zames_makiのブログ

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朝日新聞は普天間問題ではアメリカの手先なのか?

朝日新聞は2009年12月18日「在日米軍基地 なぜ縮小されない?」という3/4紙面ほどの特集記事を掲載した。しかしこの記事は大変問題があるようだ。簡単にかけば
朝日新聞はわざと大事な情報を隠し、普天間基地を沖縄に固定し、日米同盟を見直させないようにしているように見える

問題点1:普天間の沖縄海兵隊は日本を守る物ではないのを朝日新聞は認識していながらなぜ書かないのか。

 朝日新聞記事では「(海兵隊の)沖縄の駐留兵力は約12000人、うち即戦力として投入できるのは、ヘリコプターと共に揚陸艦に乗り込んで洋上警備にあたる第31海兵遠征隊の約2000人だけだ。専門家の間では「朝鮮半島台湾海峡の有事の時に自国民を救出したり、大規模災害で救援に当たったりする能力しかない」と見られている。」と書き、川上高司拓大教授の弁などで沖縄の海兵隊は米軍にとっても不要でグァムに移動する論が米軍にあること、逆に今回の日本側の見直しの動きは海兵隊が沖縄に残るチャンスと見られている事を書いている。


・・・・朝日新聞はどうしてこんな大事な事を、今ころ小さく書くのだろう?なぜ今まで書かないのだろう?
 素直に読めば普天間基地の沖縄海兵隊は日本を守る機能などなく、自民党がうるさく言う日本の安全や日米同盟の将来などとは次元の違う話ではないか!海兵隊自身が承諾すれば、日本から見てもアメリカから見ても、普天間基地をグァムに移動してまったく問題などないはずだ!
なぜ朝日新聞は一面で大々的にそう書かないのだろう?もし朝日新聞がそう書いていれば大きな議論になっていたはずだ。鳩山首相の見直しを支持する声はずっと大きかっただろう。

 実はこのことはAERAに書いている軍事専門ジャーナリスト田岡俊次氏がテレビ番組(CS朝日ニュースターの「愛川欽也パックインジャーナル」)でかなり以前から述べている事だ。私はその番組を聞いて、議論の前提となる基本的な事実がまったく異なっている可能性に気づきつつも、それが他の論者から発信されない事から、田岡氏の発言をどう評価すべきか迷っていた。


しかし朝日新聞は、実は田岡氏と同じ事実を認識しながらあえてそれを隠していた(わざと書かないでいた)ようだ。いったい朝日新聞は何を狙っているのか!

問題点2:米軍基地のなくならぬ本当の理由=おもいやり予算を朝日新聞はなぜ隠すのか?

「なぜ在日米軍基地が縮小されないのか」というこの記事で朝日新聞はすでに多くの人が指摘している問題を明らかに意図的に省いている。それは思いやり予算の問題で、米軍が日本に駐留することでいかに助かっているか、思いやり予算があることでアメリカから見て日本に基地をおくことが魅力的かという事だ。
 これにに対しては、メディア批判で有名な弁護士日隅一雄氏が公開質問状を朝日新聞に送付している。私も日隅氏の疑問にまったく同感だ。

朝日新聞記事のおかしさを指摘する日隅一雄氏のブログ(2009年12月19日)

朝日新聞の米軍基地特集記事はプロパガンダ?〜公開質問状、本日発送』(ヤメ蚊ブログ 2009-12-19)
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/d2a25bc47e365601dbb9546f4e66e7bc

 12月18日付朝日新聞朝刊3面(13版)に「在日米軍基地 なぜ縮小されない?」という特集記事が掲載されている。しかし、この記事には、思いやり予算の話が一言も触れられていない。「なぜ縮小されないのか」というテーマで、思いやり予算に触れないということは事実を直視していない記事、プロパガンダということなるのではないだろうか。これでは、戦前・戦中の大本営発表記事となんら変わらない。そこで、以下の質問状を送付することとした。


   質問状 2009年12月19日
朝日新聞社主筆    船橋洋一 様
朝日新聞社編集委員    谷田邦一様
朝日新聞社ワシントン支局   望月洋嗣様

 冠省 2009年12月18日付朝刊3面(13版)に掲載された特集記事「在日米軍基地 なぜ縮小されない?」(以下、「本件記事」と言います)を読んで、非常に失望しましたので、執筆者とともに朝日新聞の論調をリードする主筆に本書面を差し上げることとしました。お忙しいとは存じますが、必ずお返事をいただきたいと願っております。
  
 本件記事のテーマは、タイトルのとおり、在日米軍基地がなぜ縮小されないかをテーマにしたものであり、普天間飛行場移転問題が重要な争点となっているいま、非常に時宜を得た記事であると思います。
 
 しかし、残念ながら内容には非常に問題があるというほかありません。なぜなら、基地が縮小されない理由として最も重視すべきは、日本側が負担している思いやり予算の存在だからです。少し古いデータですが、国防総省がまとめた報告書「共通の防衛に対する同盟の貢献」(Allied Contributions to the Common Defense :http://www.defense.gov/pubs/allied_contrib2004/allied2004.pdf)によると、2002年において、①同盟国全体での駐留米軍負担合計額は約85億ドルであるのに対し、日本の負担額は44億1134万ドル(当時の相場1ドル120円として、5293億6080万円)と50%以上を占め、世界的に見ても突出していること、②日本は在日米軍駐留経費全体の74.5%を負担しており、米軍駐留経費の負担額の比率で見ても、他同盟国の中でも高い割合となっていること、③世界全体で見ると、各同盟国が拠出した総負担額85億ドルは、米国外の米軍駐留経費総額の50%以上に当たり、そのうちの半分以上を担う日本は世界の米軍の他国駐留費用の約4分の1を負担していることが明らかとなっています(琉球新報参照:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-9173-storytopic-3.html)。

 この日本側の経費負担があることによって、米軍は本国に部隊を配備するよりも日本に部隊を配備した方が安上がりだからこそ、在日米軍基地が縮小されないことは明らかです。日本側が思いやり予算を縮小すれば、米軍基地も必然的に縮小するでしょう。それにもかかわらず、本件記事で思いやり予算にまったく触れていないのはなぜでしょうか?これが最初の質問です。

 そのうえで、本来、議論すべきは、このような多額の思いやり予算を支払ってまで米軍に駐留してもらう必要があるか否か(現在、他国によって攻撃される可能性が具体的に存在するのか。仮に存在するとして、いかなる軍備が必要か。軍事的手段以外に攻撃の可能性を減少する方法がないのか…など)、ということですが、本件記事においては、明確にはそのような問題設定をしないまま、「北朝鮮の核開発疑惑や中台間の緊張の高まり」を米軍の必要性の根拠として挙げているようですが、「中台間の緊張の高まり」は事実に反しませんか?むしろ、中台間の貿易は急速に増大しており、緊張は緩和しているのではないですか?これが第2の質問です。

 さらに、北朝鮮の核開発疑惑や中台間の緊張の高まり」があるとして、それに対処するにふさわしい米軍が日本に駐留していますか?私には、中東派遣米軍の出先基地として機能しているとしか思えないのですが、専門記者としては、それぞれに対応するべき軍隊が日本に駐留していると考えているのでしょうか?これが第3の質問です。

 また、「沖縄の海兵隊は冷戦後、長く『空洞化』が指摘されてきた」、「部隊の多くが米本土から数か月交代で派遣される変則的な編成のままだからだ」と指摘されていますが、その理由については明確に記載されていません。しかし、本件記事の中で、ジャングル訓練施設に触れられているように、海兵隊は沖縄でのみジャングル戦に備えた訓練を行うことができるために交代で部隊を本土から派遣してきていることは、明らかです。つまり、沖縄の海兵隊は中国や北朝鮮に対する抑止力として存在してはいないということが明らかなのです。したがって、グアムに移転した後も訓練基地として沖縄を利用しようとしているのであり、普天間飛行場の代替施設を沖縄に設置しようとしているのは、訓練を行うために必要だからということが大きな理由でしょう。もう一つの理由は、日本に部隊が駐留している形を維持できれば、思いやり予算が獲得できるからです。この私見についてどう考えますか?これが第4の質問です。

 本件記事は、最も重大な事実である思いやり予算の存在に目をつむり、いかにも米軍が軍事上の必要性で自ら日本駐留を希望しているかのように書かれていますが、これは明らかに読者をミスリードするものです。戦前及び戦中、マスメディアが事実に目をつむった報道をして国民を惨禍に導いたことは、朝日新聞が夕刊で掲載した連載記事からも明らかです。久しぶりの本格的な政権交代が実現し、民主主義の真価が問われようとしているいま、事実に基づかない報道で読者を誘導するような記事は「有害」であり、プロパガンダという批判を受けても仕方ないと考えます。この点について、いかがお考えですか?これが私の最後の質問です。(後略)