっています」(司法関係者)「西松事件」では、大新聞・テレビは検察リークをそのまま報じ、大恥をかいた前科もある。「逮捕された大久保秘書が違法献金を認める供述をした」とデカデカと報じたが、大間違いだった。なのに、「石川逮捕」でも検察の情報をうのみにしているのだから、どうしようもない。

役割を捨てた日本の大新聞・TV
しかし、こんな恐ろしいことはないだろう。この国では、いったん検察に狙われたら、検察リークとマスコミによって、あっという間に「悪人」にされてしまう。逮捕されたら、即、大悪人だ。いったい、どれだけの国民が、旧長銀の経営者たちが無罪だったか、「西松事件」の大久保が無罪になる可能性が高まっているかを知っているだろうか。


本来、メディアは検察が暴走しないようにチェックするのが役割のはずだ。先進国では、どの国も軍隊や検察が勝手なことをやらないようにマスコミが目を光らせている。検察ファッショが一番怖いからだ。検察のリークをありがたがっているのは、日本の大マスコミくらいなものだ。しかも、今回の「石川逮捕」には、専門家からも異議が出ている。「政治とカネ」について詳しい日大の岩井奉信教授は、「政治資金規正法の虚偽記載容疑で現職国会議員の身柄を取るのは、捜査手法としてちょっと強引だと思う」というコメントを出していた。まともなメディアだったら、検察の手法に疑問を投げかけるのが当たり前だ。


政治評論家の本澤二郎氏が言う。「民主党大会の前日というタイミングで現職議員を逮捕するのは異例です。大手メディアは、二言目には『小沢幹事長には説明責任がある』と批判しているが、だったら地検にも説明を迫るべきです。これまで『虚偽記載』は修正で許されてきたのに、なぜ逮捕までしたのか。石川議員は逮捕前、『調べに応じているのに逮捕なんてあるのだろうか』『特捜部検事は自分の話を聞いてくれない』と漏らしていたそうです。逮捕する必要があったのか、大手メディアは地検を問いただすべきです」

西松事件」と「石川逮捕」といい、検察が小沢一郎を狙い撃ちにしているのは、組織防衛の疑いが強い。小沢周辺は「検事総長国会同意人事にする」「民主主義的な統制下に置く」と主張してきた。これまで“聖域”だった検察組織にメスを入れるのは時間の問題だった。聖域を死守したい地検が、「小沢潰し」に出たとしても不思議ではない。昨年末、特捜部検事を含む法務官僚が集まった宴会では、「小沢許さん」の大合唱だったという。


検察が日本の政治を決める異常事態
検察の胸三寸で逮捕され、魔女狩りのように大マスコミによって抹殺されるなんて、これでは中世の暗黒時代と変わらない。いずれ石川知裕は「政治資金規正法違反」で有罪となり議員辞職は確実。小沢一郎もよくても幹事長辞任、場合によっては議員辞職、最悪、地検に逮捕されることもあるだろう。しかし、検察の思惑ひとつで政治が左右されるなんて許されるのか。「新党大地」の鈴木宗男氏が、民主党大会で「検察の暴走はいけない。『おれたちが国家支配者だ。エリートだ』という思い上がった考えで権力を行使したらどうなるか」と警告していたが、その通りだ。


東京地検特捜部の生みの親」として知られる鬼検事、河合信太郎は「捜査で世の中や制度を変えようとかすると、検察ファッショになる。それは許されない」という言葉を残したとされる。現職の特捜検事は、もう一度、河合信太郎のこの言葉を思い起こすことだ。検察が民主党政権の中枢に手を突っ込んだことで、この国は大きく変わってしまう恐れが強い。


民主党鳩山首相の代わりはいても、小沢一郎の代わりはない。小沢幹事長が失脚したら、鳩山内閣も崩壊してしまうでしょう。衆参423人に膨れ上がった議員を誰が束ねていけるのか。アマチュアの烏合の衆に戻るだけです。社民党国民新党との連立を維持できるのか。誰が7月の参院選の指揮を執るのか。自民党にとって、誰が一番強敵かを考えれば、分かるはずです。戦後50年かけて、やっと政権交代をなしとげたのに、元の木阿弥になってしまう恐れがあります」(政治評論家・山口朝雄氏)

政界から小沢一郎が追放されたら、民主党政権はもたない。「官僚主導から政治主導」といった改革もストップしてしまうだろう。自民党時代の「政・官・財」の腐敗堕落した政治に逆戻りである。東大の御厨(みくりや)貴教授が、朝日新聞で「いまの小沢一郎という人物を追いつめることで、検察はこの国をどうしようとしているのか」と疑問を呈した。検察と大マスコミは誰の味方なのか。