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徹底的に検察批判をしたサンデープロジェクト

以下はテレ朝サンデープロジェクト(2010年1月16日放送)【「正義」か「暴走」か〜小沢氏vs特捜検察、因縁の最終戦争】を書き起こしたもの。某所にあった番組の書き起こし文を内容がわかるように書き直したもの。

討論要旨(文責は筆者)

検察は小沢一郎を水谷検察から4億円の収賄で逮捕起訴したいようだが今の状況では難しい。今後新しい証拠が出てくればわからぬが普通はそんなあやふやな捜査はしない。秘書が虚偽記載(又は記載なし)で政治資金規正法違反で有罪なのはほぼ確定だが、小沢一郎をそれで逮捕起訴できない、国会議員を逮捕する為の犯罪の悪質性に欠ける。当時小沢は野党で水谷建設から金が渡っていても贈収賄にならないし、それが土地購入代金になったと証明するのは困難だ。

出演者:

主要発言者:宗像紀夫(元東京地検特捜部長・弁護士)郷原信郎(元東京地検特捜部・弁護士) 小川敏夫民主党・元検事)菅義偉自民党・元総務大臣
コメンテーター:星浩朝日新聞編集委員高野孟(インサイダー編集長)大谷昭宏(ジャーナリスト)須田慎一郎(ジャーナリスト)
司会:田原総一郎

事件説明と前ふり

須田慎一郎:(検察関係者を取材して)検察サイドの最終的な落としどころは国会開会前の石川在宅起訴・小沢事情聴取だった。特捜のシナリオが崩れたための半ば偶発的な最終戦争だろう。土地の購入代金4億円に裏金5千万円が入っていると立証できれば小沢検察双方痛み分け。単なる虚偽記載で終われば特捜部の完敗だ。ある検察幹部取材の心証では裏金5千万円には相当な自信がある。
大谷昭宏:国民は検察権力に脅威と疑問を感じているのではないか?検察は操作の手順(前足・後足)が逆でありおかしい。
田原総一朗:ここにきて新聞(朝日・読売・毎日)の論調は検察の味方になってきている。読売は説明責任を要求、毎日はすごい!幹事長辞任を要求してる。

討論開始(小沢への検察捜査は容疑不足だ)

田原:小沢は幹事長辞任はしては?
小川:時期尚早だ。秘書の収支報告書不実記載だけでは辞任する必要ない。不正献金の事実が断定されたら問題になる。
管 :陸山会政治資金収支報告書の処理の仕方がおかしい、不透明なお金が沢山ある。4億円の出所、土地購入の日付等経理上操作の理由が疑問だ。小沢さんしか知らない部分が沢山ある。
郷原:政治家は刑事事件で違法事実が相当程度はっきりしていれば裁判前など早い段階でも責任を取るべきだ。しかし本件そうではなく事実自体が曖昧だ。例えば逮捕容疑が収支報告書の「不記載」ではなく出入りの金が本当より「少ない事」だけで何がどう少ないかは明らかにしていない。しかし新聞は「不記載で逮捕」と報道しており実際の逮捕容疑と違う。(星氏の困惑した顔のアップ)
田原:今回の検察の手法は歴史的な汚点か?
郷原:このまま何も明らかにならないで起訴となったらそうなりかねない

(検察の思惑の説明)

宗像:「検察は成算なき戦いに打って出ることはない」というのが結論だ。問題の焦点は土地購入代金4億円の出所で、検察の一番の焦点は「ゼネコンから来た金が混じっている」のではないか?ということ。背景に「ダム受注の謝礼」〜「公共工事利権」があると見て捜査に入っている。検察は水谷関係の金の流れを把握しているだろう。この時期に激しい一斉家宅捜査〜逮捕の元は、小沢氏の対応ではなく、石川議員が明らかな証拠があるのに曖昧な供述をしていることに検察が「切れた」ということだ。
宗像:鹿島捜査は鹿島が(1億を)指示して持って行ったのか 、水谷だけの判断なのかの解明だろう。
宗像:この事件では小沢に職務権限がないので、贈収賄や斡旋利得処罰法はほぼ成立しない。政治資金規正法上の不記載となったお金の中身(不正な金が入っているか?)が勝負だ。記載しなかっただけでも罪になり検察は既に成果をあげているが、その金にゼネコン利権が絡んでいるかがポイント。
高野:普遍的なひとつなやり方として、下請けは「政治家に話を付けました」などと大型工事を取り仕切る大手ゼネコンにご褒美として話し、その結果受注する・・ということがある。しかし実際に元請け(鹿島)から下請け(水谷)へ補填された金を本当に配ったかは判らない。下請け(水谷)が中抜けして政治家かに渡さず内部留保する場合もある。
田原:証言している水谷建設の元社長はどういう人?
星:(脱税の罪で)受刑中。東京地検特捜に対して「5千万円を2回支払った」と話している。
田原:受刑中の人間が言う事は信用できないのでは?

(検察の捜査の行く末は失敗しかない)

高野:仮に水谷が五千万や1億を払ったとしても、それが小沢の土地取引に関係があるというのをどうやって立証するのか?ほとんど不可能だと思う。
大谷:宗像さんの話だと結局は贈収賄は成立しないかもしれない、政治資金規正法であげて確かに政治資金規正法は「政治家は何だか判らないお金を持っていてはいけない」という主旨だ。しかし実際には「何だか判らないお金」の記載漏れは過去いくらでもあった。今回の捜査は、公党の幹事長に対し「何らか判らないお金」はどういうお金だったのか?、それが国政を歪めたということを立証していくのが検察の仕事だ。国会議員全員の「何だか判らないお金」を全部点検して歩くのは検察の仕事ではない。そこが抜けているのであれば、検察の暴走という批判が出ても仕方ない。
宗像:おっしゃる通りかも知れない。だが本件のケースで検察はゼネコンの金が入っているかも知れないという具体的なものを取り上げて捜査に入っている。
高野:(4億円にゼネコンの金が)混じっているというのをどうやって立証するのか?石川議員が「土地を購入するのに金が足りないから持ってこい」と言ったというようなものでない限り、直接の因果関係は出ない。(そんなもの出ないだろう)
宗像:これだけの捜査が進んでいることは、水谷建設側が「いつ何処で誰に会ってどういう話しをして東京のどういうホテルで渡した」かを(検察に)全部きちっと話が出ているのだろう。
郷原:そこまで捜査が進んでいるのであれば何故その事実が被疑事実にならないのか?選挙で選ばれている国会議員を逮捕するのなら、「政治資金規正法違反」の不記載でやるような別件逮捕ではなく、その容疑事実がでやるべきだ。

(そもそも容疑は何なのか不明)

田原:虚偽記載で逮捕というのはおかしいのか?
郷原:逮捕容疑は収入の総額が、「何だかよく判らないが」足りないというだけのもので不明なものだ。
宗像:捜査の手法の都合があって、今の段階では例えば水谷建設側が喋ってもこちら(小沢側)は喋っていないのでは?、お金はほぼ同じ時期頃にある口座に入っているという報道がある。あとは誰かが供述すれば成立する。こういう事件はほとんど供述が中心となる。過去の贈収賄事件は全部供述中心。
小川:捜査の手法のあり方として、まず「入っているかも知れない」といういう見込みで、その事実とは直接関係しない犯罪被疑事実で逮捕している、これは「見込み捜査」だ。
田原:5千万が4億に入っている「かも知れない」として逮捕した、「入っている」には根拠がないということか。
小川:今のところは薄い。
宗像:それは誤解だ、ある。
小川:誤解ということはない。もしそれが検察で堅いのであれば 、そのことで捜査に入るべきだ。政治資金規正法という形式犯で逮捕しておいて、「あるかも知れない」という見込みでやっている、いわば別件捜査の見込み捜査をしている。
管 :検察は前回の西松建設の時には「国策捜査」だと批判されたが、今回では民主党は権力者の側だ。だから捜査は、慎重の中にも慎重に固めて捜査したはずだ。元々は小沢さんが行って説明すればかなりの部分が明らかになることだ。(陸山会は)経理上極めて不透明なことをしている。

(4億円の意味は何か)

田原:(星氏に)議論の焦点は仮に水谷建設から小沢が1億円もらったとしても、それが土地を買った4億の中に入っている根拠はないのではないか。
星:それは少なくても今の立件の必須要件ではない。今の段階では、8億あるのに4億しか記載していないという、ふわっとした「虚偽記載」の容疑で逮捕している。(筆者注:と田原の質問に答えず)
宗像:私が「歩留まり」と言った意味はそれで、水谷建設の関係を立証しなくても刑事事件としては成立する。だが、それでは非常に中身が薄い話になる。
田原:逮捕された3人が「私たちが虚偽記載をした、小沢さんは関係ない」と言い切ったらどうなるか?
宗像:そう言うかも知れないが、「その土地購入は誰が指示したのか、誰が物色したのか、お金は誰が準備したのか」とやって全体を見る。
大谷:だとすれば、小沢さんの自宅や個人事務所や議員会館の家宅捜査に入っていないのは何故か?本当にその容疑で小沢さんが「(土地取引を)知ってたはずだ」「水谷のことも知ってたはずだ」「彼ら3人が勝手に虚偽記載したのではない」というのが検察の狙いであれば、堂々と家宅捜査に入っていけば良いではないか。
宗像:検察がそこまで狙っていると言っているのではない。本件実態がいったい何かということを整理するために、常に小沢本人からの指示があったのか、秘書が自分たちだけでやったのかを全部きちっとしないといけない。でないと世の中の批判に堪えられない。
原:二人が勝手にやったのか?、小沢さんが命令したのか?ということ?
宗像:政権与党だから手を出さないのかと言われるじゃないですか。
須田:ただ、昨日の小沢さんの発言を受けて、検察サイドは一斉に、「2004年の日歯連からの自民党橋本派への一億円記載漏れ事件を境に政治資金規正法は厳格適用するんだ」「規正法に関し虚偽記載があった場合には起訴に持ち込むんだ」という方針を打ち出してきた・・と言い始めた。とすると、どうも(水谷建設から)1億円入ってるかどうかというのは関係ない(自信ない)と言っているのではないか?

(小沢を逮捕するには何の容疑が必要か)

田原:小沢を(純粋な)虚偽記載で起訴するぞ・・ということ?
郷原:それは・・いくらなんでも。支出入の総額が4億円足りなかったから、それだけで重大事件だとはさすがに言えないと思う。だからそれは、何らかの不記載・・具体的な収入が書いてないということを立証できなければ、いくらなんでも政治資金規正法違反として悪質なものとは言えない。
宗像:非常に解明の難しい複雑な事件を解決するのが特捜の役目なわけだが、今のこの関係で言うと、歩留まり(秘書の純粋な虚偽記載による政治資金規正法違反)があって、更に4億円の不記載(裏金を伴う)がある。だから、それだけで終わったのでは全然その中身が薄い。「こんなもの起訴価値あるか」と言われますので・・
田原:それでは西松建設事件と同じだ。
宗像:ですから、特捜としてはこれは「ゼネコンの資金が流れている」「ゼネコンの方は喋っている」「それを全然認めないではないか」ということで身柄を捕り鹿島も強制捜査している
田原:古いことを言って申し訳ないが、実は前に宗像さんに取材しましたが、あのとき西松建設の件で大久保さんを逮捕した、あのとき宗像さんは「この逮捕はおかしい」と仰いましたよね?
宗像:私は政治家などを逮捕する場合は、贈収賄事件とか脱税とか、実体のある実質犯でやれというのが私の考え。政治資金規正法というのは色んな類件があって、あまりこれで政治家を失脚させるのは好ましくないと私は考えていて、リクルート事件などは3億とか位の不記載でもあの頃は略式罰金だった。みんなあの頃の政治家の政治資金規正法で摘発しましたけど。
田原:あれは皆宗像さんが主任検事をやった。
宗像:そうです。ただここ五年十年の間に(検察の)考え方が変わってきて、贈収賄の摘発も難しいと・・政治資金規正法というところで抑えようじゃないかと・・それも重大な犯罪なんだと考え方が変わってきたと。
大谷:それは本来の検察のあり方ではないのではないか?
宗像:(大谷に向かって、何度も頷く)

(これからどうなる)

田原:今や、マスコミも国民も政治家も(注目しているのは)、小沢さんが起訴されるのか、検察が起訴まで持ち込めるのか、個人的にどう思ってる?
星:これは本当に予断も出来ない、とにかくギリギリの攻防ですし、小沢さんがこの虚偽記載に対しどこまで関与していたのか、指示していたのか、知っていたのか、署名したのか、命令したのかをどうやって(証拠・証言を)取ってくるかですから、まったく五分五分。おそらく小沢さんも相当必死に自分の主張をしていますし、検察もまた必死ですし3人の供述次第ではないですか?
田原:私はおそらく石川と大久保さんは虚偽記載はあったと認め、自分たちがした、小沢さんは絡んでないと。もし小沢さんが命令したとなったら政治生命ないですから頑張りますよ。そのときにどうしますか検察は?
宗像:ですから、家宅捜査で抑えたそれ以外の物証などで立証が出来るかどうか、それが出てこない限りは駄目だと思うが、検察は今のこの捜査のやり方を見ても小沢さんの立件は視野を入れていると思う。
郷原:私は被疑事実を見てもまだまだ入り口で、何が悪いかというのも特定されていない。まだまだ小沢さんが容疑の対象になるというのは今の段階では考えられない。
田原:容疑の対象にもならない?
郷原:まだ本件が石川さん達の事実が固まるかの問題だ。

(4億円の意味は検察と新聞で異なる)

星:先週に番組ででたもの(収支報告書)で4億円の記載はあったがわかった、それ以外の不記載の問題も弁護士の発言で石川さん自身が認めているから、ここの不記載の問題はある程度固まっている。
郷原:ただその件は今回の被疑事実にはなっていない。今回の逮捕事実ではない。
星:8億マイナス4億の4億ですよ?
郷原:それは引き算であって、具体的な不記載ということには(逮捕容疑事実に)なっていない。
田原:郷原さんが言っているのは、「もしも本当に記載なしなら、記載なしということですべきだと」いうこと
郷原:(頷く)
星:なるほど
田原:ところが少なく記載したと、虚偽記載ということで逮捕したというのはおかしいのではないかと。
郷原:(大きく頷きながら)・・ということです。
宗像:それは、どういう被疑事実を立てるかの問題で、今証拠関係を見ていないから、その議論を今してもあまり意味はないと思う。

(小沢に水谷から金が渡ったのか)

田原:何が問題?
宗像:問題は、4億円の中身が何であったのか、その4億を小沢さんが自分で全部出したのか、そうではないのか、というところ。
高野:そうすると、水谷の1億がそうだとして、あとの3億も全部糾明しないとおかしいということになる。そうするとお札に判子が捺してあるかという話で、架空の話になってくる。「土地を買うから金を出せ」と言ったというのであれば別だが。
宗像:それは、証拠構造というか、犯罪の立証とかをお解りになっていない。
管 :政治資金規正法というのは非常に透明なもので、国民の皆さんの判断に委ねるという形に出来ている。しかし今回の陸山会のやつというのは極めて不透明に、経理操作が複雑に、土地を購入したときとその収支報告書に出したときと年度を変えるなど様々な工作がされている。問題なのは、小沢さんは西松の時に公判で検察が指摘したけど、公共工事に政治の影響力を与えて献金を受けているという話もあった。それと陸山会で、その他に建物を十いくつ買っている。政治資金で建物を購入するなどは政治家として行うべきではない。
田原:前代未聞だと。
管 :だから、小沢さんという人は不動産を政治資金で増やしている。それでかなり無理矢理に今回のこと、結果としてどこから来たか判らない4億円という話になる。それを調べるのは当たり前だ。

(なぜ小沢は説明しない)

田原:小沢さんには小沢さんの言い分があるわけ。何故、小沢さんは事情聴取に出てそういう説明をしないのか?
小川:小沢さんの話だと、4億円の使途については弁護士を通じて検察に説明したと。
田原:貴方の話だと、事情聴取に応じないから検察は頭に来たと言っていたが、何故応じないのか?
小川:それは小沢さんの考えだが、弁護士を通じて訊かれるべき事は説明したからそれで宜しいでしょ、と。
宗像:まあ政治家の人が取り調べに応じて喋るか否かということは検察は関係ない。リクルート事件で藤波さんは全面否認、ゼネコン汚職中村喜四郎さんは全面黙秘。
田原:田中角栄も全面黙秘
宗像:だからそういうものは求めない。ただ、調べには応じて欲しいというのはあるが。
田原:やっぱりその水谷建設の金が実際4億に入っているかどうかが一番問題だと思うが、それを検察は握っていると見て良いか?
宗像:検察は証拠を握っていると思う。
郷原:やはり小沢さんがもっと具体的に丁寧に説明しないといけないと思う。昨日党大会の場で説明した、預金口座まで特定して検察に知らせたと。ただ、自宅に現金として98年より置いていたと言われているが、それは何故なのか。それが政治家の場合よくあることなのか。その辺の説明をしっかりしないといけない。

(本当に遺産なのか)

田原:小沢さんのお父さんが引退したのはいつか?
星:1969年で40年前。そのとき初当選したわけだが、そのときから遺産をずっと持っていたのか?政治家の場合には資産公開というあるので、小沢さんが預金を持っていたらどこかで引っかかってくるわけだが、新聞社で調べてもまだ見あたらない。
小川:普通預金というのは公開の対象にはなっていないです

(小沢を起訴できるとは思えない)

大谷:検察としては、もし起訴したとしてもあくまで実行行為者は石川さんであり大久保さんだと思う。
大谷:虚偽記載ないしは不記載に関して言えば。小沢さんが指示したなり命令したと。実際、そのお金の中に不正なものが入っていたと。だから公党の幹事長を起訴したということが果たして通るのか?
田原:それは宗像さんもたぶん通らないと言っている。
大谷:私は通すべきではないと思う。だとすれば起訴ということはあり得ない。
田原:例えば仮に水谷の金が入っていたとしても、彼(小沢)は野党だから職務責任がないんだ。
大谷:きっちりそれが立証することが出来て、それがこういうお金なんだと・・
宗像:つまり、今の虚偽記載だとかについて、捕まった3人がどういう供述にするによって決まると言っていいだろう。
田原:彼らが全部「俺たちがやったので小沢さんは知らない」と言えば?
宗像:それはそのように否認しても、他の物証、メモとか資料が出てくれば違う。
大谷:それが出たところで規正法ですよね?せいぜい果たして規正法をそこまでそこまで解釈して良いのか?
田原:問題は、これから立証がそこまで出来るかどうかだ。
(以上)